川はどうしてできるのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 117
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062578851

作品紹介・あらすじ

「山はどうしてできるのか」「海はどうしてできたのか」に続く「地球に強くなる三部作」完結編!

黄河、アマゾン川から多摩川、天竜川まで――いままでになかった「推理小説のような」川の本!

地球上には無数の川が存在しています。最初は同じ雨水なのにその姿は千差万別で、ときに人間には信じられないふるまいを見せます。

川の面白さは、家で地形図を広げて眺めているだけで、「なぜこんな姿をしているんだ?」という謎が次々に浮かんでくるところにあります。

標高数千メートルのヒマラヤ山脈を越える川、砂漠でいきなり洪水を起こす川、黄河・揚子江・メコン川の不思議な流路、

平地より高く流れる川、ほかの川の流れを奪う川……まるで魔術のような数々の現象は、なぜ起こるのでしょうか? 

第1部では「地形の名探偵」とともに、これら川のマジックの謎解きに挑んでいただきます。

また、一つの川の流れには、いくつものドラマチックな物語があります。第2部では、川の「運命」を大きく分ける分水嶺にはじまり、

上流・中流・下流それぞれに秘めた川という地形の正体を、最もポピュラーな川の一つ、多摩川を下りながら見ていきます。

プレートテクトニクスとの密接な関係から、その意外な「終着駅」まで、大きなスケールで多摩川をとらえなおします。

そして第3部では、著者が地形図をにらみながら独特の推理を働かせて、川の定説に大胆に挑みます。なかでも圧巻は、

「天竜川の源流は諏訪湖」という常識への挑戦です。想像の翼を広げた仮説が指し示す、驚きの「源流」とは?

時空を超えた、壮大な地形のミステリーツアーをぜひ体験してください。

感想・レビュー・書評

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  • 初めの二章で川の基本を学び,最終章で川にまつわる大胆な仮説を紹介。著者は地球科学者で,山や海の本もブルーバックスから出しているそう。
    第一章で世界の川の豆知識13,第二章で多摩川を源流(笠取山水干)→河口→海溝(坂東深海盆)と辿る旅,というように工夫されていて,楽しく読める。
    最後の大胆仮説は,著者自身「妄想に近くて検証もほとんど不可能」と断っているのだが,そのぶんスケールが大きくて面白い。天竜川の本来の源流は諏訪湖でなくロシアで,1700万年前まではウスリー川から信濃川→天竜川→大平洋と流れていたとか,超大陸パンゲアではアマゾン川とニジェール川は一つの川だったとか,標準的サイズの大陸には必然的に大河が三本できるとか。一見突拍子もない話ってつい警戒してしまうけど,およそ現世と関わりがない話だったりすると安心して楽しめるのがいい。

  • 「ヒマラヤを越える川がある」という話が面白かった。地球の歴史を学んだ。

  • 内容
     第一章では、実在の河川について、なぜその流れが形成されたのか、を考察する。そのなかでも印象に残ったものを記す。
     アルン川、デゥブコシン川、ボーテコシ川、スンコシ川の4河川は、ヒマラヤ山脈を南北に横断する流路をもつ。これらの河川はヒマラヤ山脈が隆起する前(約4300万年前)から存在していた。(このような河川を先行河川という。) 隆起を始めたヒマラヤ山脈を流れる河川は、流路の落差を増すことで、その浸食力を高める。ヒマラヤ山脈が隆起する作用よりも、河川が浸食する作用の方が大きかったため、河川はヒマラヤ山脈を削りながら流路を維持することとなった。もちろん、ヒマラヤ山脈隆起後にできた河川がヒマラヤ山脈を横断することは、ない。
     黒く見えたり、白く見えたりする川がある。たとえば、斐伊川は黒く見えることで有名である。これは、斐伊川上流に分布する花崗岩が、黒く見える「磁鉄鉱」を多く含むためである。磁鉄鉱の密度は大きく(5.2g/cm3)、水に流されずに河床に残った磁鉄鉱が、斐伊川を黒く見せている。一方、石英や長石を多く含む花崗岩が流域に分布する河川は、白く見える。また、南米のネグロ川では、腐食した植物が水に混ざることで、黒い水が流れている。従って、ネグロ川の流れは黒く見える。
     川の流れは海底でも続いていることがある。川の運搬作用により海まで運ばれた土砂は、海に注いだあとも海底の傾斜にそって流れ下る。この流路を「海底谷」と呼ぶ。海底谷は、断層によってできたものや、川から流れてくる土石流によって削られてできたもの、現在よりも海面が低かった氷河期(約1.2万年前-1万年前)に川の浸食を受けてできたもの、などがある。この海底谷は海溝に沿っていて、もっとも深い場所まで進んでいる。たとえば東京湾付近では、荒川、多摩川などの河川は、東京湾にある「古東京谷」を通り、相模トラフに合流し、日本海溝に落ち込んでいく。日本海溝の深さは、約7400m-9200mである。海溝にたどりついた堆積物は長い間動くことはないが、地球内部の火山活動に取り込まれ再び地表に出てくることもある。
     第二章では、多摩川を上流から下流にかけて(仮想的に)下る。多摩川の源流となるのは、笠取山である。多摩川の場合は源流が特定されているが、源流の特定は難しく、たとえばアマゾン川やナイル川の源流は未解明である。笠取山には、分水嶺と呼ばれる、流域の境界がある。源流近くでは細い支流だが、複数の支流が合流することで、次第に大きな流れとなる。上流では川の流れは急であり、下刻作用が大きい。そのため、V字谷を刻むことが多い。羽村取水堰を越えると、中流とされる場合が多い。上流に比べ傾斜が緩く、堆積作用が卓越するようになる。典型的な地形は武蔵台地などの扇状地である。さらに下流に進むと、三角州ができる。二子玉川付近には、多摩川と支流の野川によって形成された砂嘴がある。また、河川は蛇行を繰り返し、三日月湖を形成することもある。下流では、海水が逆流することもある。

