プリオン説はほんとうか?―タンパク質病原体説をめぐるミステリー (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062575041

作品紹介・あらすじ

遺伝子を持たないタンパク質が感染・増殖するという新しい発病機構を提唱し、ノーベル賞を受賞したプルシナー。彼の唱えるプリオン説は、狂牛病対策など公衆衛生にも、重大な影響を持ち、科学的真実として受け入れられている。しかし、プリオン説はいまだに不完全な仮説であり、説明できない不可解な実験データも数多い。はたして、プリオン説は、ほんとうに正しいのか?ノーベル賞評価への再審請求。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに読み直しました。基礎医学者の方が書いたものって読みごたえがあってぼくは好きです。

  • ウイルス or プリオンについて。ウイルス派(異端派?)による面白い本。プリオン派(主流派)にもブルーバックスで書いてほしい。

    【書誌情報】
    製品名 プリオン説はほんとうか?
    著者:福岡伸一
    発売日 2005年11月18日
    価格 本体1,000円(税別)
    ISBN 978-4-06-257504-1
    通巻番号 1504
    判型 新書
    ページ数 248
    シリーズ ブルーバックス

     プリオン説は、科学的に不完全な仮説だった!
    ◆ノーベル賞評価への再審請求
     遺伝子を持たないタンパク質が感染・増殖するという新しい発病機構を提唱し、ノーベル賞を受賞したプルシナー。彼の唱えるプリオン説は、狂牛病対策など公衆衛生にも、重大な影響を持ち、科学的真実として受け入れられている。しかし、プリオン説はいまだに不完全な仮説であり、説明できない不可解な実験データも数多い。はたして、プリオン説は、ほんとうに正しいのか?

    “異常型プリオンタンパク質が検出できないからといってその臓器や組織の部位が安全だと考えることは、現段階では危険である。また、逆にいうと、異常型プリオンタンパク質の蓄積量の多寡をもって感染性の多寡を論じる考え方も危険である。内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会の議論の中でも、異常型プリオンタンパク質の存在量から、リスクの定量や評価を行う試みがなされたが、異常型プリオンタンパク質量は、ここで見たように感染性(感染力)と必ずしも量的な対応関係にない。(中略)このデータに基づけば、いわゆる特定危険部位(脳、脊髄、扁桃腺、回腸)さえ除去すれば、あとの部分は食用にしても安全であるという考え方は論理的でない。”――本書より

    第22回講談社科学出版賞受賞
    https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000194465


    【目次】
    はじめに(二〇〇五年一一月 著者) [003-008]
    目次 [010-014]


    第1章 プリシナーのノーベル賞受賞と狂牛病 015 
    生物学の中心原理から逸脱したプリオン説
    プルシナーと狂牛病 
    発火点 
    レンダリング 
    オイルショック 
    イギリス政府の不十分な対応 
    イギリスの犯罪
    変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発生
    拡大する変異型ヤコブ病の感染患者

    第2章 プリオン病とは何か 033
    プリオン病の正式名称は、伝達性スポンジ状脳症
    致死率は100%
    スクレイピー病の研究史
    感染症証明までの長い道のり
    病原体はいずこに
    ウイルソン、目の前にあるデータが信じられない
    実験マウスで進むスクレイピー研究
    キンバリンとディキンソン
    スローウイルス
    クロイツフェルト博士とヤコブ博士
    クールー病の発見
    クールーとスクレイピーの符合
    食人儀式とクールー病
    伝達性ミンク脳症と狂牛病

    第3章 プリオン説の誕生 059
    ティクバー・アルパーの大胆な仮説
    グリフィスの思考実験 プリオン説の原型
    プルシナー登場 ノーベル賞への道
    プリオン説明
    プルシナーへの反発力
    ストックホルムへの道
    プルシナーの野望 
    バイオアッセイ
    越えられない壁 
    プリオンタンパク質
    窮地から誕生したプリオン説 

    第4章 プリオン説を強力に支持する証拠 087
    プリオン説は謎をどのように説明するのか
    プリオン説を強力に支持する証拠
    唯一の明確な生化学的診断基準
    GPIアンカー型タンパク質
    ノックアウト実験――決定的証拠
    プリオン説によるノックアウト実験の解釈
    家族性ヤコブ病の存在は、プリオン説を支持している
    プリオン説は家族性ヤコブ病を次のように説明する
    トランスジェニックマウスの実験器
    プリオン説の勝利

