- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062578448
作品紹介・あらすじ
生命とは何か? かつて多くの賢者が考えあぐねてきたこの根源的な問いに、私たちはいまだに答えることができません。
ならば、極端な「エッジ」を眺めてその本質をあぶりだしてみよう、というのが本書の出発点です。
超高温、超高塩分、強度の放射線、強度の重力……
過酷な環境をものともしない「極限生物」たちの驚異的なたくましさは、過剰としかいいようがありません。
ヒトの致死量の1000倍以上の放射線に耐えるやつ、地球上に存在しない強烈な重力に耐えるやつ…思わず「その能力、いらんやろ?」とツッコみたくなります。
わずか1マイクロメートルほどの微生物にすぎない彼ら、小さなチャンピオンたちを見ていると
「いったいなぜこんな進化をとげたのか?」という疑問にとりつかれ、「生命」がますますわからなくなってきます。
そして、人類は本当に地球でもっとも進化した生物なのかどうかも、怪しく思えてきます。地球最強の生物は「ハロモナス」かもしれません!
しかし、実はこの「わけのわからなさ」にこそ生命の本質があります。
酸化も還元もしない「不安定な炭素化合物」であるにもかかわらず、生命が地球上で40億年も続いてきた謎の答えがあるのです。
なぜ宇宙に生命ができたのか? これから私たちはどう進化していくのか?
次々に突きつけられる問いを考えていくうちに、生命についての見方がまったく変わってしまう経験があなたを待っています。
世界中の極限環境を歩いた「科学界のインディ・ジョーンズ」の面目躍如、文句なしに面白くてエキサイティングな生命論です!
感想・レビュー・書評
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目次
はじめに
第1章 「生命とは何か」とは何か
第2章 極限生物からみた生命
第3章 進化とは何か
第4章 遺伝子からみた生命
第5章 宇宙にとって生命とは何か
おわりに
いやー、コレ面白かった( ´∀` )
生命の神秘だなぁ.
オートクレーブの設定温度がなぜ123℃なのか、!と思った.
極限の状態で生きる細菌のその脅威の能力をみると、一見無駄に高い能力のようなきもするけど、ふと、今の地球の状態がこのまま永遠に続くわけではなくて、水がない世界になるかもしれないし、放射能ががんがん降り注ぐような世界になるかもしれないので、そういった極限の状態でも生き残ることができるようになっているのかなと思った.人間なんてよわっちいもんだ.
自分の考え的には、物理学者的だったなと思う.ある条件が満たされれば生命は誕生するもんだと思っていた.だから地球外にも生命体はいるだろうと思っていた.この考えは完全に覆されたわけではないけれど、そんな簡単なものではない、考えを改めた.宝くじを全部買うくらいの投資をしないと当たらないものらしい.おおぅ.詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
極限環境に棲んでいる生き物の話がずっと続くのかと思っていたら、もっともっといろんな話が展開されて面白かった。生物学というか生命学、進化論、メタ思考…
生命誕生の可能性についての認識が生物学者と物理学者とでそんなに違うものなのかというのも驚いた。自分も物理学者的な考えをしていて、太古の地球と同じ環境を用意すればきっと同じように生命が誕生するんじゃないかと思っていたけど、生物学者的にはそうでもないらしい。
基礎知識がなくて十分消化できてないけど、とても興味深く読んだ。 -
生命ってすごいなあ。どうして存在するのかなんてそんなに考えることないけれど、バクテリアや細菌から人間まで全て同じものからの枝分かれしているらしいですよ。奇跡的に強い生命が生まれて運がとにかく良くて危機を潜り抜けて無数の枝分かれをして今に至る。凄すぎて想像つかないですね。
必要が無い環境に居るのに極限に耐えるある種の微生物たちがこの本の主役ですが、クマムシ以外にもこんなに沢山いるとは驚きです。それに比べると順調に進化したはずの我々の脆弱さよ・・・。
この間人類についての本も読んで、人類みな兄弟という事がわかりましたが、この本を読むと、もはや生命みな兄弟ですね。 -
