宇宙になぜ我々が存在するのか (ブルーバックス)

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  • 講談社 (2013年1月18日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784062577991

作品紹介・あらすじ

宇宙の見方が変わる最新宇宙論私たちは星のかけらからできています。では、その星たちは何からできているのでしょうか。宇宙のはじまりにどんどん近づきながら、ニュートリノの不思議な性質をさぐりながら、ヒッグス粒子やインフレーション、そして暗黒物質との関わりを解き明かし、宇宙はどうやってできたのか、どうして私たちがこの宇宙に生まれ、存在することができたのかを考えていきましょう。(2013年1月刊)


宇宙の根源に迫る壮大なストーリー
この宇宙に存在する「私」の起源に迫る

私たちは宇宙の塵からできているといわれています。じつは、宇宙が原子よりもっと小さくて熱かったころ、塵のもとになった物質と、その反物質が衝突しては消え、新しい物質と反物質が生まれては消えて……、そんなことを繰り返していました。
それがあるとき、宇宙の温度が少しだけ下がると同じ数だけあった物質と反物質のバランスが崩れ、ほんのわずかな反物質が物質に変わり、私たちが存在する物質だけの世界ができたお蔭で、私たちが生まれてきたというのです。その鍵を握っているのが、いままで質量がゼロだと思われていたニュートリノにあったのです。

・いったいニュートリノにどうして質量が生まれたのか?
・ニュートリノはどうしてこんなにたくさん宇宙に存在しているのか?
・なぜニュートリノには左巻きしか存在しないのか?
・右巻きニュートリノはどこへ消えたのか?
・ヒッグス粒子によってニュートリノはどうやって質量を得たのか?
・右巻きニュートリノがインフレーションを起こしたって本当?
・ヒッグス粒子は「顔なし」ってどういうこと?        

これらの謎を解き明かしていくと、そこには思いもよらない結末が……。
最新の素粒子理論を駆使して、最新の宇宙像に迫る、村山先生の最新作!
スラスラといっきに読めて、しかも読み終わったあと、
宇宙の見方がぜったいに変わります。

みんなの感想まとめ

宇宙の成り立ちや私たちの存在理由に迫るこの作品は、難解な素粒子論をわかりやすく解説しています。特にニュートリノに焦点を当て、宇宙の歴史を辿りながら物質と反物質のバランスの崩壊がどのように私たちの世界を...

感想・レビュー・書評

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  • 村山斉氏2冊目
    「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」こちらが非常に読みやすくわかりやすかった(宇宙入門書としての位置づけらしいので当然かも)ため、今回はこちらに挑戦

    この著は「ニュートリノ」がメイン
    物理や宇宙の本に大抵登場する名前は聞いたことあるが、よくわからないヤツである
    この「ニュートリノ」をひとことでいうと
    「中性の(電気を持たない)小さい粒子(素粒子)」である

    これに少し補足を加えると…
    宇宙を構成するすべての物質は、「クォーク」と「レプトン」という素粒子の仲間から形成されている
    クォークとレプトンは,それぞれ,自分とペアになる粒子をもっており、レプトンは電子とそのペアとなっているニュートリノで形成される
    (あれ?補足するほど、難しい!)

    とても大きな宇宙を理解するために、小さな素粒子の世界を知る必要がある


    【宇宙のはじまり】
    ・宇宙誕生は今から約137億年前
    ・誕生直後の宇宙は原子より小さかった(ベビちゃん誕生 なんだか愛おしい)
    ・インフレーションが起こる
     原子より小さい宇宙が1秒もしないうちに数ミリに広がる
       (ビックバンが最初ではないのだ 数ミリって一見大したことないように感じるが、原子より小さいサイズから…だから凄いことだ)
    ・ビックバンが起こる
     宇宙のもっていたエネルギーが熱や光に変化し一気に熱くなる
    ・宇宙が三キロメートルくらいの大きさになると、粒子と反粒子のバランスが崩れる
        →ニュートリノの変てこな動きによる(これがネックで凄いことなのだ)
    ・宇宙が一億キロメートルになると、ヒッグス粒子が凍りつく
        →素粒子の世界に秩序が生まれ、多くの素粒子に質量が与えられるように
    ・宇宙誕生から約38万年後、宇宙が落ち着きはじめる
     原子ができるようになり、星や銀河が形成される


    【上記内容の補足と備忘録】

    ■反物質について
    (映画「天使と悪魔」で犯人が盗んだヤツ!爆発したら凄いエネルギーを発揮するのだ)

    どんな物質にも、必ずそれに対応する反物質がある
    ・物質は、必ずその物質とついになる反物質と一緒に生まれる
    ・物質と対になっている反物質が出会うと大消滅と言う現象が起こり、物質も反物質も消滅する
    ・物質としては消滅するが、消えてしまった後には物質と反物質の重さの分だけエネルギーができる
    ・物質と対になる反物質は必ず同じ重さだが、電気の性質が逆になる

    イメージとしては自分と鏡に映った自分の姿
    また、反物質が出会うととてつもないエネルギーが発生し、消滅する
    (自分の移った鏡に触れると爆発して消滅するイメージ 恐ろしい)
    我々の普段の生活では起こり得ない

