宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 620
レビュー : 69
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062577991

作品紹介・あらすじ

私たちは星のかけらからできています。では、その星たちは何からできているのでしょうか。

宇宙のはじまりにどんどん近づきながら、宇宙はどうやってできてきたのか、どうして私たちがこの宇宙に存在しているのかをニュートリノ、ヒッグス粒子、インフレーション、暗黒物質など最新の知見を手がかりに解き明かしていきます。

感想・レビュー・書評

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  • <素粒子ふしぎ物語-いちばん小さいものを知ると、いちばん大きいものがわかってくる>

    われわれが普段目にしている日常の風景から、大きい大きい世界を考えてみる。山、地球、太陽、太陽系、銀河系、そしてどことも知れぬ宇宙の果て。
    逆に小さい小さい世界を考えてみる。微生物、DNA、原子、原子核、そして素粒子。
    大きくしても小さくしても、その広がりは遥かに遠くまで続く。
     参考)『パワーズ・オブ・テン』

    本書の冒頭は、ヘビが尻尾を加えた「ウロボロスのヘビ」から始まる。古来から用いられる、循環や永遠を象徴する意匠である。
    本書が語る世界に対応させれば、ヘビの頭は大きな大きな宇宙、尻尾は小さな小さな素粒子である。
    本書のタイトルは「宇宙になぜ我々が存在するのか」である。一方、副題は「最新素粒子論入門」である。
    小さな小さな素粒子を語ることが、なぜ大きな大きな宇宙を語ることになるのか。

    その前に、素粒子とは何かに簡単に触れる。
    原子に「原子」という名前が与えられたとき、それは「もう分けられないもの」という意味だった。しかし、その後、原子は原子核と電子からなり、原子核は陽子や中性子からなり、陽子や中性子はクォークからなることがわかってきた。
    クォークや電子は素粒子と呼ばれる。
    研究が進むにつれ、素粒子にはいくつかの種類が存在することがわかってきており、標準理論では17種類の素粒子があるとされている。

    では、素粒子論がどのように宇宙論とつながるのか。
    誕生時、宇宙はとても小さく、熱いものだった。莫大なエネルギーから物質と反物質が生まれた。物質と反物質は出会うと互いに打ち消しあい、消滅する。
    宇宙がなぜ今のような姿になったか理解するためには、宇宙の始まりに、誕生した粒子と反粒子がどのような振る舞いをしたのかを理解することが不可欠である。
    宇宙になぜ我々が存在するのか。
    ごく簡単に書いてしまえば、それは宇宙の始まりに生じた物質と反物質の間に非常にわずかな非対称性が生じ、物質の方がわずかに多く残ったことによる。
    おそらく非対称性は素粒子の1つのニュートリノが生んだと考えられている。

    宇宙はどのように始まったのか、そして遠い未来、どのようになっていくのか。
    その鍵は素粒子が握っているのである。

    ---------------------------
    ここまでが簡単な本書の流れである。
    以下、個人的な感想となるが。
    物質と反物質。ヒッグス粒子と「質量」。ニュートリノ。虚数の時間。多次元。超ひも理論。
    最新の話題を盛り込みつつ、読みやすく、かつエキサイティングな本である。
    図版も多く、適宜、Q&Aやコラムも挿入されて、工夫が感じられる。
    著者は素粒子物理学における稀代の語り部と言ってよいだろう。
    しかし、これは非常にかいつまんだダイジェスト版である。いうなれば、キャスト紹介とシナリオの要約だ。
    非常におもしろそうな物語なのはわかった。だが、もっと深く理解するには、やはり物理学の知識が不可欠なのだ。「お話」として聞き続けるのはいささかもどかしい。
    「次の一歩」としてふさわしい本は何なのだろう。いきなり専門的すぎる本は読めないし、かといって数式がほとんど出てこない本ではもどかしさからは抜けられないだろう。

    素粒子物理、おもしろそうだ。と一方で思う。
    しかし、そこへ登る梯子を今の自分は持っていない。ともう一方で思う。
    惹かれる思いととまどいが同時にある。
    自分はここに近付くことが可能なのか?
    能力と興味を天秤に掛けつつ少々考え込んでいる。

    (以下、さらに蛇足の雑感です)
    *何か、後半はとても私的かつ非科学的なレビューになってしまいました。むぅ。

    *カミオカンデもLHCもすごい装置だけれども。しかし現在実際に使用している機器は地上の物理学を元にしているわけで。例えば暗黒物質なるものは、人類が観測する術を持たない物質であるのかもしれない。虚数の時間を測るとか、五次元、六次元のものを捉えるとか、そういった「仕組み」を考案することは可能なんだろうか・・・?