物騒なタイトルですが、まじめな生物の本です。中心となるテーマは、極限環境に生息する生物の性質や進化を通じて、生命について考えることです。極限環境とは、人間を含めた多くの生物にとって、生きていくことが非常に難しい環境のことです。例えば、極端な高温や低温、高圧力、高濃度の塩分など、ほとんどの生物が死滅してしまうような世界です。極限環境に異常に強い生物たちは、どのようにしてその能力を手に入れたのか?やさしい進化論の解説とともに丁寧に述べられています。「なぜキリンの首は長いのか?」、「なぜペンギンは冷たい氷の上に立っていられるのか?」など、素朴な疑問に対する解説もおもしろいです。特殊な生物の生態について考えることが、「生命とは何か?」という大きな問いへとつながっていきます。生物学の最前線を解説するだけではなく、あらゆるところに著者の「生命」感がよく表れていることも、この本の魅力です。著者はメディアにもよく登場する有名人です。本書以外の啓蒙書も多数執筆されています。
若林智章(新領域創成科学研究科先端エネルギー工学専攻)
https://opac.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=2003169680 -
ある分野で最強の極限生物のカタログをつくりたくて、ひもとく。
・高温、低温、X線に耐えるクマムシ
・その上を行くネムリユスリカ
・メタノピュルス・カンドレリ:122度の高温
・大腸菌:2万気圧
・真空で生きるボツリヌス菌
・ハロモナス・ティタニカエ:鉄を食べる
・ハロモナス:30%塩水
・デイノコッカス・ラジオデュランス:6千万マイクロシーベルト
・ハロバチルス:2億5000万年生きている
・パラコッカス・デニトリフィカンス:40万G
・セキユバエの幼虫。石油の中で生きる。 -
生物学ではなく生命学、バイオロジーではなくメタバイオロジー、という著者のこだわりは、わかったようなわからないような。それがさらに、高熱や高圧力、高塩分といった極限環境で生きる生命への考察につながっていく理由もいまいちよくわからない。が、「共進化」「共生進化」「進化論の進化」の紹介はわかりやすく、いろいろな本を読んで頭の中でこんがらがっていた事柄の一部が整理された気分になった。
葉緑素も、消化器官も持たない「チューブワーム」は変な生き物だなあ、と思っていたが、著者によるとミトコンドリア、葉緑素に続く、第三の共生進化の実例なんだそうだ。生物学にとってはどえらい発見だ。
生命の定義の議論がたびたび出てくるが、福岡伸一の「動的平衡」を思い出しつつ。 -
「生命」とは何かについて、極限状態に生きる生物や進化の観点から考察した本。
生命は物理現象のように数式で説明されるものではなく、様々な極限環境に生きる生物から見出されるように、多様であり、複雑なものであることを理解しました。
エントロピーの法則、散逸構造の観点から、生命と宇宙の関わりを説いた筆者の生命観に感銘を受けました。
全体を通して読みやすく、生命への理解が深まる本でした。
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極限環境に生きる生物を通して、生命とは何かを探求する本。最新の進化論の概説やドーキンスの利己的な遺伝子とからめた記述もあり、興味深い。
以下注目点
・環境に合わせて自分をデザインするのではなく、自分の形に合った生き方を選択する。
・進化の基本はもって生まれた形でがんばる。
・生き方を自分で選択することで、生き残っている。
・放射能の異常に強い細菌はDNAを4セット持っていて、放射能で傷ついても、残ったDNAとで多数決することで修復できる。
・今、地球上に生き残っているのは偶然の産物。 -
「死なないやつら」というタイトルからつよい生き物辞典のような内容を想像してしまいました。
読みはじめると「生命とは」のような哲学っぽい内容が書かれていて「うわー」と思ったのですが(哲学苦手…)、第2章からはグングン読んでしまいました。
普段理科類の本は全く読まないし、この分野には疎いので、早くもクマムシとネムリユスリカの水分の話から驚き感動してしまいました。
無駄な能力を持つ生き物の話や遺伝子の不思議など読んでいると、もっと先のことを知りたくなるのでした。
地球上には不思議と奇跡がいっぱいですねー
このたび、新しい扉を開きました。
いい本でした。読んでよかったです。