理系のための研究生活ガイド―テーマの選び方から留学の手続きまで 第2版 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 320
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062576710

作品紹介・あらすじ

楽しくて充実した「研究生活」を送るには、さまざまなテクニックが必要だ。ボスの選び方、研究テーマの決め方、論文執筆のポイント、学会発表の技術、留学を実現する方法など。第一線の研究者でもある現役教授が、自らの体験に基づいたノウハウを全て公開する。

感想・レビュー・書評

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  • 分かりやすくて楽しく読めた。<br />◆大学の「与えられた課題」をこなす能力の高さは必ずしも研究者としての能力にはつながらない。<br />◆研究室はおもに人(ボス、先輩など)で選ぶ。<br />◆エンドノートで読んだ論文管理。<br />◆原則論文を書いてから学会発表がよい。<br />◆学会では必ず一回質問する。<br />◆留学は良い。行くなら下調べをきちんとやる。<br /><br />◆コミュ力のために自分の感情の動きに注目する。<br />◆速読、復習、アウトプット、タイムマネジメント

  • ===読んだ動機===
    ・理想的な研究者の在り方について書かれている本に触れたいと思った。
    ・1年前に隣のチームのリーダーがGWの暇つぶしにオススメしてくれた本。
    ・学会発表関連で非常に立て込んだことについて反省会をすることになった(個人的にしようと思っていたのだけど上司から業務としてやって皆に共有してFBも受けるようにと指示があった)。このような書籍を書く位の素晴らしい方の研究に対する姿勢を引用することで自分の反省+αを知り、共有できると考えた。

    ===どの部分を読んだか(理由)・どれくらいで読めたか===
    ほぼ全部を2h
    ガイド12の「絶対留学するためのテクニック」だけ、今留学する気がないので飛ばした。コロナだしバンドあるし。

    ===どんな読み方がよいか===
    一気に。例とかはサクサク流し読みで。

    ===感想===
    マインドセットから経験を踏まえた研究者ならではの重要な考え方や言動の在り方まで書かれている点がよかった。一般向けの書籍ではマインドセットのみか、言動については営業さんの例が出てきて(たぶん著者や読者に共通して言動の想像がつきやすいからかな)、研究者にとってあまり参考にならないこともあるように思っているので。
    全体的に研究者とは楽しい冒険であって、みんなで楽しくしよう、とテンションを挙げてくれる雰囲気がよかった(こんなんじゃダメだ!みたいなのではなくてよかった)。
    ときどき章のタイトルに対して節の項目がずれていることもあったけどご愛嬌の範囲内かなと思った。
    読み終えたらブックオフに売ろうと思っていたけど、気に入ったので置いておく^^

    ===興味深かったポイント/メモ===
    P24 研究者になるための8つのチェックポイント
    (1)自分の価値観(大事にしていること)を知る:答えが出なければとりあえず与えられたテーマで研究しながらその研究生活を通して、本当に自分のやりたい研究テーマ、得意なフィールドを作っていけばいい。これが研究する当面の理由であってもいい。
    (2)チームとしての価値観を知る
    もっとも大切に思っていることが何か話し合う。筆者が話し合いの結果、特に大事だと思ったのは、①アカデミックにやる②ごきげんにやる
    (3)自分の使命を考える
    (4)本音の価値観と使命で研究する
    (5)冒険者であること:不確定な進め方を求められる何かに没頭できる人(勉強は舗装された高速道路、研究は荒れたダート道)★タイトルが微妙なので書き換えた(元:学生時代の勉強と研究とは全然関係がない)
    (6)研究者の四大条件
    ①知的好奇心があること
    ②野心があること(学術での成功、高い地位に就きたい、経済的成功を収めたいとか、そういうすべての欲望)
    ③しつこくせまること:AがだめならBはどうかCはどうか、と。
    ④楽天的であること:研究はうまくいかないことの方が多いので、何度でも失敗に耐えられること
    ⑤(7)コミュニケーション能力が高いこと(→磨くこと。ガイド5)
    (8)失敗は大きな成功の過程と考える:査読落ちしてもあきらめずに論文を書き、投稿し続ける

    P51 研究生活の師匠を見つける:研究生活にはお師匠さんが必要。各年代いくつになってもいるべき(筆者は50後半だけど筆者にも居るとのこと)。
    師匠がいるメリット:
    ①目標の方向性が定まる
    ②励ましてもらえる
    ③少なくともその師匠のレベルにまでは達することができる可能性が大きい
    ④人生でひきあげてもらえる
    ⑤師匠がいると思うと何となく楽しい。

