質量はどのように生まれるのか―素粒子物理最大のミステリーに迫る (ブルーバックス)
- 講談社 (2010年4月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062576802
作品紹介・あらすじ
素粒子の質量を作りだすといわれるヒッグス粒子。それが見つかれば、物質の質量の2パーセントは理解される。では残り98パーセントはどこからくるのか?そもそもヒッグス粒子とは何なのか?その鍵は真空にある。素粒子物理最大の謎に迫る。
感想・レビュー・書評
-
物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
東大OPACには登録されていません。
貸出:物性研図書室にある借用証へ記入してください
返却:物性研図書室へ返却してください詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
解った気にもなれんかった。
-
何より語り口が魅力。読みながら抱いたイメージは縫い針。避けては通れない強敵、相対性理論と量子力学を横目に見つつ進めていく筆致がよけいに、とりあえず縫っていけばできあがる洋服を思わせた。
-
素粒子の質量を作りだすヒッグス粒子が見つかれば、物質の質量の2パーセントは理解される。では、残り98パーセントはどこからくるのか?
-
「なんで空は青いのだろうか?」と疑問をもって自ら調べるような人でも、「なんで綿菓子はボールより軽いのだろうか?」とは調べない。誰もが重さについてわかっている気になっていて、質量が重力を持っていることなんて教わらなければ気付くはずもないだろう。
なぜ地球は縄もなく月を引っ張れるのか、どうやって自分の体重はわずかながらも地球を引っ張っているのか。質量がどのようにして生まれるのかが分かれば、その答えに近づけるかと思い本書を手にとったが、ますますわからなくなった。もう何度こうして素粒子物理学の壁に阻まれたことだろうか。
クォークまではなんとか理解できた気になった次の瞬間に、『質量ゼロだったクォークが、真空中の凝縮体にぶつかることで質量を持つことになる。』と置き去りにされ、さらにそれをわからない量子色力学で説明されて、知っていたはずだった"真空"の概念さえもわからなくされる。そしてその説明にしても、定義をしっかり語られず、説明しきる前に次の話題に流れていくので、素人が読む解説本としての出来は良くない。
素粒子物理学に明るくない自分がなんとか読み解けた部分としては、光速と質量とエネルギーの関係性については以前より一歩進めた気はするし、『素粒子は波であり粒子である』という事をわかっていたつもりなのに、ついイメージする際は粒子の形で考えていたということには気付けた。
わかった気になったりまたわからなくなったりして楽しめるのもこの分野以外にないだろう。趣味として、惑わされながら学んでいきたい。 -
数式を使わないでの説明は理解するのがやはり難しかった。結局主題の質量はどのようにして生まれるのかは煙に巻かれたような気がする。ただこの最先端の課題で科学者らが何をしようとしているのかは少しわかった気がする。
-
12年夏のヒっグス(と思われる)粒子発見で興奮して、ヒッグス機構を調べようと苦戦している時に手に入れた本。質量について、全体像が見えてくる本。南部陽一郎が偉大だということも分かった。クォークの質量が生まれるメカニズム、計算シミュレーションでの質量スペクトル検証など、全く知らなかったことを分かりやすく説明してくれる。肝心のヒッグス機構だが、最後の章に簡単に説明されているが、少し物足りない。もの凄く苦労して分かるように書いてあると思う。それでも読み返しても納得できない部分もあるが、それはこれから調べていく燃料となる。
-
ヒッグス粒子が見つかったのが記憶に新しいですが、質量の起源について書かれた本です。
ヒッグス粒子起源の質量は全体の2%でしかないのに、研究者が血眼になってヒッグス粒子を探していた理由も書かれていて、そこが一番興味深かった。 -
「神の粒子」ヒッグス粒子って何なのさ、ということで何冊か読んでいたのだが、やっと詳しく書いてある本に出会えて、へーそうだったのかと思いつつ読めた。
曰く、ゲージ対称性を破る張本人、ということで、まあ、なんとなく、そういうことだったのか、と理解はできたが、その正体については、まだ新しい粒子だか理論だかがありそうで、まだ続くんかいと思わざるを得なかった。
300ページとそこそこボリュームはありながら、素粒子物理の幕開けから2010年の近況まで超特急で飛ばしてる感はあったが、ブルーバックスらしく?危険なところには踏み込まないで助けられた面も多々あり、なかなか良いバランスの本だなと思った。