睡眠の科学―なぜ眠るのかなぜ目覚めるのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
3.75
  • (24)
  • (47)
  • (43)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 537
感想 : 61
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577052

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • うさんくさい健康本なら『10倍睡眠の効率が上がる方法!』みたいにタイトルをいじれたろうが、
    ブルーバックスらしい率直なタイトルの付け方。
    と言っても、この内容の薄さで科学を語るのもやや大仰ではあるが。

    本書は睡眠時の脳内物質の相互作用を中心に解説する睡眠のしくみ本。
    特にレム睡眠とノンレム睡眠の違いは詳細に語られるが、
    人の生活と睡眠の関わりを語るには事例と統計が不足している。

    科学要素の用語は多くとも、文体は初学者向けで読みにくいことはないので、
    手にとって損をするような本ではない。
    多少なりとも興味があれば、読んでて眠くなることはないだろう。

  • ひさびさの“BLUE BACKS”新刊がでたということで、ブクログに献本を申し込んだけれど、当選運に恵まれないのが想像されるので、この本の2010年版を読んでみようと思った。

    夏休みに聞いていた子ども電話相談室同様、知りたいことにみごとに答えてくれて嬉しい次第です。
    「睡眠」に限定されなずに、“脳のしくみ働き”や“からだの働き”など周辺の知識も、湧き上がる不思議の溝を埋めてくれた。
    まだまだ「解明されていないことが多くある」という言葉を著者は多用していたが、これは科学者共通の「知ること」への欲望でもあり、この地上の尽きぬ未知の証し、そこへの欲求が人類が生きるうえでの最上の悦びに思えてきた、至福の読書時間だった。
    しばらく枕の下に忍ばせて、「睡眠学習」したくなるそんな一冊だった。
    新刊本の献本当たりますように。

  • 睡眠は記憶のデフラグとクリーンアップらしい。海馬から情動と強く結びついた記憶をどこかに移すときに目が動いてしまう。ついでにどこかにある昔の記憶をどこかに移すときにこともあるから。

  • 本当に睡眠の”科学”です。かなり専門用語多いです。じっくり行きつ戻りつ読んで、わかるかわからないかギリギリな感じで読み進めましたが何とか最後まで行き着きました。さすがブルーバックス、「科学をあなたのポケットに」でした。たまにはいいです、こういう手強い感じ。
    当たり前すぎて考えもしない行為、睡眠。まだまだ謎が多いということに驚く。単純に見えて本当はとても複雑で包括的な脳の作動システムによって睡眠という行為が生まれているのだなぁと思うとやはりロボットに先を越されるのはまだまだよ、と安堵の胸を撫でおろす。

  • 配置場所:摂枚新書
    請求記号:498.36||S
    資料ID:95110192

  • 難しい内容でしたが勉強になりました。
    「睡眠」はまだ分からないことが多いようです。

  • 睡眠に関する科学的な検証を図った本。
    専門用語が難しく、だいぶ飛ばし読みをした。

  • 2016.09.23 読書中
    目から鱗
    ・もし睡眠をとる必要のない動物が進化の過程で生まれていたら、生存競争を勝ち抜く上で圧倒的に有利だったはずである
    ・受動的な状態と考えがちであるが、実は睡眠は脳が積極的に生み出す状態
    ・・・

  • なぜ睡眠が大事なのか? この問いの答えを知りたくて手に取ったが、実は「なぜ眠らなければならないか」ということへの答えはまだわからないらしい。それにまず驚いた。
    レム、ノンレム睡眠の話が特に興味深かった。

