進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 337
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062575386

作品紹介・あらすじ

『記憶力を強くする』で鮮烈デビューした著者が大脳生理学の最先端の知識を駆使して、記憶のメカニズムから、意識の問題まで中高生を相手に縦横無尽に語り尽くす。「私自身が高校生の頃にこんな講義を受けていたら、きっと人生が変わっていたのではないか?」と、著者自らが語る珠玉の名講義。

感想・レビュー・書評

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  • 「進化しすぎた脳」池谷裕二著、ブルーバックス、2007.01.20
    397p ¥1,050 C0245 (2019.11.13読了)(2019.11.03借入)(2007.02.07/3刷)
    副題「中高生と語る「大脳生理学」の最前線」
    何かで紹介されていたので、いつか読もうと思っていました。図書館にあったので借りてきました。新書にしてはちょっと分厚いですが、興味深く読めました。

    視覚については、目から入った情報を脳があらかじめ人間が生きてゆくのに役立つように加工して意識に渡しているので、現実のものと違うことがある、というのは興味深く読めました。本当は目に映っていないのに、勝手に補正してしまう。等

    【目次】
    はじめに
    第一章 人間は脳の力を使いこなせていない
    講義をはじめる前に
    みんなの脳に対するイメージを知りたい
    心と脳の関係を人間はどう考えてきたんだろう
     ほか
    第二章 人間は脳の解釈から逃れられない
    「心」とは何だろう?
    意識と無意識の境目にあるのは?
    前頭葉はどうやって心を生んでいるのか
     ほか
    第三章 人間はあいまいな記憶しかもてない
    「あいまい」な記憶が役に立つ!?
    なかなか覚えられない脳
    言葉によって生み出された幽霊
     ほか
    第四章 人間は進化のプロセスを進化させる
    神経細胞の結びつきを決めるプログラム
    ウサギのように歩くネズミ
    情報のループを描く脳―反回性回路
     ほか
    第五章 僕たちはなぜ脳科学を研究するのか
    なぜ脳科学を研究しようと思ったのか?
    手作り感覚こそが科学の醍醐味
    脳は常に活動している
     ほか
    付論 行列を使った記憶のシミュレーション
    ブルーバックス版刊行に寄せて
    参考文献
    さくいん

    ●脳の大きさ(38頁)
    脳が大きければ大きいほど、それから脳のシワの数が多ければ多いほど賢い、という通説は正しくないんだ。
    ●会話(60頁)
    会話には聴覚だけでなく、視覚も多いに関わっていることがわかってくる
    ●脳の地図(80頁)
    指が4本。そういう人の脳を調べてみると、5本目に対応する場所がないんだ。
    脳の地図は脳が決めているのではなく体が決めている
    ●脳の機能(101頁)
    脳の機能は局在化していて、脳の場所ごとに専門化している
    ●前頭葉(102頁)
    人間の個性や性格、心や意識、そういったものを生んでいるのは前頭葉なんじゃないかと言われてきている
    ●立体視(107頁)
    人間の目はね、一方だけでもちゃんと立体感を感じるんだよ。

    ☆関連図書(既読)
    「頭脳」林髞著、カッパブックス、1958.09.25
    「脳の話」時実利彦著、岩波新書、1962.08.28
    「100億の脳の細胞」塚田裕三著、日本放送出版協会、1966.10.25
    「脳と言葉」荒井良著、社会思想社、1982.09.15
    「幼児期と脳の発達」荒井良著、主婦の友社、1983.07.01
    「唯脳論」養老猛司著、青土社、1989.09.25
    「私の脳科学講義」利根川進著、岩波新書、2001.10.19
    「痴呆を生きるということ」小澤勲著、岩波新書、2003.07.18
    「認知症とは何か」小澤勲著、岩波新書、2005.03.18
    (2019年11月19日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    『記憶力を強くする』で鮮烈デビューした著者が大脳生理学の最先端の知識を駆使して、記憶のメカニズムから、意識の問題まで中高生を相手に縦横無尽に語り尽くす。「私自身が高校生の頃にこんな講義を受けていたら、きっと人生が変わっていたのではないか?」と、著者自らが語る珠玉の名講義。

