理系のための「即効!」卒業論文術―この通りに書けば卒論ができあがる (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062576666

作品紹介・あらすじ

「はてなブックマーク数」歴代1位の卒論アドバイザーが贈る
研究と執筆の完全マニュアル
本書132~139ページの通りに書けば、卒論ができあがります

速く、楽しく、すばらしい卒論を書く秘訣
「わからない」「慣れてない」「時間がない」ないない尽くしだから卒論はつらい。「はてなブックマーク数」歴代1位の人気サイト「やればできる卒業論文の書き方」の筆者が、「やるべきこと」「書くべきこと」から「書く順番」まで完全マニュアル化!読めば完成への特急券が手に入ります。

以下は内容のほんの一部です。
●研究のネタを発見するための「4つの問題」
●難物の序論は「4つの質問」に答えれば完成
●グラフがガラリと変わる「3つのポイント」
●この通りに埋めれば書ける!「卒論の構成」
●「まず謝辞から」書きやすい順番の一覧表
●プレゼンスライドの構成と実例見本

感想・レビュー・書評

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  • 本書は、理系の大学4年生に向けての卒論の書き方を指南する本です。
    著者は、卒業研究は、短距離のようなものと位置付けていて、期間があまりにも短いため、誰もが苦労するといっています。
    書いた論文が、多くの人から引用されること、長期にわたって引用されることが、ゴールとしています。
    自分が書いた論文が、頻繁に引用されるようになったらさぞかし、うれしいことでしょう。

    文中、研究ノートを、営業ノートと読み替えてもいいですし、論文の記載箇所での詳細度は、PR資料にも言えることです。論文をどう書くかも、通常の文章の書き方と基本は一緒だと思いました。

    気になったことばは以下です。

    ・成果がない実験をしても成果は得られない。本当は論文を書いてから、実験をするのが正しい。実験をするとどうなるかを自分の頭でシミュレートし、こうなるはずだと予測を持つことが大事です。どのような結果が、どのくらいの不確かさを持って発生するのかを数字として書ける程度に想像を固めます。データーは架空であっても、論文全体のスケッチを書いてしまうのです。
    ・インチキな論文は、このような予測を持たなかったために出現するのです。「実験前に架空データで論文を書くなんて、それこそ不正」と言われそうですが、実際は逆です。
    ・ちなみにプロの研究者は、研究費申請書を頻繁に書きます。申請書は「こうすればうまくいうはずだ。実験はまだだけど」という文書ですから、架空データによる予測論文の一種です。
    ・科学において残存している問題とは、下馬評が的外れで、突破口が見つかっていないものなのです。「人々と逆のことをやればだいたい正しい。世間のほとんどは間違っている」と言いましたが、まさにその通りです。
    ・困難につき当たったら、当初の目標に執着せず、目標を再構築することが大切です。実験はやってみると、いとも簡単に失敗します。机上の空論では想定していない要素が現実世界には充当しているからです。
    ・だいたい偉大な発見発明とは、怪我の功名が多いものなのです。このように当初は意図しなかった発見をつかみ取ることを、「セレンディピティ」といいます。

    ・複数の新しい変化を、いっぺんに試すな。という教訓があります。あれもこれもといっぺんに全部品を新型に変えると失敗するということです。部品それぞれを変えるごとに、ひとつひとつ試運転しなけれればいけません。

    ・研究ノートをつけよ。頭の中で考えたことはすべて書き込みます。考えるときは、ノートに書きながら考えあす。実験のデータもすべてノートに記載します。数字を手書きしたり、データシートや、グラフ、写真を張り付けたりもします。失敗した実験のデータもすべて収録します。やるべきことのリスト(TODO)もノートに書きます。計画的に仕事を勧めれば、実験を夜中にやる必要も減ります。関連論文や学会の情報、実験室の機材や資材に関するメモなども、みんなノートに張り付けておくことが大切です。要するに、研究ノートさえあれば、他の情報源がすべて消滅しても大丈夫なようにしておくべきです。

    多段階の詳細度 新聞のテクニック
    ① 大見出し おおざっぱに説明
    ② 中見出し、小見出し 詳細で付帯的な情報を記載
    ③ リード文 より詳細な説明を述べます
    ④ 本文 最も詳細な情報を記載します

    論説文の原則
    ①多段階の詳細度で説明
    ②1段落、1命題
    ③言いたいことを先に言う
    ④文章は単文で
    ⑤同じことを栗課さない、必要であれば、観点や詳細度を変えて主旨を変更する必要がある
    ⑥流れは一直線 余談をいれない なぜなら、混乱を招くから
    ⑦文字の修飾に頼らない 注目してもらいたいことは、見出し、段落1文などの目立つところに書く
    ⑧わかりやすく書く アリストレス「賢者のように考え、凡人のように語れ」

    論文の章立て

    第1章は、問題設定
    第2章は、問題解決方法の選定
    第3章は、解決方法の実行可能性を論証 実施方法の設計⇒実施可能性の証明⇒信頼性の検討
    第4章は、証拠の提示 仮説が正しく証拠が適切であっても読者が納得しなければ学会では認められない 手順⇒結果⇒考察 わかりやすくするには、①箇条書き、②図解、③写真
    第5章は、結論 ①研究の成果(わかったこと)、②成果の価値、③今後の課題
    付属部分 要約、謝辞、参考文献