    宇宙が誕生した直後は反物質がたくさんあった
    反物質が作られるのと同時に物質も作られるので物質もたくさんあった
    これらが出合いと消滅を繰り返し宇宙が広くなっていった
    やがて反物質はほとんどみあたらなくなった
    しかし星や地球、銀河など、はたまた我々人間などの物質は残っている
    これは一体どういうことか
    この謎の鍵を握っているのがニュートリノだ


    ■原子の世界
    (下記は下↓に行くほど小さい)
    ・「原子」…原子核があり、周りを電子がまわっている
    ・「原子核」…陽子と中性子から成る
    ・「陽子」と「中性子」…クォークから成る

    構成しているクォークは同じ、組合せの違いにより物質が異なる
    (これがロマンで私たちを作っているクォークはもしかしたらはるか昔どこかの恐竜のものだったかもしれないし、もちろん星屑の一部でもある しかしながらクォークには何の個性もないから遡ってたどれないのが残念なのだが)

    私たちの身体を作る素粒子は
    「電子」、「アップクォーク」、「ダウンクォーク」の3種類
    しかし宇宙はこれら以外にたくさんの素粒子が発見されている

    ここからなかなか難しい論点が展開される
    そうニュートリノを知るには、素粒子の背景や宇宙の成り立ちが不可欠なのだ

    ○フェルミオン…「クォーク」と「レプトン」のように物質を形づくるのに関係している素粒子
    ○ボソン…力を伝える素粒子

    ■宇宙の力とは以下の4種類になる
    ・電磁力…力を伝える素粒子は「光子」
    ・強い力(核力)…力を伝える素粒子は「グルーオン」(クォーク同士若しくはクォークと反クォークがグルーオンによってくっつけられている)
    ・弱い力(核力)…力を伝える素粒子は「ウィークボソン」
    ・重力…不明らしい

    ■ヒッグス粒子
    ・ヒッグス粒子はエネルギーが低くなると自然に対称性が破られる仕組みが組み込まれている
      →弱い力と電磁気力を区別する
      →素粒子に重さを与える
    ・真空中にビッシリ詰まっており、重さを感じないため、高速で四方八方飛び回る
    ・しかし宇宙の温度が下がり、ヒッグス粒子が凍りついたため、原子がその場に留まるように秩序ができた
    そのおかげで地球や太陽や私たちが出来た
    (ここはあまり理解できていないため、とりあえずはこの程度で…)


    【ニュートリノの特徴】
    ■ニュートリノは電荷を持たないため、他の物質とほとんど反応しない
    (地球すら容易に貫通してしまうほど)
    ■ニュートリノは宇宙で最も豊富な素粒子の一つで、身の回りを光速で飛び交っており、私達の体を1秒間に数百兆個も突き抜けていく
    しかし、ニュートリノは他の物質とほとんど反応しないので、私達がそれを感じることはない
    ■ニュートリノには重さがある(ニュートリノ振動という変化があり、変化があるということは時間を感じることであり、時間があるということは光速よりは遅い、すなわち重さがある)


    乱暴にまとめると…
    恐らくニュートリノの変てこな動きと、ヒッグス粒子の対称性が破られること
    これらにより、地球や太陽や我々が宇宙に存在しているらしい

    事実だけ記載すると何の面白みもないが、実際はなぜこういう結論に達したのか…という検証方法や、詳細や、先人のご苦労があり、そこも読みごたえがある
    何より村山氏の文章はシンプルでわかりやすい
    恐らく根っから親切な性格なんだろうなぁ…
    残念ながら私めの能力では簡単に理解は出来かねるが、大変味深く読めた
    次のステップへつなぐ1冊になったのは間違いない
    ステップバイステップで少しずつ学んでいこうと思う
    宇宙と物理って本当に面白い!
    子供の頃の自分に教えてあげたいものだ

    • りまのさん
      ハイジさん
      私は、物理や数学が、全然できないのですが、だからこそ、物理学者や数学者の、頭の中や、人物像に、興味があります。
      宇宙のことなどに...
      ハイジさん
      私は、物理や数学が、全然できないのですが、だからこそ、物理学者や数学者の、頭の中や、人物像に、興味があります。
      宇宙のことなどにも、素朴な憧れが、あります。
      ハイジさんのレビューを読むと、ちょっと難しながらも、うっとりしてしまいます。
      2021/01/15
    • ハイジさん
      りまのさん
      再びありがとうございます!
      自慢じゃないですが、私もコテコテの文系人間でしたし、学生時代遊んで暮らしたひどいツケがあり、基礎が全...
      りまのさん
      再びありがとうございます!
      自慢じゃないですが、私もコテコテの文系人間でしたし、学生時代遊んで暮らしたひどいツケがあり、基礎が全くありません^^;
      理数系に興味を持ち出したのはココ数年です
      少しずつ知識が増えると、わからないなりにときめきを感じ、いつの間にか夢中になりました
      りまのさんも興味をお持ちのようですので、私を励みに(?)ぜひ理数系の世界を楽しんでみて下さい!
      世界が広がります♪
      2021/01/15
  • 「宇宙は本当にひとつなのか」の姉妹編で、素粒子論をわかりやすく、丁寧に説明されている。
    特に、ニュートリノを中心に内容が展開されていて、最後は表題の存在までの宇宙の歴史の外観が語られる。
    とにかく読みやすくて、あっという間に読める。