    *ニュートリノに質量があることの証明は、ニュートリノ振動が起こっている→ニュートリノは時間を感じている→光速より遅く移動している→重量があると言う流れ。相対性理論も絡めたこの辺の発想がおもしろい。

    *ビッグバンならぬリトルバンを起こして素粒子の挙動を調べるというあたり、生命の誕生実験のようで興味深い。

    • bokemaruさん
      ぽんきちさん、こんにちは。
      五次元、六次元のものを捉える仕組み、ぜひ作ってみてほしいですよね!
      次元が違う世界からは決して異次元を体感するこ...
      ぽんきちさん、こんにちは。
      五次元、六次元のものを捉える仕組み、ぜひ作ってみてほしいですよね!
      次元が違う世界からは決して異次元を体感することはできないといいますから、想像だにできないのですが…だから興味大いにあります!物理学はちんぷんかんぷんですけど(^_^;)
      2013/06/22
    • ぽんきちさん
      bokemaruさん
      多次元、おもしろそうですよね。
      次はそのあたりから専門的すぎずに多少歯応えのある本を探してみようかな・・・? と引き続...
      bokemaruさん
      多次元、おもしろそうですよね。
      次はそのあたりから専門的すぎずに多少歯応えのある本を探してみようかな・・・? と引き続きちょっと考え込んでいます(^^;)。

      この辺の話は、論理を追っていくとそうなんだけれど、たどり着く結論はどこかキツネにつままれるような(^^;)、そんな感じがしますねぇ。
      2013/06/22
  • 我々の体は結局は星屑からできている・・・宇宙、素粒子etc.。難しいことを非常に分かりやすく説明してくれている。

  • ヒッグス粒子の働きがホールデンの名言「クレージーな崖のキャッチャー」を思い起こさせました。(笑)
    村山斉さんの文章は読んでいてとても気持ちよくなります。

  • Twitterの企画でブルーバックスさんから
    書籍(ゲラ)を頂いて読んだのですが、
    副題にもあるようにこれは実は最新素粒子論入門なのですね。

    どちらかというと表題に惹かれて読んだのですが、
    素粒子論を突き詰めてゆくと、地球や私達といった
    物質の存在の起源に大きく関わってくるようです。

    普段宇宙や物理化学に興味を持たない人でも、
    近年ニュースで取り上げる事の多くなった
    ニュートリノやヒッグス粒子のことについて
    優しい解説があり、最終章に表題の
    ”宇宙になぜ我々が存在するのか”に対しての
    ヒントが明かされます。

    手軽に読みやすいページ数ですし、
    日常を宇宙に想いを馳せるのが楽しいです。

    書評漫画ブログも描きましたので、
    よろしければご覧になってください。

    (記事の掲載と漫画の内容もブルーバックスさんの許可を頂いています)


    http://fourclover.blog.so-net.ne.jp/2013-01-17-1

  • 同じ著者の「宇宙は何でできているのか」も読みましたが、この本の方が説明がわかりやすかったです。
    今後さらに研究が進めば、宇宙誕生の100億分の1秒後くらいまで解明されるかもしれないと思うと、ワクワクしてきます。

  • 素粒子理論や最先端の理論のところは難しかった。宇宙創成を読んだ後だからか、知っている部分はアバウトに感じたので、理系の人にとっては大した話ではないのかも。もっと我々が何故存在するのか?という哲学的な部分を掘り下げているかと思ったが、どちらかと言う科学重視だったようだ。それでも十分興味深く面白かった。

  • ちょうど昨日、高エネルギー加速器研究機構の公開日があり、村山先生の特別講演を聴いた。講演の内容は、本書とほぼ同じものであったが、1時間の講演に非常によい内容が詰め込まれていた。難しい理論を抽象し、理解が容易な比喩で解説した好著である。講演を聴いた翌日、品川区図書館で借りて、1日で読めた。できれば、生の講演を聴く機会があれば、おすすめしたい。TVなどでも機会があるだろう。

  • 後半のCP対称性が、、、というあたりから難しくてスンナリは理解できなかった。でも、一線で研究している人がブルーバックスという形式で、このペースで最先端の話題を紹介してくれるのはありがたいことです。

    ・真空にはヒッグス粒子が詰まっている。弱い力を媒介するウィークボソンはヒッグスにぶつかるので速度が落ちる(光速よりも遅い=質量をもつ)

    ・ビッグバンの時、エネルギーから物質が生み出されたが、その時は必ず反物質とペアになっていたはず。しかし、それであれば生まれたばかりの物質は反物質と対消滅してまたエネルギーにもどってしまうが、現在の宇宙が物質ばかり。これは対称性の破れがあったからで、ニュートリノが大きな役割を果たしていた。

  • ニュートリノが左巻きという話が面白かった。

  • 「宇宙になぜ我々が存在するのか」我々は物質であり、物質が消滅しないのは ニュートリノの対称性のズレのおかげ。少し理解できた。面白い。科学本はロマンチック

    我々=物質→原子→原子核+電子→原子核=陽子+中性子→それぞれ3つのクォーク

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