確率を攻略する ギャンブルから未来を決める最新理論まで (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579278

作品紹介・あらすじ

「確率とは何だろうか?」
――確率とは、不確実な出来事の「起こりやすさ」を数値化したものである。
 しかし、これが現代においては、パーフェクトな答えなのだろうか!?

 現代における確率の貢献度はめざましいものがある。確率を知り尽くした著者は本書の中でこう語っている。

「現代のいくつかの学問分野では、確率は主要な役割を演じている。まず、物理学では、ミクロの物質(電子や中性子など)の振る舞いが確率的なものであることが解明され、その確率法則も正確にわかった。現代の電子的な技術は、このミクロの確率法則を縦横無尽に利用したものだと言える。次に、生物学の世界では、確率は今や主役と言える。遺伝子の変異が確率的であり、その確率法則を利用することで、進化のプロセスや種の分岐の歴史、そして遺伝病やウイルスの拡散の様子が解明されることとなった。
 確率理論による革新は、科学分野に留まらない。社会的な制度の中にも確率の理論は活かされている。例えば、生命保険や火災保険などのさまざまな保険は、高度な確率計算によって支えられている。また、金融分野での確率理論の応用は華々しい。債券や株式や通貨為替などの古典的な金融商品に加えて、デリバティブズ(金融派生商品)と呼ばれる複雑な仕組みの金融商品が考え出され、日々売り買いされている。今や人々の資産を維持し運用するためには、確率理論は欠かせないものとなっているのである。もっと極論するなら、金持ちになるには確率を学ばないといけない、ということだ。」

 およそ300年前、ギャンブルから生まれた確率は、いまやこれほどまでに進歩、発展し、高度化している。本書の狙いは「確率の本質をつかみとる」こと。
 本書では、多くの数学者たちが、困難にぶつかるたび、次の新たな確率の理論を作り上げてきた歴史を読み解き、4つの確率の捉え方を丁寧に解説する。4つの捉え方とは、「頻度論的確率」「数学的確率」「主観的確率」「ゲーム論的確率」である。300年前のギャンブルの確率から21世紀の最新理論まで、ときには不思議でときには厳しい確率の世界。確率の本質をつかみとり、確率の深遠さを楽しんでもらえる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 本文で著者が言ってたけど新書にしては内容が少し高度だと感じた。
    特に数式が多くて若干辟易。
    でも確率をちゃんと習得するとしたらこれらもちゃんと読み込まなくちゃいけないんだろうな。

  • 図書館で借りた。

    中々読み進められなかった。
    新書によくある、「専門書じゃないんで素人でも分かりやすく説明します」雰囲気があるが、そんなジャンルではないと感じた。結構ガッツリ専門的な議論な印象。
    それでもゲーム理論等も取り扱っており、興味深いテーマなので、機会があれば、リベンジしたい本。

    確率には4種類あり、「頻度論的確率」「数学的確率」「主観的確率」「ゲーム論的確率」があるよー、ってのは印象に残った。

  • [第1刷]2015年7月20日

  • 大学で学ぶ確率の入門書。大数の法則の証明あたりが難しすぎて読み飛ばした。
    主観的確率・頻度的確率など確率の捉え方の歴史や説明あたりが良かった。

  • 確率の一般的な論理展開というより、最終章のゲーム理論的確率に導くための著書という印象。大学生時代にゲーム理論で論文を書いたこともあり(その時は確率的な発想はなく、利得行列の在り方に関心があった)、楽しく?読めた。本書はコルモゴロフを基礎においているけど、ホイヘンズやパスカルとフェルマーの往復書簡など、研究者によっても寄って立つ基礎は様々で、確率論って奥が深いと思った次第。

  • なんか難しい

  • 日常的に確率変数を扱っているけど、結局のところ確率ってなんなのさ、との思いぬぐえず読んでみた。読んだ、といえるのか、中盤の公理の証明は自分のものになったとは到底言えない状況である。数学は継続的に勉強し続けたいなあと思う。それにしてもブルーバックスいいなあ。