    ブライアン・グリーンの本は難解な実験なんかも、数式を使わず、例えを上手く使って説明され、いろいろなことが詳しくわかるが、村山先生の本は無駄なく、誤魔化しなく、寄り道せずと言った感じ。どちらも誠実に書かれている気がする。

    こういった本は読み始めると、下手な推理小説よりずっとドキドキさせられる。
    それほどに世界は不思議に満ちている。


  • かなり古めですので最新の素粒子論の発展と比較できます。
    Newton雑誌でたまに出てくるドレイク方程式による宇宙人に出会える確率。タイトルに惹かれてそんな内容かなぁと思い読み始めましたが、実際は素粒子論のプロセスからの捉え方で面白さが増しました。

  • <素粒子ふしぎ物語-いちばん小さいものを知ると、いちばん大きいものがわかってくる>

    われわれが普段目にしている日常の風景から、大きい大きい世界を考えてみる。山、地球、太陽、太陽系、銀河系、そしてどことも知れぬ宇宙の果て。
    逆に小さい小さい世界を考えてみる。微生物、DNA、原子、原子核、そして素粒子。
    大きくしても小さくしても、その広がりは遥かに遠くまで続く。
     参考)『パワーズ・オブ・テン』

    本書の冒頭は、ヘビが尻尾を加えた「ウロボロスのヘビ」から始まる。古来から用いられる、循環や永遠を象徴する意匠である。
    本書が語る世界に対応させれば、ヘビの頭は大きな大きな宇宙、尻尾は小さな小さな素粒子である。
    本書のタイトルは「宇宙になぜ我々が存在するのか」である。一方、副題は「最新素粒子論入門」である。
    小さな小さな素粒子を語ることが、なぜ大きな大きな宇宙を語ることになるのか。

    その前に、素粒子とは何かに簡単に触れる。
    原子に「原子」という名前が与えられたとき、それは「もう分けられないもの」という意味だった。しかし、その後、原子は原子核と電子からなり、原子核は陽子や中性子からなり、陽子や中性子はクォークからなることがわかってきた。
    クォークや電子は素粒子と呼ばれる。
    研究が進むにつれ、素粒子にはいくつかの種類が存在することがわかってきており、標準理論では17種類の素粒子があるとされている。

    では、素粒子論がどのように宇宙論とつながるのか。
    誕生時、宇宙はとても小さく、熱いものだった。莫大なエネルギーから物質と反物質が生まれた。物質と反物質は出会うと互いに打ち消しあい、消滅する。
    宇宙がなぜ今のような姿になったか理解するためには、宇宙の始まりに、誕生した粒子と反粒子がどのような振る舞いをしたのかを理解することが不可欠である。
    宇宙になぜ我々が存在するのか。
    ごく簡単に書いてしまえば、それは宇宙の始まりに生じた物質と反物質の間に非常にわずかな非対称性が生じ、物質の方がわずかに多く残ったことによる。
    おそらく非対称性は素粒子の1つのニュートリノが生んだと考えられている。

    宇宙はどのように始まったのか、そして遠い未来、どのようになっていくのか。
    その鍵は素粒子が握っているのである。

    ---------------------------
    ここまでが簡単な本書の流れである。
    以下、個人的な感想となるが。
    物質と反物質。ヒッグス粒子と「質量」。ニュートリノ。虚数の時間。多次元。超ひも理論。
    最新の話題を盛り込みつつ、読みやすく、かつエキサイティングな本である。
    図版も多く、適宜、Q&Aやコラムも挿入されて、工夫が感じられる。
    著者は素粒子物理学における稀代の語り部と言ってよいだろう。
    しかし、これは非常にかいつまんだダイジェスト版である。いうなれば、キャスト紹介とシナリオの要約だ。
    非常におもしろそうな物語なのはわかった。だが、もっと深く理解するには、やはり物理学の知識が不可欠なのだ。「お話」として聞き続けるのはいささかもどかしい。
    「次の一歩」としてふさわしい本は何なのだろう。いきなり専門的すぎる本は読めないし、かといって数式がほとんど出てこない本ではもどかしさからは抜けられないだろう。

    素粒子物理、おもしろそうだ。と一方で思う。
    しかし、そこへ登る梯子を今の自分は持っていない。ともう一方で思う。
    惹かれる思いととまどいが同時にある。
    自分はここに近付くことが可能なのか?
    能力と興味を天秤に掛けつつ少々考え込んでいる。

    (以下、さらに蛇足の雑感です)
    *何か、後半はとても私的かつ非科学的なレビューになってしまいました。むぅ。

    *カミオカンデもLHCもすごい装置だけれども。しかし現在実際に使用している機器は地上の物理学を元にしているわけで。例えば暗黒物質なるものは、人類が観測する術を持たない物質であるのかもしれない。虚数の時間を測るとか、五次元、六次元のものを捉えるとか、そういった「仕組み」を考案することは可能なんだろうか・・・?