    感想
     本書に登場する地名を画像検索すれば、実際の写真を見ることができたので、地形のイメージを豊かにすることができたと思う。
     川は、絶えず大地を削り、土砂を海へ運んでいく。水が高いところから低いところへ流れるのと同時に、土砂をも高いところから低いところへ運んでいるのだ。この営みを通して、地球表面に存在する位置エネルギーは減少を続ける。これを続けていくと、最終的に地球はのっぺりとした平地になってしまうだろう。しかし、地球内部の熱エネルギーを動力源とした造山活動が、再び地球表面に位置エネルギーを供給する。果てのない繰り返し。地球全体が呼吸をしているようだ。その営みは、エネルギーを取り入れては使い、取り入れては使っている生物のそれと重なる。手塚治虫の『火の鳥』にも、地球と生物を重ねる描写がみられる。川は、人間の生活に深く関わってきた身近な存在であると同時に、人間の把握できる時間幅を大きく越えた存在でもある。地球レベルの時間につながる、身近な存在である。

  • 名だたる大河から名もなき流れまで、地球上に存在する無数の川の不思議。地形の名探偵と一緒に謎解きをしてみましょう。山より海より、川はミステリアス!

  • パンゲア時代に繋がっていた川が分断されたり、地層の移動によって川が分かれたり。長い時間軸の中では、壮大な動的変化が起きていることがわかる。
    想像力が刺激されました。

  • 鬼怒川の氾濫があったからではないが、タイトルに惹かれた。たしかに、川はどうしてできるのだろうか。雨水にしろ、雪融け水にしろ、高いところの水が低いところに流れるだけだが、どこでも流れるわけではなく、川として流れるというのは、思えば不思議だ。
    本書は、そんな川に関するいくつもの不思議を解説してくれる。例えば、ヒマラヤを越えて流れる川があるというだけで驚きだが、その形成メカニズムも教えてくれる。
    多摩川を源流から海まで解説する章もあり、多摩川をよく知る人には、より楽しめるだろう。

  • 読了。

  • 奥トレで交換してもらった一冊。奥多摩から青梅まで多摩川沿いを下ってくる奥トレにはとても相性のいい本でした。川の不思議、超大陸から受け継がれた超大河、そして国内に無数にある川の中から多摩川が取り上げられて多摩川の赤ちゃんから海に下るまでが書かれていたり、とても楽しく読めた一冊でした。特に、超大河の話は夢があってワクワクしました。まさかそんなところに、大陸をつなげるヒントがあったなんて。旅が好きな人にぜひ読んでみてほしい一冊です。

  • 山がどうしてできるのかはなんとなく知っている(ような気がする)。でも川はどうしてできるんだろう? 山ができれば川もできる、となんとなく思っていたが、本当にそうなんだろうか? 考えてみたら知らないぞ。と思って読んでみた。消える川、大きくなる川、山を超える川、海底の川。知らないことを発見するのはいくつになっても楽しい。

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