コミュ障 動物性を失った人類 正しく理解し能力を引き出す (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
3.14
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本棚登録 : 144
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579230

作品紹介・あらすじ

最近、学校や会社の中で人と上手に話ができなかったり、他人の話をちゃんと聞けない人が目立つという。自分の言いたいことだけ言ったら、他の人の言うことには耳を貸さない、相手の目を見て話ができない、等々。いったい、「コミュ障」とはどういう人なのか? 本書では、「コミュ障」の人たちの特異な言動を、脳の情報処理系から分析していきます。すると、意外な発見が……。じつはコミュ障の人には他の人にはない社会を突き動かす能力が備わっているというのです。さらに、こうした情報処理能力は、動物的な処理経路を捨て去ることで実現していると。つまり、コミュ障の人たちは、より人間らしい人間と言い換えることができるのです。ますます住みにくくなってきた現代社会をどう生き抜いていったらいのか、そのヒントがここにあります。

感想・レビュー・書評

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  • コミュニケーション障害のことを「コミュ障」と呼ぶということを、本書のタイトルで初めて知った。私の近くにもコミュ障の人がいる、と思っていた。しかし、よく考えると自分がそうかもしれない。とにかく雑談が苦手。プロ野球観ない、車に興味ない、映画ほとんど観ない、本はそこそこ読むから本好きの人とは話ができるかと思うが、ミステリーが好きな人とか、歴史ものが好きとか、最近の若手作家とか、やっぱり話が合わない。上手に合わせられない。けっこう深刻かもしれない。いろいろと調べてみると、コミュ障の人というのはどうも進化した人間なのだとか。脳の古い部分に障害?があるそうだ。怒っている顔を見つけるのにちょっと時間がかかるのだそうだ。危険にさらされたとき早く対応できるかどうかと関係があるようだ。つまり、野生の生き物が生き残っていくのに必要な力が、コミュ障の人は弱い。だから、人間の中でも進化した方ということ。なるほど。だけど、だからどうなのかということがわからないままだった。またまた、消化不良のまま読了。

  • ブルーバックスにしては珍しいエッセイのような本であった。

  • コミュ障と呼ばれる人の要素として、1怒りの表情が読み取りにくい 2そもそもコミュニケーションの必要性を感じていない の2点が挙げられる。
    怒りの表情については、人間の本能にある危機への対応力の弱さがあり、必要性については、自分自身の興味の隔たりが背景にある。
    「普通の人」としての接し方は、自分は理解力があるとは考えず、相手が何を求めているのかを考えるのが良い。
    また、怒りの表情を読み取る力を高める必要性があるとも感じた。
    コミュ障の人は、社会に認めてもらう(振り向いてもらう)ことをふつうに願っている。しかし、一般的に認められる方法ではなく、ネガティブな反応をされやすい行動をしてしまうことが往々にしてある。
    コミュ障の人には、怒りの反応を読み取る力、認められる行動とは何か(普通の人はどう考えているのか)考える力をつけさせていきたい。

  • たっかーさん@takka99085421から読書会で紹介されたブルーバックス。説明を聞いて面白そうだったので、早速図書館で借りてきました。

    「コミュ障」とは「コミュニケーション障害」の略ですが、この障害そのものがこの世に存在するのかすらわかっていません。例えば、知的障害、視覚障害、聴覚障害などは判断するための客観的な基準がありますが、「コミュ障」にはありません。したがい、本書は「コミュ障」の定義を以下のように考えています。
    「たとえば、自分の主張を一方的にまくしたてるものの、周囲の発言にはまったくといっていいほど聞く耳を持たない。周囲の雰囲気を察することもなく、まったくマイペース(いわゆる空気が読めない輩、ひと昔前にKYといわれた人々)。(中略)もうおわかりだろう、みなさんの周りにも一人や二人、思い当たる人は必ずいるはずだ」。