    *ニュートリノに質量があることの証明は、ニュートリノ振動が起こっている→ニュートリノは時間を感じている→光速より遅く移動している→重量があると言う流れ。相対性理論も絡めたこの辺の発想がおもしろい。

    *ビッグバンならぬリトルバンを起こして素粒子の挙動を調べるというあたり、生命の誕生実験のようで興味深い。

    • bokemaruさん
      ぽんきちさん、こんにちは。
      五次元、六次元のものを捉える仕組み、ぜひ作ってみてほしいですよね!
      次元が違う世界からは決して異次元を体感するこ...
      ぽんきちさん、こんにちは。
      五次元、六次元のものを捉える仕組み、ぜひ作ってみてほしいですよね!
      次元が違う世界からは決して異次元を体感することはできないといいますから、想像だにできないのですが…だから興味大いにあります!物理学はちんぷんかんぷんですけど(^_^;)
      2013/06/22
    • ぽんきちさん
      bokemaruさん
      多次元、おもしろそうですよね。
      次はそのあたりから専門的すぎずに多少歯応えのある本を探してみようかな・・・? と引き続...
      bokemaruさん
      多次元、おもしろそうですよね。
      次はそのあたりから専門的すぎずに多少歯応えのある本を探してみようかな・・・? と引き続きちょっと考え込んでいます(^^;)。

      この辺の話は、論理を追っていくとそうなんだけれど、たどり着く結論はどこかキツネにつままれるような(^^;)、そんな感じがしますねぇ。
      2013/06/22
  • ブルーバックスの広告で、ビートたけしさんが推薦しているのを見つけて気になり購入

    ニュートリノや素粒子、相対性理論など、難解な物理学が中心ですが、できる限りわかりやすい表現でまとめて頂いてました(それでもやっぱりわからん)

    宇宙空間に物質が存在する理由に対称性の破れがキッカケだったこと、そこにニュートリノが絡んでいること、でもまだよくわかっていないことも多々あること、が書かれていた(と思う)

    宇宙の始まりが、極々小さな点で、そこからインフレーションが起こってビックバンが起こって、宇宙が冷えて(それでも4000兆℃やったかな)、ヒッグス粒子が固まって、素粒子が重さを持ったのもターニングポイント(だったかな)

    とにかく、これだけ難解な理論をここまでわかりやすく丁寧に説明して下さるありがたさを感じながら読み進められました、面白かった

  • 我々の体は結局は星屑からできている・・・宇宙、素粒子etc.。難しいことを非常に分かりやすく説明してくれている。

  • ヒッグス粒子の働きがホールデンの名言「クレージーな崖のキャッチャー」を思い起こさせました。(笑)
    村山斉さんの文章は読んでいてとても気持ちよくなります。

  • Twitterの企画でブルーバックスさんから
    書籍(ゲラ)を頂いて読んだのですが、
    副題にもあるようにこれは実は最新素粒子論入門なのですね。

    どちらかというと表題に惹かれて読んだのですが、
    素粒子論を突き詰めてゆくと、地球や私達といった
    物質の存在の起源に大きく関わってくるようです。

    普段宇宙や物理化学に興味を持たない人でも、
    近年ニュースで取り上げる事の多くなった
    ニュートリノやヒッグス粒子のことについて
    優しい解説があり、最終章に表題の
    ”宇宙になぜ我々が存在するのか”に対しての
    ヒントが明かされます。

    手軽に読みやすいページ数ですし、
    日常を宇宙に想いを馳せるのが楽しいです。

    書評漫画ブログも描きましたので、
    よろしければご覧になってください。

    (記事の掲載と漫画の内容もブルーバックスさんの許可を頂いています)


    http://fourclover.blog.so-net.ne.jp/2013-01-17-1

  • 同じ著者の「宇宙は何でできているのか」も読みましたが、この本の方が説明がわかりやすかったです。
    今後さらに研究が進めば、宇宙誕生の100億分の1秒後くらいまで解明されるかもしれないと思うと、ワクワクしてきます。

  • 素粒子理論や最先端の理論のところは難しかった。宇宙創成を読んだ後だからか、知っている部分はアバウトに感じたので、理系の人にとっては大した話ではないのかも。もっと我々が何故存在するのか?という哲学的な部分を掘り下げているかと思ったが、どちらかと言う科学重視だったようだ。それでも十分興味深く面白かった。

  • ちょうど昨日、高エネルギー加速器研究機構の公開日があり、村山先生の特別講演を聴いた。講演の内容は、本書とほぼ同じものであったが、1時間の講演に非常によい内容が詰め込まれていた。難しい理論を抽象し、理解が容易な比喩で解説した好著である。講演を聴いた翌日、品川区図書館で借りて、1日で読めた。できれば、生の講演を聴く機会があれば、おすすめしたい。TVなどでも機会があるだろう。

  • 後半のCP対称性が、、、というあたりから難しくてスンナリは理解できなかった。でも、一線で研究している人がブルーバックスという形式で、このペースで最先端の話題を紹介してくれるのはありがたいことです。