  • 『進化しすぎた脳』(池谷裕二)
    やはり期待を裏切らない。
    この人の本は脳科学という分野から覗くことができる世の中の事象を脳科学を学ぶ教室で語ってくれるところが好き。
    この本は、出版された池谷裕二氏の本のなかではもう古い方に入るのかもしれない。私は、彼が出した最近の本から徐々に遡って読むようになってきた。
    でも、色褪せた感じはしなかった。
    時代の最先端の研究分野だから、次々に新しい研究結果がでて新しい事実に塗り替えられている部分も多いことだと思うけど、私たち一般peopleが生きていくなかで、既成概念が覆されることが起きていないのだから、私としては読み物として向き合うことに専念できた。
    「分かり易い」や「面白い」といった表現を突き抜けて、「ワクワクさせてくれる」テーマ選定とそこへの切り込み方が良いのです。「哲学を科学で語る」みたいな感じで、
    哲学書では難解な言い回しになるのに、池谷裕二氏は脳科学の研究成果をアナロジーに、哲学の世界に投影させる。
    『やっぱり、学問は楽しい』とぶるっとさせてくれる。

  • 著者が留学中に、慶應義塾ニューヨーク学院高等部で2003年?に行った四回の講義と、日本帰国後に大学院の学生との座談会式の講義を纏めたもの。分かりやすい語り口で、脳科学の研究成果を解説している。2007年発行。

    内容的には、あまり新しい発見はなかったが、全編を通じて、著者の情熱的な語り口が印象的だった。

    下等な動物ほど記憶が正確で、凡化できず応用が利かないっていう話のところでは、自閉症の人の中に写真のようにものすごく正確な記憶力を持っている人がいることを併せて考えてしまった。

    人間は、記憶があいまいであるがゆえに、あいまいな記憶同士がふと結びついて新しいアイデアを創造することができるが、記憶が正確無比で完璧に整理整頓されているコンピュータはこのような創造性を持つことができない、という話は、人間とコンピュータの本質的な違いをうまく言い表していると思った。

  • 脳のイメージが変わる。
    脳と聞くと、「コンピュータ」のような正確性と、「心」のような精神性を、漠然とイメージしていた。(双方相入れないものなのに。)

    本書を読むと、正確性よりもいわば漠然性・曖昧さが脳を特徴づけていて、それは決して欠陥ではなくそれこそが人間を高尚たらしめていることがわかる。
    また、心を持った人間として日々数々の判断・選択を自由意志の下で行っていると思いきや、実はそうではなく条件反射的に行なっている部分が大きいことも。意外。

    そして本書を読んでなお、いや読後だからこそ残る疑問。心って結局何だろう…

    そういった意味でも、「これが真実!」的な語り口ではなく、まだまだ解明できていないことだらけであることを真摯に受け止めた訥々とした運びにとても好感がもてた。
    知的好奇心をくすぐられる良書。

  • 痺れるほど面白かった…!こういう科学とか物理の本もっと読もう。
    記憶の曖昧さの話と、昨日読んだ落合氏の本の「フック」の話が自分の中ではつながった。
    曖昧だけど取り出し可能な記憶=フックかな、と。
    この記憶=フックを色んなところに引っ掛けておくことで、曖昧さから柔軟性が生まれて、新しい思考に繋がるのかも。

  • もうだいぶ古くなってしまいましたが、デイビッド・J・リンデンの著作「脳はいい加減にできている」を評価しているということだから、これは読まねばと思い、中古本を書いました。やはり期待に違わない著作。脳は、まだまだわからないことだらけで永遠にわからないこともたくさんあるだろうということを匂わせつつ、当時の最新の学説をわかりやすく解説するとともに、哲学のテーマでもある「自分とは?」「意識とは?」にも積極的に解明しようとトライしてる感じがとても好印象でした。

  • 先輩からのおススメ&レンタルで読了。

    文系アタマには??の部分もあったので、自分なりに理解できる範囲で読み進めましたが、刊行されてから10年以上経つというのに、ものすごく新鮮。今では当時よりさらに研究も進んでいるのでしょうが、それでもまだ進んでいない脳科学ジャンルがあるかもしれません。