    第5章 プリオン説はほんとうか その弱点 113
    コッホの三原則の検証
    第一条項は満たされる
    第二条項は満たされているのか
    困難極まりない病原体の濃縮・精製の試み
    プルシナーの方針転換
    コッホの三原則第三条項も証明されていない
    異常型プリオンタンパク質と感染性
    プリオン説への疑義
    根拠のない弥縫策
    特定部位のみ除去するだけでほんとうに安全なのか
    プリオンタンパク質変性の謎
    間違っていたプルシナーモデル
    エネルギーはどこからくるのか
    再考、トランスジェニックマウスの実験
    なぜ複雑な条件の実験をするのか
    問題山積のプリオン説の最終証明
    シンプルでないプルシナーのロジック
    プルシナー研究室の実験環境への疑念


    第6章 データ再検討でわかった意外な事実 153
    カイネティックスは一致しない
    電離放射線による不活性化実験の問題点
    病原体粒子の推定データ
    不活性化実験の再検討
    スクレイピー病原体の不死身伝説への疑問

    第7章 ウィルスの存在を支持するデータ 173
    潜伏期の短縮現象
    つじつまが合うウイルス説
    スクレイピーには多数の「株」がある
    種の壁
    孤発性の伝達性スポンジ状脳症はどのように説明しうるか
    プリオン病はほんとうに自然発生するのか
    病原体はどのようにして移動しているのか
    病原体の免疫系B細胞依存性 

    第8章 アンチ・プリオン説 レセプター仮説 191
    レセプター仮説
    家族性ヤコブ病はどのように説明しうるか
    日本人はほんとうに狂牛病になりやすいのか
    感染源はいずこに
    アンチ・ブリオン説は、伝達性スポンジ状脳症の謎をどのように説明しうるか
    免疫反応が起こらないのはなぜか
    異常型プリオンタンパク質の生成
    神経細胞が死滅する理由
    分子量五〇万の粒子が感染性を示す
    ウイルス説を裏付ける説が次々に

    第9章 特異的ウィルス核酸を追って 219
    ウイルス探索の試み
    C型肝炎ウイルスはいかにして捉えられたか
    先の見えない作業
    伝達性スポンジ状脳症の特異的核酸を探す試み
    シグナル - ノイズ比を上げる工夫
    病原体を追い詰める
    ディファレンシャル・ディスプレイ

    おわりに [238-240]
    さくいん [242-246]

    コラム
     アタキシアの謎 102
     正常型プリオンタンパク質の機能 111
     酵母プリオン 170
     ウイリノ説 211

  •  科学的興味、に対して「もう牛を食べても安心か」を書き直した、(どっちが先かはホントは知らないけど)そういう印象。ぼくは、こっちの方が面白かった。もう古い本ですね。ブログに書きました。
    https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/201906160001/
    https://www.freeml.com/bl/12798349/1071615/

  • <プリオン説は本当か>

     羊のスクレイピー、牛の狂牛病、人間のヤコブ病・・・これらはすべて「伝達性スポンジ脳症」と呼ばれる感染性の脳に起こる疾患である。
     長らく感染源が見つからなかったが、これらは「プリオン」というタンパク質が原因であるとされ、この「発見」をしたプルジナーはノーベル賞を受賞している。
     だが、この説には支持する論拠も多いが、弱点も厳然として残っている。

    <支持する根拠>
     プリオン、それ自身は正常な状態ではどんな人間の体にもある。しかし、悪さをするのはそこから変異した”異常”プリオンである。
     彼は、感染源である異常プリオンを”分離”した。
     そして、これが疾病にかかった時に、必ず見つかることや、遺伝性のヤコブ病の家系では遺伝上の突然変異がみられ、これが正常プリオンを異常プリオンに変化させやすいという論証等を積み重ねることによって、同賞の受賞に至った。

    <不支持の根拠>
     しかし、正常プリオンかあら異常プリオンへの構造の変化のプロセスは未だ完全に解明されたわけではない。
     さらには、疾病に罹患時にたしかに異常プリオンは見つかるが、異常プリオンのコア部分には感染性はない。
     関係しているのは事実だが、犯人かどうかは疑わしい点もある。
     著者は、まだ見つかっていないが、真の病原体はほかにいるとしてさらなる探求を続けいている。

    <感想>
     ほかのプリオン説の本もいくつか読んだが、どれもプルジナー礼賛で、この本がいちばんマトモな印象である。
     たしかに、プリオンの話は羊や牛、はては食人というダイナミックでドラマチックなエピソードが多い。が、異常プリオンの感染性がいまだ不明というのはどうなんだろう・・・。
     プリオン説が覆れば、いったんは収まっている狂牛病騒ぎが再燃しないとも限らず影響は甚大である。