    ・真空にはヒッグス粒子が詰まっている。弱い力を媒介するウィークボソンはヒッグスにぶつかるので速度が落ちる(光速よりも遅い=質量をもつ)

    ・ビッグバンの時、エネルギーから物質が生み出されたが、その時は必ず反物質とペアになっていたはず。しかし、それであれば生まれたばかりの物質は反物質と対消滅してまたエネルギーにもどってしまうが、現在の宇宙が物質ばかり。これは対称性の破れがあったからで、ニュートリノが大きな役割を果たしていた。

  • 文系脳な私にもなんとかわかるように説明されていてありがたい。
    本当だったら物質と反物質が打ち消し合い、消滅していたはずの宇宙がなぜ存在しているのか。
    ニュートリノという存在を説明しながら、その謎に近づいていく。

    理系を高校の時に放棄したので、わからない用語ばかりで何度も読むのを挫折しそうになるし、右巻きのニュートリノと左巻きのニュートリノのあたりは途中頭がこんがらがる。
    だがめげずに読んでいくとなんとかなんとなくわかるように例えを交えながら書いてくれている。

    この本から知りたいことが増えたので、また違う本を読んでいきたい。

    素粒子、クォーク、レプトン、ボソン、ヒッグス粒子とか。
    インフレーション、超ひも理論、超対称性粒子、などなど

  • この宇宙は発生直後に消滅しているはずだった、途方もないほどの膨大なエネルギー放出を伴って。
    物質は生成すると同時に同じ数だけ反物質も生まれ、それらがベアとなって対消滅を起こすからだ。
    なのになぜか我々は生き残っている。
    なぜか?

    その鍵はペアの内実にあった。
    完全な対称であれば粒子同士で消滅するはず。
    トランプの神経衰弱のように場から退場となる。
    しかし三世代のクォークがあることで、ペアに違いを作り出すことになり、対称性に乱れが生じ、この宇宙に物質が残ったのである。
    えっ、でもそれだと、対称でない反物質も物質と同数ないとおかしくない?
    だけど今の宇宙に反物質はほとんど見当たらない。
    なんで?

    すべては"いたずらっ子"のニュートリノの仕業で、反物質を物質に変える特殊能力を持っていたから。
    言ってみればニュートリノのおかげで宇宙は空っぽを免れたのだ。
    だけど反物質を物質に変えるって並大抵のことではない。
    マイナスの電荷をプラスに変えるのだから、男を女に変えるレベル以上の至難の業である。
    さらに謎なのは、逆向きの、物質を反物質に変えることはできないのかということ。
    どうもそれはできないらしいのだが、それがなぜなのかよく分かっていない。

    謎を探ろうとスーパーカミオカンデとかの研究施設で日夜実験を繰り返しているが、見えず触れず、あらゆる物体や地面を平気ですり抜けるニュートリノは、"いたずらっ子"であると同時に"恥ずかしがり屋"でもある。
    「ニュートリノを捕まえました」と言っても、その実、反応や痕跡から間接的にその存在を確認したに過ぎない。
    ニュートリノに限らず素粒子の世界は兄弟や仲間だらけで、読んでてしはしば遠い目になってくる。

    それとこの不自然なアンバランスさ。
    とてつもなく小さなものを観測するために、目を見張るほどの巨大な装置が必要であること。
    しかも粒子探しは、メタルスライムとの遭遇など比較にならないほどの困難さで、ゴミの山から針を見つけ出すほど。

    素粒子物理学の世界では、大きな発見は半世紀に一度程度。
    ヒッグス粒子の発見が2012年なので、うまくすればあともう一回、生きているうちに世紀の大発見に立ち会えるかどうか。
    ただ200年後になっても、「これで新しい時代の幕開けだ」と、今と同じことを言っていても何ら不思議ではない。
    それほど息の長い話。
    まぁ宇宙誕生の謎を解明しようと言うのだから、すぐに何もかもわかるなんて虫が良すぎるか。

  • オーディオブック2回。

  • 1012

    村山 斉
    (むらやま・ひとし)
    1964年東京生まれ。東京大学国際高等研究所数物連携宇宙研究機構(IPMU)の 初代機構長、特任教授。米国カリフォルニア大学バークレー校物理教室教授。 1991年、東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。東北大学大学院理学研究科物理学科助手、ローレンス・バークレー国立研究所研究員、カリフォルニア大学バークレー校物理学科助教授、准教授を経て、同大学物理学科MacAdams冠教授。米国プリンストン高等研究所メンバー(03~04年)。2007年10月より現職。専門は素粒子物理学。2002年、西宮湯川記念賞受賞。素粒子理論におけるリーダーであり、基礎科学分野における若き指導者の一人でもある。


     とても大きな宇宙のことを本当に理解するためには、小さな素粒子の世界を知る必要があるということは、本当におもしろいことだと思います。と同時に、ギリシャ神話に出てくるウロボロスのヘビを思い出します。このヘビは、自分のしっぽを飲み込んで丸くなっていますが、宇宙の調和を表すシンボルだそうです。ヘビの頭の方を宇宙全体のような大きなサイズ、しっぽの方を素粒子のように小さなサイズだとすると、ヘビが自分のしっぽを飲み込んでいるように、宇宙全体の世界と素粒子の世界がつながっているということができます。