    執筆のコツ

    ・書けるところから書け
    ・何はなくても謝辞だけは書け
    ・推敲 ①プリントアウトしてみる、②他人に見てもらう ③時間を置いてまた見直す ④音読してみる ⑤ポジティブチェック、よくするためのチェック ⑥ネガティブチェック、文章のあら捜しとその修正
    ・文字の大きさや余白、行間をゆったりめにとること

    目次

    はじめに

    PART1 卒業研究の進め方
    §01 卒業研究のスケジュール
    §02 研究のネタを見つける方法
    §03 孫子に学ぶ実験のコツ
    §04 研究の作法
    PART2 論文の書き方
    §05 業務用論説文の原則
    §06 卒論の標準的な目次立て
    §07 第1章は「問題設定」
    §08 第2章は「問題解決方法の選定」
    §09 第3章は、「解決方法の実行可能性を論証」
    §10 第4章は「証拠の提示」
    §11 第5章は「結論」
    §12 付属的部分の書き方
    §13 執筆のコツ
    PART3 卒論を世に出す
    §14 卒論の口頭発表
    §15 卒論の成果を発展させる
    §16 科学とは何か、不正とは何か

    ISBN:9784062576666
    出版社:講談社
    判型:新書
    ページ数:206ページ
    定価:920円(本体)
    発行年月日:2018年04月27日第5刷

  • 〇学んだこと
    1.執筆作業自体が、優れたアイデアを生む
    2.学生指導の際、研究対象・勝利条件・研究方法の3つのステージを意識
    3.職業としての研究者は「徴兵制」
    4.「問題発見能力」と「問題解決能力」。「問題発見能力」は現場で磨く
    5.実験の失敗は、想像力の欠如が問題
    6.論より証拠・統計結果を結果として扱うな・逃げ腰ではいけない・専門を限定するな
    7.論文の書きだしは、異論のない論点をスタート地点とする
    8.アイデアの価値「先発性・明晰性・普遍性・可用性」
    9.アイデアの限界「平凡さ・曖昧さ・狭さ・非実用性」
    10.論文を確認する際は、ポジティブチェック⇒ネガティブチェック
    11.論点の明確化・差別化されたタイトル案の検討

  • ・参考図書指定科目:「特別研究Ⅱ 田中 頼人」

    <OPAC>
    https://opac.jp.net/Opac/NZ07RHV2FVFkRq0-73eaBwfieml/4mtKkOWaWCDB-Eohxxfhcwcy7Rh/description.html

  • 所在・利用状況を見る:
    https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/95264

  • 【1行説明】
    (タイトルのまんま)

    【趣旨】
    主にこれまで論文のような系統だった長い文章を書いたことのない学部生に向けて,卒業研究の着手(テーマ決定)から卒論執筆,研究発表まで気を付けるべき点や知っておくとよいことを紹介している本.

    【引用文3つ】
    1. (p.68) やさしくシンプルに書く
    文章はわかりやすくなければいけません.論文をかっこよく高尚に見せたいがために,難解な専門用語や,珍しい感じをあえて使う人もいますが,そのような「こけおどし」をしてはいけません.
    2. (p.70) 学術論文が備えるべき内容
    ・他人のまねではない新規なアイディアがメインの主張であること
    ・何の問題を,なぜ解くのかが述べられている事(第一章:序論,背景)
    ・どのように解くのがよいのかが述べられている事(第二章:提案手法)
    ・その解き方はなぜ可能なのかが述べられている事(第三章:実験手順)
    ・十分な証拠が示されている事(第四章:実験結果)
    ・総括と自己評価が与えられている事(第五章:結論)
    ・文章の各部が,互いに分業し協力するように組織立っている事
    3. (p.140) 書きやすい順に書け
     文章は,書きやすいところから書くべきです.内容が決まっていてあとは書くだけのところや,レトリック上の工夫が不要で淡々と書けばよいところなどから先に着手します.(中略)書きやすい順とは,一般的には次の順になります
    ①謝辞
    ②証拠提示(実験報告)の第四章
    ③解決方法の可能性論証の第三章
    ④参考文献リスト
    ⑤解決方法選定の第二章
    ⑥問題設定(序論)の第一章
    ⑦結論の第五章
    4.

    【感想】
    多くの学生にとって,卒論というのは人生で初めての論文執筆であり大変な作業になると思う.
    しかるに,研究室での指導体制は整っておらず,「とりあえず書け.そしたらダメ出しするから」という状態なのではないだろうか(少なくとも私の場合はそうだった).
    右も左もわからないままとりあえず論文を書くよりも,先人の知恵を借りた方が効率的であると思い,「卒論の書き方」についての本を探したが,この一冊しか見つからなかった.
    しかし,この一冊でも十分なほどに卒論(もっと言えば論文全般に共通する)執筆に必要な心得を学ぶことができたと感じている.

  • 816-N
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著者プロフィール

1972年神奈川県生まれ。国立研究開発法人 産業技術総合研究所 人工知能研究センター 副連携室長。中央大学大学院 客員教授。内閣府消費者安全調査委員会専門委員などを兼務。専門は、ヒューマンエラー(人間の間違い)、安全工学、認知心理学。カリフォルニア大学サンタバーバラ校への交換留学を経て、東京大学大学院工学系研究科修了。博士(工学)。著書に『「事務ミス」をナメるな!』『「マニュアル」をナメるな!』(ともに光文社新書)、『ヒューマンエラーを防ぐ知恵』『防げ! 現場のヒューマンエラー』(ともに朝日文庫)、『多様性工学』(日科技連出版)など。

「2023年 『テストに強い人は知っている ミスを味方にする方法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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