単純な脳、複雑な「私」 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578301

感想・レビュー・書評

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  • どこで知ったのか全然忘れてしまったのだけれど、タイトルを妙に覚えていたのでバリューブックスさんでポチった。

    脳の研究をしている著者が、20年前に卒業した母校で脳科学の最前線を講義したものを収録している。
    最前線とは言え、2009年初版なので、今とは少し変わっていることもあるんだろうか。

    まず、全校生徒の前で行った講義が第一章。興味深くて、わりと身近で、感覚的にわかりやすい脳科学の実験の例を羅列しながら、脳について面白おかしく解説してくれる。ここのパートは理解し易くて本当に読んでいて面白かった。

    そして、第二章以降がその講義で興味を持った生徒たち9名を選んで3日間行われた連続講義。

    日を追うごと、章を重ねるごとに私にとっては難易度が上がる。
    これ理解できてる高校生、すごい!

    イラストや図解、はたまたQRコードまでついていて、より分かりやすくしようという工夫が満載。
    ただQRコードは古いからかな、
    読めなかったのが残念でした。

    難しかったながらも、面白いなと思ったのが、
    僕らの「自由」は、
    自由意志ではなく自由否定
    というくだり。
    しばしばネットで見かける、
    人の品性は何を言うかではなく何を言わないかだ、に通じるものがあるなぁと感慨深い。

    それから、脳のゆらぎ、ノイズが脳の駆動源であるという考察や、フィードバック機能がもたらす脳の認知としての時間が歪む話など、絶対面白いのにちゃんと理解できてないのが悔やまれる内容盛りだくさん。
    最終的に、内省しているといつもぶち当たる壁が、脳で考えるからこその無限の入れ子構造であるという着地には心底なるほどなぁ。

    いやいや、脳科学。
    難しいけどめっちゃ面白い。

    こらはちょっと時間を置いて絶対読み返そうと思う。

  • 数年前に読んだ「進化しすぎた脳」も面白かったけどこちらは輪をかけて面白い。脳科学者が脳の働きの面白さを高校生に語るという前著と同じ構成。科学者ならではの色んな概念が次々出てきて大いに好奇心を掻き立てられる。
    脳がいかにサバを読み、取り繕い、ウソをつくことか、人間の感覚、意識、認知がいかに当てにならないものか…自分の感情、感覚をあまり信頼しないようにしよう、客観的に観察し対象化するようにしようと思った。
    無意識下の脳と体の活動も面白い。箸を使う、運動をするといった行為は意識せずとも体が自然に動くがこれは大脳基底核という脳の部位が司っているそうで直感もここから出てくるとか。無意識下の脳は様々に活動しており、自分の中にもう一人、人格を持っているようなもので、自分で制御できていない無意識の領域も自己と言えるのか?ならば「こころ」とは何か?等々疑問は尽きない。
    自由意志について、先週読了したノアハラリ著「21lessons」でも全く同じことを言っていて驚いた。10年前の本書では当然言及されていないがハラリはAIによる自由意志と人間の価値の危機に警鐘を鳴らしている。

    因果関係、相関関係 意識、無意識 直感
    作話 人間という生き物は主観経験の原因や根拠を無意識のうちにいつも探索している 前適応 他者観察力を使いまわして自己観察、自己理解に至る。
    自由意志 多様性 可塑性 ゆらぎ ノイズ 無尽蔵のエネルギー 回路構造
    構造・機能 生命は自身を書き換える リカージョン 入れ子構造 多層構造 人間が並行処理できるのは7個まで 自己組織化マップ

  • ・聞き手の高校生が優秀。空気読んでる。
    ・第4章が面白かった。
    著者の別の本も読んでみよう。

  • 私たちが感じる世界は脳の解釈の結果であり、実際の世界ではないとすると。。。やはりまた、存在とは何か。。という不思議にリーチしてそれがまた新しい好奇心を活性させる。楽しい本に当たりました。

  • 面白いけど、途中からだんだん難しくなってきて読み終わるまでかなり時間を費やしてしまった。

  • めちゃめちゃ面白い。

    はじめから最後まで、講義形式で筆者が語っていくのが、すっと頭に入り、時々入る高校生のコメントが我々と同じ認識でかなり読みやすい。

    専門用語もたくさん出てくるが、高校生に説明するという体裁のため、分かりやすく解説され、テンポよく読める。


    この一冊を読んで、まず一言。

    「人間って本当によく出来てる、けど一方で愛くるしい」

    私が印象に残ったのは、「世界が5分前にできたとしたらあなたは信じるか?」という部分。

    私たちの記憶って、何が正しくて、何が正しくないのだろう?

    そもそも正しいことってあるのか?
    今まで考えなかった視点で物事を見ることができそう。

    脳科学って、どんなもんかと思って読んだが、たしかに、どの学問にも付随されず、接着剤のような学問なのかなぁと納得。

    同じ作者の他作品も読みたくなる。

  • 私は文系なので、数学的科学的な部分が難解で、むずかしかった。
    なんとなく理解しながら読みすすめました。自分のなかで新しい考え方も生まれました。

  • 池谷さんの本は何を読んでも面白い!
    今回も一気に読んだ自分とは何なのか!
    探究心がそそられる!^_^

  • 自分の脳との向き合い方が変わった

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著者プロフィール

監修:池谷裕二
脳研究者。東京大学大学院薬学系研究科薬学専攻医療薬学講座教授。薬学博士。一般向け書籍の累計発売部数100万部超え。

「2023年 『3ステップ ジグソー知育パズル どうぶつ だいずかん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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