    私たちは、今まで物質が宇宙の中心だと思っていました。でも、そうではなく、実は物質は宇宙の中でほんのちょっとしかないマイノリティだということがはっきりしたのです。  それでは残りは何なのかといえば、まだわかっていません。WMAPの観測結果によると、宇宙の二三パーセントは暗黒物質で、七三パーセントが暗黒エネルギーで占められていることがわかっています。これらを足すことで、めでたく一〇〇パーセントにすることができるのですが、暗黒物質も暗黒エネルギーも、その正体がわかっていません。正体不明の謎の物質やエネルギーということで、仮の名前としてつけているにすぎないのです。

    実は、この宇宙はニュートリノにあふれていたのです。一立方センチメートルあたり三〇〇個もあるということは、この宇宙のどこに行ってもニュートリノがあるということを意味しています。それにニュートリノは太陽などの星からたくさん出ていて、一秒間に数百兆個のニュートリノが私たちの体を通過していることになります。そんなに膨大な数のニュートリノが通過しているにもかかわらず、私たちはニュートリノに気づくことがありませんし、見たこともなければ触ったこともありません。それはいったいどうしてなのでしょう。  実は、ニュートリノはとても恥ずかしがり屋だったのです。

    そのくらい恥ずかしがり屋さんで、めったなことでは他のものと反応せず、その存在自体を知ることができない、お化けのような素粒子なのです。

     私たちの体も含めて、身のまわりにある物質は、みんな原子でできています。原子をよく見てみると、真ん中に小さな原子核があって、そのまわりを電子が飛び回っている構造になっています。この構造は、太陽系の構造にたとえられることがよくあります。

     彼は、パウリの予言した粒子について研究して、論文を書こうと思っていましたが、粒子の名前がなくなってしまってはそれもできません。そこで、新しい名前をつけることにしたのです。そして考えられたのがニュートリノという名前でした。中性子は英語でニュートロンといいます。そこに「小さいもの」という意味を表すイタリア語の接尾語、イーノをつけてニュートリノとしました。赤ちゃんのことを「バンビーノ」とよぶのはご存じかもしれませんね。ニュートリノという名前は、中性子のように「電気的に中性でとても小さい粒子」という意味になるのです。日本語では昔は中性微子と訳していましたが、今ではそのままニュートリノとよんでいます。

     原子の真ん中にある原子核の大きさは原子の一〇万分の一しかありません。原子が地球の大きさだとすると、原子核は野球場くらいの大きさしかないのです。そして、そのまわりを野球のボールより小さい電子が回っています。原子核も電子も原子のサイズから見ればとても小さいものなのに、組み合わさると原子の大きさになるのは、原子核のまわりを電子が回っているからです。ですから、原子はものがたくさん詰まっているように見えますが、中身はスカスカなのです。  原子の中から電子や原子核が見つかったことによって、素粒子の世界はとても小さなものになりました。地球くらいの大きさを対象にしていたところから、一気に野球場やボールのようなものになったので、見るのがとてもたいへんになったのです。電子はそれ以上分割することのできない粒子でしたが、原子核の方は、まだその内側に陽子と中性子がありました。さらに、陽子と中性子を見てみるとクォークでできていることがわかりました。

     陽子と中性子は重さや大きさはほぼ同じですが、陽子はプラスの電荷をもっているのに対し、中性子は電気的に中性です。この違いはどこからくるのかといえば、クォークの組み合わせです。陽子も中性子もアップクォークとダウンクォークからつくられています。陽子は二個のアップクォークと一個のダウンクォークでできていますが、中性子はアップクォーク一個とダウンクォーク二個の組み合わせです。私たちの感覚からすれば、クォークが一個入れ替わっただけの小さな違いに感じますが、その一つの違いで、電荷が生まれるか、生まれないかという大きな違いをつくります。

     このような発見が続くと、なぜだかわからないけれど、素粒子と考えられている電子、ニュートリノ、クォークにはそれぞれ兄弟分がいるのではないかと考えられるようになってきました。この時点で発見されていたのは、電子とミューオンの兄弟、電子ニュートリノとミューニュートリノの兄弟、ダウンクォークとストレンジクォークの兄弟と、アップクォーク以外は兄弟となる素粒子が発見されていました。そうすると当然、アップクォークにもまだ発見されていない兄弟分がいて、クォークは全部で四種類あるのではないかという雰囲気になってきたのです。