    断眠すると、アルツハイマー病の原因物質が海馬に蓄積される/レム (rapid eye movement) 睡眠中は覚醒時よりも強く脳が活動していて、夢はその反映/レム睡眠は、通常睡眠に入ってすぐその状態にはならないが、睡眠が短くなると、すぐにレム睡眠に入るようになる/非宣言記憶→手続き記憶や情動記憶のこと/ノンレム睡眠中に活動が高くなる「睡眠中枢」→睡眠をつくっている/呼吸や循環を統制する「脳幹」→脳幹の機能が止まると脳死/覚醒とレム睡眠に関わる「脳幹網様体」/体温調節に関わる「モノアミン作動性システム」→眠ると機能が停止→雪山で遭難してレム睡眠に陥ると生命の危機/生殖細胞以外のすべての細胞が「時計」をもっているが、視交叉上核が「標準時」/睡眠負債が大きくなると眠くなる/覚醒時に多く使った脳の部位ほど深い眠りがみられる/情動は覚醒レベルを上げる→チャンスを逃さず、危険を回避するため→不安を感じても不眠を起こす/記憶の重要度は情動が関わる/直感をつかって生存率をあげる「扁桃体」/食後に血糖値↑→グルコース濃度に影響→オレキシン作動性ニューロンの発火頻度↓→眠気につながる *血液が脳に集中するからではない/海馬で長期記憶用のかたちに変えて大脳皮質へ移す/抗ヒスタミン→眠気に/覚醒剤の作用でドーパミンが増加→それを繰り返したいと思う/睡眠がモノアミン類の感度をあげるなら、睡眠で気分が楽になる戦争になると睡眠不足でのミスは致命的→軍事的にも重要/脳みそには必要なもの以外はなかなか外部に取り込めない/寝る前に手足が冷えすぎても温かすぎても寝づらい/カフェインはアデノシン(睡眠負債に関わる)拮抗薬/体内時計には、光より食事のタイミングの方が強い効果がある/個人差を考慮した「テーラーメード医療」が行われるかも

  • ブルーバックスの睡眠に関する科学解説本。ブルーバックスの本は比較的真面目なものも多いが、この本も真面目で一般向け科学解説書としてよいレベルの本に仕上がっていると思う。

    睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠に分けられるが、その解説は非常に丁寧。レム睡眠はそれを妨げてもレム睡眠に陥りやすくなるか何らかの障害が発生するという点で必要なものであることがわかっているが、それでも、まだなぜ必要なのか、具体的に何が行われているのか、が分かっていないという。また、寝溜めはできないが、睡眠負債を長時間の睡眠で返すことは可能そうだともいう。どうりで土曜日起きられないわけだし、たぶん起きるべきではないんだな。

    著者は睡眠に関係し、ナルコレプシーという病気にも関係していたオレキシンという脳内物質を発見した第一線の科学者。著者のまとめは次の通り。

    ①睡眠を奪うと精神の変調が見られる
    ②睡眠を奪うと視床下部の恒常性維持機能の失調がみられる
    ③睡眠は記憶を強化する
    ④睡眠は絶対にとらなくてはならないものだが、ある程度の柔軟性もある
    ⑤ノンレム睡眠とレム睡眠では大脳皮質の活動パターンが大きく異なる
    ⑥レム睡眠では大脳辺縁系の強い活動が観察される
    ⑦ノンレム睡眠の深さと長さは、直前の覚醒時の脳活動の強さと長さに影響を受ける
    ⑧覚醒とノンレム睡眠、レム睡眠は脳幹の広範投射系によって制御されている
    ⑨広範投射系は視床下部の視索前野のGABA作動性ニューロンと、外側野のオレキシン作動性ニューロンによって制御されている

    そして、睡眠を必要とする脳の機能と、「眠気」を感じるメカニズムの2つを別のものとしてとらえることだという。著者の仮説は、ノンレム睡眠が、情報の収集を停止することでシナプスの最適化を行うためのもので、レム睡眠が記憶の重要性を整理するなどファイルシステムの整理と、視床下部の恒常性機能のメンテナンスを行っているとする。

    眠りって重要なんだというのが最近わかってきて、記憶力の低下は長年の睡眠不足の影響なのかと心配になってきた。単に老化の兆しなのかもしれないが。何よりも一定の睡眠時間を優先する生活をした方がよいのかしらんとちょっと本気で思ってみたり。

全61件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1964年東京生まれ。医師、医学博士。筑波大学医学医療系/国際統合睡眠医科学研究機構・教授。1998年、覚醒を制御する神経ペプチド「オレキシン」を発見。睡眠・覚醒機構や摂食行動の制御機構、情動の制御機構解明の研究に携わる。
受賞歴:第11回つくば奨励賞、第14回安藤百福賞大賞、第65回中日文化賞、平成二十五年度文部科学大臣表彰科学技術賞、第2回塩野賞、第32回つくば賞。
おもな著書:『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」』『睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか』『睡眠障害のなぞを解く「眠りのしくみ」から「眠るスキル」まで』(以上、講談社)、『最新の睡眠科学が証明する 必ず眠れるとっておきの秘訣!』(山と渓谷社)、 『〈眠り〉をめぐるミステリー 睡眠の不思議から脳を読み解く』(NHK出版)など。

「2022年 『睡眠の大研究 しくみと役割をさぐろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

櫻井武の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×