「退化」の進化学―ヒトにのこる進化の足跡 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062575379

作品紹介・あらすじ

退化器官でたどるヒト4億年の歴史

耳の中にサメの顎がのこっている!?
頭の中にはトカゲの眼のなごりが!?
男にも「子宮」がある!?
昔は「二枚舌」だった!?
口の中のサメ肌って!?

サメの顎が退化した耳小骨、トカゲの眼のなごりの松果体、舌にのこる「二枚舌」の痕跡、男にもある「子宮」、サメ肌から生まれた歯など、祖先とは機能を変えたり、失ったりした器官をみれば、ヒトの進化の道をたどることができる。

人体には「ユネスコ世界遺産」に負けない「自然遺産」がある。さあ、このガイドブック片手に、人体遺跡めぐりの旅に出よう!

感想・レビュー・書評

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  • 人類の退化器官を手掛かりとして、生命の誕生から現在に至るまでの進化の道を解説した本。

    「退化」は形態的な特徴などから進化の逆と捉えられる傾向にありますが、実は環境に上手く適応するために生物がとった「進化」の一部であることを本書は教えてくれます。特に印象的だったのは、人類の体毛の退化のお話でした。人類の体毛の退化理由として、サバンナ説、ネオテニー説、水生説と複数の説が提唱されていて、未だに明らかとなっていないことに驚きました。この謎の解明は、人類進化の歴史を紐解く重要なテーマの一つであると感じました。

  • 本当は進化の退化学、他の本も探して読んでみたい

  • 人間の退化(進化)した器官の名残りから先祖を読み解いていく。

  •  前、マンガ『ブラック・ジャック』の中で、胎児が怪しいからちょっと妊婦さんのお腹を開いてみると、卵の殻で胎児がへその緒以外をくるまれてた、と言ふのがあったが、
     あれはお医者さんでもあった手塚大先生の、科学的リテラシーに基づいた、あー、この本によれば、あの、子宮は、ものすごく大昔さう言ふ器官だったと。嫌。

     他、遺体(享年きゅうじゅううん歳!!)を解剖してたらすごい大隔世遺伝による形質が!!とか、乳房の形成など、大変面白い物を出しながら、魚から人へ進化するにあたり何がなくなっていったかが書かれる。
     象さんの金玉(無いけど)に関してほしかった情報があったので買った。

     解剖の先生で、人をさばいて
    「盲腸がない」
     と言ってる学生へ、何とか言はず(盲腸そのものはわかりやすいらしいのだが)
    「もう、ちょうがないなぁ」
     とか言って盲腸をくりっとやって、目当てである虫垂を出してくれる人は、師匠としていいと思ふ。

  • 種の数を増やすようなDNAの変異が進化であり、退化であるはず。したがって、そもそも進化と退化は区別できないはず。この本はこのような主張がバックボーンにあると思われる。つまり、使われなくなった機能は失われていくのであるが、その機能視点で見るとこの変異は退化。しかし、必要性のない機能をなくしてシンプルさを維持したり、エネルギー効率を良くしたりすることは進化。そういう事例がたくさん出ていて面白いが、「耳が動く」ことや、「親知らずが4 本生える」ことは旧人類であることを示しているたしい。この二つの特徴を持つ私って。。。

  • 人間にも、両生爬虫類時代の痕跡が残っていたりする進化の不思議。

  • 猛犬注意、と言えば何処かで通じるかもしれない。

    ツチ骨とキヌタ骨が顎の骨からきていたというのは、鰓弓を考えれば当たり前かもしれないがちょっと目から鱗だった。

  • 人体に残る退化した器官等の痕跡を紹介しつつ,進化の足跡を追うもの。大変面白かったです。

  •  非常に興味深い内容だった。

    進化の反対が退化ではなく、進化は退化とともに起こる。

    猿と人間は同じ先祖から進化し、一般には人間は猿が進化したものと考えられているが、機能的に見ると人間より猿の方が進化している部分がある。

    人間の耳は魚類のえらが進化したもので、耳管はかつて口から飲み込んだ水の噴水穴へ排水路だったなど

    胎児が生物の進化の過程を経て人類の形態となることは知っていたが、その痕跡がこれほどまで残っているとは、また誕生後も成長とともの骨や臓器が進化(退化)していたのは驚きであり、これが人間の年齢を特定する手がかりになるというのも興味深かった。

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著者プロフィール

犬塚則久 1948年生まれ。動物形態学者。京都大学大学院で動物の化石の研究を学び、東京大学で人体解剖学を教えた。いまは古脊椎動物研究所の代表。理学博士。哺乳類の骨や歯の化石の形をいま生きている動物と比べたり、働きを考えたりしながら、それがどんな動物だったか復元しようとしている。 子どもにむけた共著に『ぼくらの野尻湖人』(講談社)、『絶滅した日本の巨獣』(築地書館)、一般にむけた単著に『恐竜の骨をよむ』、『「退化」の進化学』、『ヒトのかたち5億年』など。絵本は本作がはじめて。

「2018年 『しっぽがない!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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