  • 興味を誘うサブタイトルにつられて手に取ったが、がっつりと数学的に確率の話が進む。数学的な基礎がある人には良書かもしれないが、僕は二章あたりで数式が並び、あれの証明、これの証明というところで挫折した。

  • 確率の公理。確率は面積と同じ。
    大数の弱法則と強法則。弱法則はあいまいな言葉が使われている。
    実存する無限を考える=集合という概念。

    サンクトペテルブルクのパラドックス。
    マルチンゲール戦略=情報増大系に関して、現在の情報で未来の確率変数の推測をしても、いまわかっていること以上には何も得られない、ことをいう。
    マルチンゲール理論=大数の強法則を容易に証明できる。

    マビノギオンの羊の問題。

    ゲーム理論から生まれた確率論。

  • サブタイトルに、「ギャンブルから未来を決める最新理論まで」と書かれていますが、そういう読み物ではなく、数式をひも解いていって確率を理解しようという、数学を真正面からやる(それも大学レベルまで)本でした。文系のぼくにはかなりきつい。たとえば、最初のところで、金融関係のことば、「コール・オプション」を使った例があるんですが、そこですら小一時間かかって理解しました。そこは数式すらない論理だけの箇所でしたが、ことばが足りないようにも見受けられるし、たぶん、そこだけならぼくのほうがうまく説明できますね。そんな感じで、読み進めていくと、数式がばしばしでてきてもう理解しようという気にもならなくなってきます・・・。ごく初歩的な、基礎の部分だけわかりますが、いざそれらを使って大きなことをやるともうお手上げです。しかしながら、確率には、頻度論的確率、数学的確率、主観的確率、ゲーム理論的確率の四つがあるということを初めて認識しましたし、そのなかでも、頻度論的確率については、パチンコで馴染んでいるようなものなので、大数の法則っていうのも幾分わかりやすかったです。大数の法則は、たとえばサイコロを振って出る目の確率はおのおの1/6ですが、実際に10回くらい振ってみると4の目だけ多く出たり1の目がでなかったりするものですよね。ですが、1万回振った、10万回振った、とやると、1/6の確率にぐっと近づくわけです。それが大数の法則のおおざっぱな説明になります。しかし、こんな複雑なことをやって保険だとか株だとかなりたっているわけでしょう。数学者ってお金に関係のなさそうな職業でいて、いまや一番、儲けそうなな立場なんじゃないですか。競馬で、パソコンソフトを使って何億と払い戻しをする人がいますが、その賭け方なんかは、ゲーム理論的なやりかただと、本書を読んで感じました。
    いろいろちまちま賭けて、とにかく少しずつでも増やすやり方ですよね。でっかい資本でもって、少しずつ儲けを出すっていうのは、ぼくもパチンコや競馬で得たギャンブル感ですが、やっぱりそういう方向で金融商品なんかでは儲けるような形なんでしょう。いやー、久しぶりに場違いな本を読みましたが、それなりに得られるものもあったような気がします。limとかlogとか久しぶりにみました。

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著者プロフィール

小島 寛之(こじま ひろゆき)
1958年東京都生まれ。東京大学理学部数学科卒業。同大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。
現在、帝京大学経済学部経済学科教授。専攻は数理経済学、意志決定理論。
数学エッセイストとしても多方面で活躍しており、そのわかりやすい語り口には文系・理系の読者を問わず定評がある。
主な著書に『使える!経済学の考え方』『数学入門』(以上、ちくま新書)、『天才ガロアの発想力』『ナゾ解き算数事件ノート』『21世紀の新しい数学』『証明と論理に強くなる』『【完全版】天才ガロアの発想力』(以上、技術評論社 )、『無限を読みとく数学入門』(角川ソフィア文庫)、『数学的推論が世界を変える』(NHK出版新書)など多数。

「2021年 『素数ほどステキな数はない  ~素数定理のからくりからゼータ関数まで~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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