    本書は「ケータイを持ったサル」「音楽を愛でるサル」などの著書がある京都大学霊長類研究所教授である佐高信男さんが書かれた理系の本。「コミュ障」の人たちの社会的な位置付けを論ずる本ではなく、「コミュ障」を科学的に論じた読みやすくかつ面白い学術書です。
    興味深かったのは、コミュ障と判断される子どもたちとそうでない子どもたちに12個の顔の中から「怒り顔」と「笑い顔」を見つけさせる実験。コミュ障も非コミュ障も「笑い顔」を見つける時間は一緒だったにもかかわらず、コミュ障の子どもたちは「怒り顔」を見つけるのに明らかに非コミュ障より時間がかかるという結果でした。「動物性を失った人類」という副題は、この結果から導き出されています。すなわち、怒り顔は脳の古い部分、動物的な回路で反応するのに対して、笑い顔は霊長類が誕生したのちに進化した新しい回路、皮質回路で反応することがわかっています。コミュ障の人たちは人間的な回路が発達しているということですね。そこから、著者は次の考察を行います。
    「コミュ障の人は、社会性が劣っている。社会性は人間が社会を営む上で、不可欠の資質である。その資質が劣るのだから、彼ら彼女らは人間性について、そうでない人より欠ける点があると思っていないだろうか。じつは、そうではない。むしろコミュ障の人間こそが、他の動物より進化した人間として、もっとも人間的な存在であるかもしれない」。「周囲に対する配慮や遠慮といった感情に影響されることなく、自分が重要と考えるテーマに冷徹に向き合い、成果が得られるまで没頭するコミュ障の人こそ、歴史上の大発見・大発明を成し遂げる可能性が高いというのである」
    そして、その代表者として、小保方晴子、レオナルド・ダ・ヴィンチ、アルベート・アインシュタインを挙げています。ここで小保方さんの名前が挙げられているのは、奇異な感じがしますが、小保方さんの例は
    「彼女自身が、STAP細胞の存在に露ほどの疑いもさしはさんでいなかったからである。(中略)いったんこうと思い込むと、それに対する否定的な情報は一切、眼中から消え去る。それこそコミュ障の人の特徴の一つである」。
    とコミュ障の悪い方の癖が出てしまった典型例のようです。

    社会的に少数派であるコミュ障はひきこもる人も少なからずいます。著者は「引きこもる」ことに対しても一定の理解を示した上で、引きこもりやコミュ障からの脱出のためのアドバイスとして、ミーティング、書くこと、日本語教育の重要性をあげています。しかし、結局、引きこもる人たちもコミュ障も「その現実を周囲もそして当人も冷静に受容したうえで、周囲とどう折り合いをつけるかを考えることが求められる」ところからしか問題の糸口を掴むことはできないようです。
    そして、本書を読めば、その糸口がおぼろげながらも見えてくると思います。読んで良かったと思う1冊でした。

    追記:
    けっこう人付き合いはいい方と思っていましたが、表紙の絵で怒り顔の認識に時間のかかった私は、本書を読んでかなりの「コミュ障」であることがわかりました。その理由もあり、本書を読んで良かったと思いました。

  • コミュ障の人は細かい部分によく気がつくが、全体感の把握が苦手。他人の怒り、困惑を察知する脳の働きが弱いが、他人からのリアクションが必要ないわけではなく、ネガティブ、ポジティブに関わらず、リアクションを求めている。
    うーん、とても思い当たる。
    普通の人間は本能的にポジティブなリアクションよりネガティブなリアクションに素早く反応するが、コミュ障はどちらへの反応も素早さで差がないという点で、より動物性を失っていると著者は評価している。

  • イメージしていたコミュ障とは少し違ったけど、生物学?的な視線から解説されていて興味深かった。

  • イマイチ評判の良くない『ケータイを持ったサル』と同じ著者ですが、ブルーバックスから出ているので気になって読んでみました。

    「コミュ障」の定義から始まり、知的活動への極度の依存(とは書いてないが、いわゆる依存している状態)を、否定的に見るのではなく、客観的に捉えるところがなかなか面白かったし、チェスのボビー・フィッシャーを引き合いに出してくるあたりも面白いし読ませる。

    高度なコミュニケーションを常に求められる現代に、やっとの事でも追いつけない。それはよく言われているように人間的な能力の不足ではなく、低次の動物的なコミュ力がイマイチだからだ、という定義がおもしろい。

  • 生存に必要なはずの危機察知能力が欠けた人類=コミュ障というのは、納得できる話だと思った。
    一方で、注目欲しさにいたずらをするのを「周囲からの反応を良し悪しに関わらず大きさで捉えるから」…としているのは、どうなのだろうか。敢えて悪いことをするのがかっこいいという気持ちも結構ありそうに思う。

  • コミュ力が低いというとネガティブに捉えられがちだが、相手の言動にいちいち捉われず没頭できる人は知的能力が高く、天才と言われている人も多いそうだ。コミュ力の高低は良し悪しではなく、それぞれ長所短所を伴う特性に過ぎない。周りのコミュ力が低い人のこともよい面を正しく評価し、自分がコミュ力低いと思っている人も自分の良さを伸ばそうと著者は説く。納得。自分は自分でコミュ力を高める努力はしつつ、どんな相手にも偏見を持たずに接せるよう努めたい。

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著者プロフィール

一九五四年、大阪府生まれ。霊長類学者(サル学者)・発達心理学者、評論家。大阪大学人間科学部行動学専攻卒、同大学大学院人間科学研究科博士課程修了。京都大学霊長類研究所教授を二〇二〇年に退職。『ケータイを持ったサル』(中公新書)、『天才脳は「発達障害」から生まれる』(PHP新書)、『いじめとひきこもりの人類史』(新潮新書)など著書多数。

「2021年 『自粛するサル、しないサル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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