     そのような中で、二〇〇八年にノーベル物理学賞を受賞することになる小林誠博士と益川敏英博士が、世界中の物理学者を驚かせる理論を発表します。それが、ダウンクォークとアップクォークはそれぞれ三兄弟で、クォークは全部で六種類あるというものでした。この理論は小林─益川理論と名づけられたわけですが、なぜ、二人はクォークが二兄弟ではなく、三兄弟であるといったのでしょうか。  ひと言でいうと、二兄弟と三兄弟では、できる世界が違ってくるからだ、というのです。たとえば、ある図形を鏡に映すと左右が反対に見えるようになります。このような現象を対称性といいますが、クォークにもこの対称性が必要で、この対称性をつくるためには三つ以上のクォークの兄弟が存在しなければならないという理論に行きついたのです。詳細はこの章の終わりで述べることにします。  一九七三年に小林─益川理論が発表されてから、新しい素粒子を探すためにたくさんの実験がおこなわれました。そして、一九七四年にアップクォークの兄弟分であるチャームクォークが発見され、一九七五年には電子の新しい兄弟分であるタウ粒子が見つかりました。電子もこれまで二兄弟だったのですが、この発見で電子、ミューオン、タウの三兄弟になりました。この発見によって、素粒子の世界はどの種類のものも三兄弟である可能性が示されたのです。  そして、一九七七年にダウンクォーク兄弟の三番目であるボトムクォークが発見されました。このボトムクォークの発見で、ボトムクォークとダウンクォークとストレンジクォークは三兄弟となり、小林、益川の両博士がいうように、確かにダウンクォークとアップクォークも三兄弟だということが信じられるようになってきたのです。

     強い力の理論をはじめてつくったのは湯川秀樹博士です(図2‐3)。湯川博士は、チャドウィックが中性子を発見したときに、陽子と中性子が原子核の中に収まっていることに大きな疑問を感じました。プラスの電荷をもった陽子と電荷をもっていない中性子がなぜ、バラバラにならないで原子核をつくることができるのだろうと思ったのです。

    実は、素粒子物理学では、左右だけでなく、上下や前後を反転させても物理法則は変わらないことになっていて、そのように空間を反転させることをパリティ変換といいます。そして、左右や上下を入れ替えても物理法則に変化がないことをパリティ対称性とよぶのです。

     実は、ニュートリノの研究で世界の最先端を走っている国は日本なのです。ニュートリノの存在を初めて確認したのはアメリカ人だったのですが、自然界で発生するニュートリノを初めてリアルタイムで観測したのは日本の実験でした。  一九八七年二月二三日に、私たちの銀河系のすぐ隣に位置する大マゼラン星雲の中で、大きな星の超新星爆発が観測されました(図3‐1)。このとき、たくさんの光が放たれましたが、爆発で生じるエネルギーのうち光に変化したのはほんの一パーセントだけでした。実は、超新星爆発のときに出るエネルギーの九九パーセントはニュートリノに変化して星の外に出ていってしまうのです。

     実際、この日、超新星爆発が観測されたときに光とニュートリノが地球にもやってきました。そして、岐阜県の神岡鉱山の地下にあったカミオカンデが一一個のニュートリノを捕まえることに成功しました。世界中でライバルが同じようにニュートリノを捕まえようと競争していましたが、一番疑いなく確実に捕まえることができたのがカミオカンデだったのです。カミオカンデの観測データを見ると、佐藤博士の理論通り、ニュートリノが捕まえられてから数時間後に超新星爆発が観測されました。この観測を成功させたのが小柴昌俊博士でした。小柴博士は、この功績で二〇〇二年にノーベル物理学賞を贈られたのです。  超新星爆発で発生したニュートリノを観測できたことは、宇宙の観測に新しい手法をもたらしました。これまでは、宇宙を見ようとしたら可視光線を使う光学望遠鏡か、電波を使う電波望遠鏡などを利用するしかありませんでしたが、ニュートリノを使って宇宙を観測することもできることがわかってきたのです。小柴博士たちは、これをニュートリノ天文学と表現し、素粒子による天文学を切り開きました。

     この発表は、岐阜県高山市で開かれたニュートリノ・宇宙物理国際会議で発表されました。そのとき、ちょっと珍しい光景が繰り広げられました。日本のグループがニュートリノに重さがあったと報告すると、その場にいた全員が立ち上がって一斉に拍手をしたのです。何十年間も正しいと考えられていた標準理論が、ついに倒れたという歴史的な瞬間だったのです。

     このときに活躍したのが、岐阜県神岡鉱山につくられたスーパーカミオカンデでした。

     地球は太陽から一億五〇〇〇万キロメートル離れているので、光やニュートリノが届くまで八・三分かかります。ニュートリノは核融合がおこなわれている太陽の中心部分からすぐに出てくるので、八・三分後には地球に届くのですが、太陽の中心部分はあまりにも密度が高いため光が表面に出てくるまで数千年かかると考えられています。

     地球は太陽からたくさんの熱をもらっているので、私たちはその恩恵を受けて生活しているわけです。同時に、地球からも宇宙空間に熱を放出しているわけですが、その量が約四〇兆ワットと、太陽からきた熱を放出しただけでは説明できないほど多かったのです。太陽からの熱の放出分は全体の半分ぐらいで、残りの半分はどこからくるのかがわからないままでした。

    重さを考えると、ニュートリノだけ明らかに変わっているので、他の素粒子といっしょの仲間にしていいのかという疑問が浮かんでくるのです。ただ、ニュートリノが重さをもっているということは、標準理論の枠組みで説明できないことが起きていてもおかしくないことを示しています。もしかしたら、ニュートリノがきわだって軽いということは、標準理論を超えた何かを表しているのかもしれないのです。