    憧れの先生には会いに行く。相談したいと連絡すれば会ってみようと思うのが大学教授。
    師匠選びには上からの"ひき"が大事(同じ実力ならいい師匠についている人の方が出世が早い)。そんなのがなくても挑戦できるのが理想だが、現実的には。

    P54 我以外みな師の精神を持つ

    P57 人生の師匠も見つける:そもそも研究するといっても、楽しさとか、やる気とか、ごきげんにやるとか、いろいろな精神面のことが解決して初めてやれるわけで、そういう意味では人生のお師匠さんも大切。

    P58 研究テーマを決める14の原則
    ★原則というかモチベーションを上げるための話や、自分の活動を振り返ったポジショントーク?
    (1)いつかはきっと自分で選んだテーマで研究する(ボスに却下されたら進めないのでそういう意味ではボス選びは大事 ※学生視点で書いている)
    (2)好きなテーマを自由な気持ちで選ぶ
    (3)決めたテーマにこだわる。まわりがどういおうとしつこく迫ると思いがけない成果が生まれることも多い。
    (4)既存研究があっても本当に興味があるなら自分の今の知識で何ができるのか考える。
    (5)仮説をしっかり作る。漠然でもいいから目指すところをはっきりさせる。例えば「エイジングに介入できるような身体にいい食べ物があるはずだ」とかでいい(ハーバード大学のデビッド・シンクレア教授の実例)。
    結果が分かっていることなど研究する意味がない。研究目的のディテールまで削り落としてもいけない。
    (6)予断を持たない:最初の仮説に固執すると、大きな近郊にたどり着く前に足踏みしているような状態になりやすい。仮説の誤りを認めて、新しいデータの出現を楽しんで受け入れる。
    (7)早くトップになれるテーマを選ぶ:テーマには壮大なものから小さなものまであるが、若い人には小さなテーマがオススメ(★できる限りテーマで解決できる課題を狭めようという話)。小さなテーマでもその文やでトップになれた方が気持ちいいし、研究費ももらいやすい。あまり研究者がいない穴場の分野を狙うのもアリ。いきなり大きな山を目指すのではなく、少しずつ高くなる連峰を目指す。少しずつテーマを広げていけば、研究の高みにたどり着けるだけでなく、気づけば研究テーマのすそ野も広がることになる。
    (8)社会的に価値のあるテーマを選ぶ:みんなが大事ですねと思って協力してくれるテーマ。
    (9)発展性のあるテーマを選ぶ:次の一手を考えて選ぶ。ひとつのテーマが終わった場合、途中で変更する場合に、次の楽しい一手が打てるようなテーマがいい。さらにはその研究テーマを窓口にして他の世界と繋がるようなテーマがいい。
    テーマを絞りきったら、逆に世の中の関連事項が見えてくる。光が集束すると後は拡散するのと似ている。集束させないと発散もしないが拡散できる余裕があるテーマが楽しい。
    (10)流行を取り入れる:流行のテーマには社会の関心も高く、研究費が集まりやすくて研究しやすい。
    (11)テーマ追及のための次善の策を考える。社会的に関心があることは分かるけど研究の方法論がないとかなら、実際に測定できる対象を研究するとか。一方、機材や文献や人材が不足などなら、有識者に声を掛けたらいい。
    (12)予想外の実験結果が出たときは、その理由をよく考えると、そこから新しいテーマが見つかる。
    (13)目標は長期・中期・短期に分けて設定する
    長期は5年、中期は1年、短期は1カ月ごと。「失敗も気持ちいい概念としてからゴール設定をすること」
    (14)ゴールに至る過程を楽しむ:以下②が特に大事
    ゴール設定のコツ
    ①具体的なゴール(できれば外部基準で測れるもの)
    ②その過程でどんな体験を持ちたいのか(エキサイトメント、感動など)
    ③その過程で何を学ぶか

    P81 自分自身を勇気づけるキーワードを作る。紙に書いて貼りだす。
    細胞もひとつの細胞で生きていけない。細胞間で元気になろうという刺激をしあっている。自分自身に激励の言葉を。
    朱に交われば赤くなるので、ご機嫌なひと、面白そうな人の輪の中に入る。
    コミュニケーション自体に価値がある。内容ではない。キャッチボール。

    P113 本でメタ理論を手に入れる:どの情報がキーで、どの情報が不必要かといった情報センスが重要になる。分野の最先端の情報を得るにはジャーナル論文を読むがひとつのことしか書いていない。本には体系だって書かれている。
    ひとつひとつの情報を包括的に説明できるような理論や情報をメタ理論という。