  • bookloversで本人から紹介
    狂牛病のプリオン説に真っ向から挑む書
    読み物として非常に面白い。内容は本当に専門的で、流し読みするのはつらい。じっくり読めばわかるように構成されている。次はじっくり再読したい。
    流し読みした中でも、衝撃を受けた事実は以下
    ・プリオン説には、疑義がある。
    ・ウィルス説のほうが、説明がうまくできる実験データがある。
    ・過去25年狂牛病を出していないのは、オーストラリアとニュージーランドで、水際の感染対策がかなり徹底している。
    ・アメリカは、狂牛病の牛を、豚、鶏、魚、ペット用の餌として使っている。

  • どうも世間的にプリオン説優勢はゆるがないみたいだが、それはそれとして読んでみる。

    その道のプロが自説、しかも異端の説をディテール含めて展開するのは、読んでいて大変に面白い。少数意見を唱えるものほど丁寧に語らなければならない、という訳だ。しかも著者は文章の達人である。

    たしかにプルシナーによる「プリオン説の最終証明」とされる実験(第5章)の条件は妙にこみいっており、素人判断だがいかにも選びぬかれたデータでないかと思わせる。だがそれも変性プリオンを増殖させる難しさゆえのやむを得ぬ不自然さかもしれず、これだけでは何とも言えず。

    後半のウイルス説を展開する所は非常に面白い。だが遺伝性のプリオン病の原因をウイルスに求める部分はさすがに無理筋に見える。

    それにしても福岡ハカセの説は面白い。こちらこそtoo good to be trueなのかもしれないが。

  • 説の中身もさる事ながら、立証するためのアプローチ法も勉強になる本。

  • ノーベル賞も受賞しているプリオン説に対して、真っ向からケンカを売っている本。
    とはいえ、前半部ではプリオン説そのものについてもかなり詳しく説明されており、しかも後半部でこれを否定する関係上、プリオン説が登場し認められるに至るまでのプロセスやロジックが丁寧に書かれています。
    プリオン説そのものについてだけ知りたい!というときは、この前半部を読めばそれなりの基礎知識は得られると思うし、それだけでもかなり楽しめると思います。

    前半部を読み終えた段階では、自分自身、プリオン説は確かにBSEなどの原因を完璧には解明できていないけれど、それでもほぼ真実と言えるような仮説ではないか?と思っていました。
    示されたデータは、どれもプリオン説が正しいことを示しているように見えて、これを崩すことが果たしてできるのか?と思った。
    でも、後半部ではこれが気持ちいいほど見事に崩されて、読み終えた今では、自分もプリオン説は正しくないのではないか?と思うに至ってます。
    それに、科学者の考え方みたいなのも見えておもしろかった。
    御一読をお勧めします。

  • 生物学系シントピ。フォトリーディング&高速リーディング。

  • 読み逃していた1冊。この本の後に大ヒットを出すので、それまで著者のことは知らなかった。狂牛病(BSE)あるいは羊のスクレイピー、人ではヤコブ病という病気の病原体を探すというのがテーマです。ウイルスではなくプリオンというタンパク質が病原体であるということを突き止めてノーベル賞を取ったのがプルシナー。それに異議を唱えているのが本書。途中からは実験の細かい内容に入っていってフォローできなかったのですが、生物学の研究の大変さだけは分かったような気がします。なんとなく理解できたバイオアッセイという方法――病原体が入っている試験管を10分の1ずつ薄めていき、10本の試験管を準備する。そして、それぞれをたとえば10匹のマウスに注射する。そして5匹以上が発症するのはどの濃さの試験管だったかを調べる。そうすることで、もとの試験管に入っている病原体の濃度が分かる。(発症が5匹未満になるのが8番目の試験管と5番目の試験管なら最初の濃さが1000倍は違うということになる。)それをいくつかの部位から取り出したもので調べていく。するとどこにその病原体がより多くいるのかがつかめてくる。気の遠くなるような手のかかる実験です。それで何か良い結果が出ればいいけれど、そうとも限らない。しかしこうした地道な研究が、後々は医療にも応用されていくのでしょう。ところで、本書は5年前に書かれている。現在はどういう状況なのだろう? 調べないと・・・ 本書もまたまた、リサイクル市で見つけてきました。

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著者プロフィール

青山学院大学 理工学部 教授

「2019年 『マッキー生化学 問題の解き方 第6版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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