    ほんの数年前まで、人工知能といっても日常生活に入ってくるのはまだまだ先のことと思っていたけれど、自動車やちょっとしたアプリ、ネットの世界などでは、どうやら私たちも知らないうちに人工知能の恩恵を受けているらしい。そんな時代故か、そもそも人間の脳ってどうなっているんだろう、コンピュータと人間の脳って、いったい何が違うんだろう…人工知能に取って代わることのない人間の能力って、いったい何なんだろう、そんなことをふんわり思い巡らせることも出てきました。私には、今だからこそ興味深く読めた本かも。

    本を読んで特に興味深かったポイントは以下。

    ・脳の「地図」は、脳ではなくて身体が決めている。脳は実はもっと大きな可能性を持っているが、人間の「身体」の限界ゆえに、脳はその持てる力の大半を使わずにいる。

    ・意識、とは、表現を選択できること。言葉があるからこそ、人間は多様な選択肢を持ち、その中から選択した表現ができる。

    ・抽象的なものが存在していてそれを脳が理解しているのではなく、言葉があるからこそ、抽象的なものを意識し、他者と共有することができる。

    ・人間が人間らしくあるのは、曖昧さがあるから。機械は「正しく」記憶できるが、その記憶に柔軟性はない。人間の記憶が曖昧であるからこそ、時に覚えられないからこそ、情報を汎化することができる。

    ・アルツハイマー病の仕組み。長寿になったからこそ、アルツハイマー病は淘汰されずに残った。

    ・睡眠の意味。

  • まるで近未来SFの序章のようなタイトルだが、副題の通り、中高生向けの脳科学紹介が主題。
    脳構造の進化や脳内物質の化学的機能を細かに語るのではなく、意識や視覚、記憶の実態など、機能を中心に講義形式でわかりやすく解説される。
    なかでも特筆されるのは、肉体とのつながりについて。
    肉体を支配する司令塔と思われている脳が、いかに肉体に支配され、肉体とともに成長するのか。
    なぜ脳のサイズが等しいイルカは人間ほどの知能を持たないのか、なぜイカやタコは小さい脳で多数の手足を動かせるのか。
    『人間の脳は3%しか使われていない』みたいな都市伝説は最近では下火になったが、例えば脳波で動かす義手を子供の頃から装着した場合、脳構造は大きく変化する余地を残しているかもしれない。

    しばし脳力とは記憶力と同一視して語られることがあるが、記憶は正確でないからこそ、特徴を抽出し、意味を見出し、状況を理解することを可能とする。
    どの脳力が優れているか、どう役立つかは時代によって変わる。人には得意・不得意、向き・不向きがあることはどうしようもないが、せめてこの本を楽しんで読めるという奇跡は忘れないでいたい。

  • 夫からのオススメで読みました。

    大変面白い!
    脳の概念が覆されました。

    脳は体によって制限されているという事実。
    意識自体がとても曖昧だということ。
    感覚器はとても曖昧で、我々は脳が作り出した想像の世界の中で少しの感覚によって生きているということ。
    色んなことが驚きだった。

    色んなことが自分の思い込みなんじゃないかと思わされた一冊。

  • 著者は脳科学をガチで研究している方なので、頭モジャモジャのビジネス脳科学者とはちょっと違います。

    高校生に対して授業をしているという体で(もしくは本当にした?)話が進みます。かと言って話が冗長でわかりにくいかというと全くそんなことはなく、内容がスルスル頭に入ってきます。

    色を司る第4次視覚野が壊れると世界が白黒に見えるとか、物の動きを司る第五次視覚野が壊れると動いているものが見えなくなるといった話がとても興味深かったです(現実にこのような人がいるようです)。

    あと、目の解像度は100万画素くらいなのに、なぜくっきりきれいに滑らかに見えるのかとか、盲点の話など、全ては脳が勝手に補完しているからそのように見えるという話も個人的にはかなり「へぇ~」でした。

    2007年の本なので、現在はもっと進んでいると思いますが、脳について知りたいと思ったら読むべきです。

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著者プロフィール

脳研究者。薬学博士。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。
専門分野は大脳生理学で、海馬の研究を通じて、脳の健康や老化について探求している。

「2021年 『心のコリがスーッとほぐれる大人のぬり絵 季節の花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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