    分からないところはとりあえずパス。理解できない理由:能力不足、書き方が悪い、著者が間違っている。マークしておき、後から見ると分かることも多い。

    論文はとりあえずintroとdiscussionだけ読む。

    最新ジャーナルは専門誌から科学全般まで幅広く読む。
    英語力も鍛える。日記を英語で書くとかもいい。

    P144 論文に責任を取れる人を著者にする
    共著者は論文に次のような貢献がある人:研究のアイデア、プロトコルの作成、実際に手を動かす労働、資料の準備、論文の執筆、研究費の捻出、論文の指導

    introductionには5W1Hを。disucussionは意義づけと応用を。

    P187 質疑応答で分からない質問が出たとき
    「ご指摘ありがとうございます」
    ①話を一般化してしまう。「一般に…」というように一般化しつつ論旨をすり替える。これだと逃げたように思われない。
    ②問題点を自分からさらけだす。「今の発表にはこんな問題がありますね」と言われたら、「確かにその点も問題ですが、実はそれ以上に大きな問題がありまして…」と話しがしやすい話題にふる
    ③分からないことを認める。「その点については検討していませんでした。今後研究を進めてみみます」

    一番まずいのは頭が真っ白になって固まること。固まる前に③。

    P193 研究のための知的時間管理法
    ・1週間を時間単位に管理する。168時間。
    1日ごとに計画を立てていては時間管理のコストが高すぎる。1カ月では予期せぬできごとが起きるかもしれず長すぎる。金曜か遅くても日曜日には翌週の計画を立てる。
    ・2時間1単位で考える。168時のうちどのくらいの時間を研究に使いたいのかを決める。
    ・1週間ごとに達成率をチェックする。
    ・2-8の法則。16時間起きているとしたら成果が出るのが2割の3.2時間。この時間を研究に充てる。

    P198 ケネディ「若者は快楽よりも冒険に身をゆだねる」
    ・明日の予定を書いて机の上に置いておく。
    ・読み物は夜寝る前にするよう予定を組む。寝る前は記憶に残りやすいので。

    P247
    ・研究費取得可能先のリストを作る。
    ・業績に関心を持つ。アウトプットして、リストアップする。
    ・啓発活動も業績のうち。

    相手に自分の夢を信じてもらうために。
    ①最初に自分自身が夢をきちんと持つこと。
    ②決定する権限のある人たちに個人的に自分の夢を伝える。これは会いに行くのがベスト。だめなら個人的に手紙を書く。
    ③申請にあたってはオフィシャルなことだけでなく、夢を語るプラスアルファを加える。できれば影響力のある人にその夢を語ってもらう。

  • 楽しくて充実した「研究生活」を送るには、さまざまなテクニックが必要だ。ボスの選び方、研究テーマの決め方、論文執筆のポイント、学会発表の技術、留学を実現する方法など。第一線の研究者でもある現役教授が、自らの体験に基づいたノウハウを全て公開する。(出版社HPより)

    ◆◇工学分館の所蔵はこちら→
    https://opac.library.tohoku.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=TT21763203

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  • 正直読むのが早かったかなというのが感想。
    もう少し学年が上がって、研究室に所属しようとする辺りで読み直したい。

  • 研究の冒険的面白さ、それを追求するための時間マネジメント、金銭マネジメント、ITマネジメント、英語勉強法について分かりやすく解説されている。是非高校生や大学生におすすめしたいし、理系社会人にも是非読んでいただきたい内容。

  • 僕は将来医者になりたいので、そのためにいまからでもできることは何かと考えたかったから読んでみました。いろいろと意外なことが書いてあったんですけど、結果としては、自分の情熱によって決まるんだなあと思いました。

  • 修士では何だかんだ遊び呆けて、社会人9年目にしてやっと真面目に研究し始めたので読んだ。ガイド7〜10はためになった。それ以外はサラッと読む程度で十分だった。

    英語論文を素早く読むには、まずイントロとディスカッションを押さえる。
    意識して英語論文を速く読むようにする。
    ポッドキャストを利用する。
    ジャーナルのインパクトファクターに注目する。

    論文の5W1Hを意識して執筆する。
    なぜこの研究をするのか、これまでに誰がどんな報告をしているのか、この研究と先人の研究がどこで関係するのか、いかなる手法の研究か、その結果何を得たのか、それにはどんな意味があるのか、why,who,where.how.what,what。
    ディスカッションは解釈の仕方が大事。最後は意義づけが大事。

  • ボスの選び方、研究テーマの決め方、論文執筆のポイント、学会発表の技術、留学を実現する方法など。理系研究者のバイブル待望の第2版。

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著者プロフィール

慶應義塾大学医学部眼科学教授

「2019年 『診療で役立つ! 近視進行予防のサイエンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

坪田一男の作品

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