     ニュートリノは電気がありませんので、反物質でも電気はゼロのままです。それでは、ニュートリノの反物質である反ニュートリノはどのような性質が反対になっているのでしょうか。実は、この謎を解決する実験が既におこなわれています。この実験では、ニュートリノはすべて左巻きだったことを示したのです。いきなり、ニュートリノは左巻きだといわれても、ほとんどの人は何のことだかよくわからないと思います。私は「ニュートリノは左巻き」というフレーズを聞くと、麻丘めぐみさんの「わたしの彼は左きき」という歌を思い出してしまいますが、これはちょっと関係ないですか……。時間の流れを感じますね。ニュートリノの話を進めていきましょう。  ほとんどの素粒子はよく見てみると、コマのようにクルクル回転しています。ですから、ニュートリノもよく見てみると、クルクルと回りながら進んでいるわけです。この回転が進行方向に向かって反時計回りだったら左巻き、時計回りだったら右巻きとなります。

    私は個人的にあまり好きではないのですが、受験のときによく出てくる偏差値がありますね。これは平均が五〇です。そして、一シグマ、標準偏差一となると偏差値が一〇増えて六〇になります。三シグマの場合は偏差値が八〇となります。受験では、偏差値八〇の人はめったにいないわけですが、素粒子の場合は、まだ確実に発見したとはいえないのです。  発見したというためには、確実性を九九・九九九九四パーセントまで高めないといけません。これは五シグマ、偏差値一〇〇にあたります。偏差値一〇〇というのは、一億人の中の四〇人程度です。日本人全員に対して、闇雲に石を投げたときに、特定の四〇人に当たるくらいまちがう可能性が低くなったときに、初めて発見といえるのです。

    ヒッグス粒子が見つかったことは、本当に新しい時代の幕開けだと思います。考えてみると、二〇世紀前半は、電磁気力を使ってどうやって原子ができているのかといったことがわかってきた時代でした。電磁気学を量子電磁気学として完成させたのが日本の朝永振一郎博士です。  その次に、原子の真ん中にある原子核の中身がわかってきました。これは湯川秀樹博士が提唱した中間子論に端を発していますが、最終的にクォーク同士をくっつけている強い力に行きつきました。これは一九三〇年代から八〇年代にかけての仕事で、全部で五〇年くらいの時間を要しています。

    宇宙が膨張しているという事実が明らかになったことで、永遠に変化しない宇宙という考え方はまちがっていたことになりました。宇宙は時間がたつごとに変化していたのです。しかも、膨張しているということは、時間を巻き戻していくと宇宙はどんどん小さくなることを意味しています。このことは、誕生したばかりの頃まで戻っていくと、宇宙はとても小さな点にまでなってしまうことを意味していました。

  • 哲学的なタイトルにも感じますがサブタイトルの通りニュートリノやヒッグス粒子など素粒子物理学。より中身に近い印象のタイトルにするなら「宇宙になぜ物質が存在するのか」かな。それじゃ売れないという判断なのかもだけどむしろその方が正しく物理学的な関心を喚起できそうな気もするんだけど、そうでもないんかな。難しいところですね。素粒子論は難しくて入門書何冊読んでも自分の中で理解がレベルアップしている気がしないんだけど、それでも読んでしまう。この本も10年前のだからもっと今は進んでいるんでしょう。

  • 標準理論の大前提を覆すニュートリノの質量発見の話が面白かった。物理出身でもこの領域は全然よく分かってなかったが、ストーリー立てて理解することができた。数式なく、お話。
    ヒッグス粒子はかおなし…
    もちろん厳密性を犠牲にしているのかもしれないが、この本を手に取る読者層向けに厳密な説明をしても仕方ないので、噛み砕きの粒度がちょうど良いと思う。見えない高次元の例えとかが分かりやすかった。

  • とても整理されるものであった。
    素粒子、特にニュートリノ、ヒッグス粒子についての特性を発見までの歴史や宇宙の歴史と併せて書いてくださっており、とても頭に入ってきやすいです。
    対称性の崩れと力と重さの関係、素粒子が重さを持つという意味や光の速さの意味、スピンの意味、素粒子発見の流れやニュートリノが変化する実験について、なぜ重さを持つのか、凍るヒッグス粒子など興味は尽きないですね。

    雑感ですが、物理の本は他のジャンルの本と比べて、本によって当然フォーカスしてるトピックは違っても、内容のブレや筆者の我が極めて少ないので読みやすいですね。

  • ヒッグス粒子やニュートリノ、よくわからない話が多かったけど、門外漢にも興味を持たせてくれる、ワクワクする1冊でした。研究者の方はこういう純粋な情熱をもって研究してるんだろうなー。

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著者プロフィール

東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構(Kavli IPMU)教授、カリフォルニア大学バークレー校Mac Adams冠教授。
1964年東京都生まれ。1991年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了。理学博士。東北大学助手などを経て、2007年から2018年10月までKavli IPMUの初代機構長を務めた。専門は素粒子論・宇宙論。『宇宙は何でできているのか』(幻冬舎新書)はじめ著作多数。メディアを通して研究成果を伝えることにも力を入れる。難解な素粒子論・宇宙論をわかりやすい言葉で語る。

「2020年 『そうたいせいりろん for babies』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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