日本酒の科学 水・米・麹の伝統の技 (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579353

作品紹介・あらすじ

日本酒再発見! 日本酒ほどいろいろな料理に合う酒はない。鍋、ウナギ、焼き鳥、刺身に天ぷら……、中華、洋食、チーズ、そして塩をつまみに。日本酒の歴史は古く、収穫祭にあたる宮中祭祀の新嘗祭では、酒造りの儀式も執り行われるほど伝統を受け継いだまさに日本人のための酒なのだ。
「甘口」「辛口」の基準とは? 
「冷や」とは「冷やした酒」のこと?
燗酒に合う酒は甘口か辛口か?
樽酒が脂っこい料理に適しているのはなぜ?
など、日本酒をとことん知り尽くすための一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 9月25日、県立図書館に行くと「秋の図書館福袋」と書いて、トートバッグが置いてあった。2021年正月明けにも同様の図書館企画があった。中身秘密、バッグはそのままプレゼントしてくれる司書選定の「本の提案」である。図書館開設記念日に合わせて100袋用意したらしい。ちょうどこの1週間前に、愛用していた前回のトートバッグの手提げ部分が切れたので、最後に残っていた3冊のうち青いトートバッグを取った。予想外だったのでラッキーだった。

    今回は「ブクブク本袋(ブックブクロ)」と題し、オノマトペでテーマを決めている。私のは「とくとく」だった。入っていたのは、本書と「絵ときゾウの時間ネズミの時間」「野の花さんぽ図鑑木の実と紅葉」だった。何が「とくとく」なのだろう。

    得々?それでも本書の場合は、「とくとくと酒を注ぐ」とピンときたけど、あと2冊はわからないまま。

    ご承知のように、私がホントに読みたかったのは「ワインの科学」の方。どうして日本ではワインが登場せずに、弥生時代以降に入った米で作られて、しかも製造法もかなり難しい日本酒が発達したのか?知りたいのはそれくらいだったのであるが、その辺りは書いてなかった。
    但し、ワインの原料ブドウはもともと糖分が豊富に含まれているので、ほっておいても発酵は進む仕組みは理解した。酵母が入れば簡単にワインはできる。日本にワインに適したブドウが大量に出来なかったのか?わからない。
    ビールは大麦を麦芽で糖化させて、そのあと酵母を投入してビールを作る。日本に大麦文化は発達しなかった。日本酒は麹で糖化と酵母で発酵が同時に進む。かなり難しい。

    もっとも簡単な歴史は書かれている。
    奈良時代までの酒造はアニメ「君の名は。」でもあるように、少女の「口噛み酒」だった。平安時代になると、「もやし」という名で麹種を専門に扱う専門職者が登場する。

    その他、おゝと思った所を飛び飛びに読んだ。
    ・日本酒に賞味期限はない。未開封ならば腐らない。但し開栓後は熱・光・酸素で次第と劣化する。ウチの43度泡盛古酒は開栓して3年置いているけど、飲めるかしら。
    ・日本酒は百薬の長か。適量の時のみそれが言える。アルコールに換算して1日約20g。日本酒ならば一日1〜1.5合。それ以上になると「Jカーブ効果」で相対死亡リスクが上がってゆく。
    ・日本酒のアミノ酸含有量は、ワインを1にするとビール3、日本酒8である。圧倒的。アミノ酸は蒸留酒にはほとんど含まれない。健康的効用は、疲労回復、食欲増進、グルタミン酸は胃や腸管、肝臓を守り、アルコール代謝を高め、脳機能を高める。ガンを抑え、認知症発生を抑える。万能やん!でも、数字を書いていないのがミソ。

    • kuwatakaさん
      日本の気候がワイン用のブドウ品種に合わないという理由だったと思うのですが、昭和初期まで待ってようやくマスカット・ベーリーAなどの日本独自品種...
      日本の気候がワイン用のブドウ品種に合わないという理由だったと思うのですが、昭和初期まで待ってようやくマスカット・ベーリーAなどの日本独自品種ができてきましたよね。でもこれは日本の気候に合う品種なので海外の有名品種とは別物ですよね。歴史的に説明されていたと思います。現代の日本ワインはどんどん美味しくなって世界的に評価も高くなってますよね。
      2022/10/22
    • kuma0504さん
      kuwatakaさん、そうなんですか!
      確かめるのが愉しみです。

      2ヶ月ほど前、「マツコの知らない世界」で日本ワインが紹介されたときに、出...
      kuwatakaさん、そうなんですか!
      確かめるのが愉しみです。

      2ヶ月ほど前、「マツコの知らない世界」で日本ワインが紹介されたときに、出ていた岡山県哲多町のワインをずっと飲みたいと思っていたのですが、何処にも置いてないどころか、直接注文しても既に売り切れ悔しい想いをしていたワインを、岡山市内の酒屋で偶然見つけて買いました。「tetta」です。もうほとんど、マスカットジュース!手元に美味しい刺身がないのが悔しかった。そういえば、この前湯郷温泉に旅したときに途中で買った「是里ワイン」もベリーAだったなあ。あれは赤ワインだったけど、重厚な肉には合わなかったかもしれない。面白いですね。
      2022/10/22
    • kuwatakaさん
      良いですね。甘いワインは世界ではあまり見られませんが、ドイツのアイスワインも美味しいですよ。デザートワインですね。
      良いですね。甘いワインは世界ではあまり見られませんが、ドイツのアイスワインも美味しいですよ。デザートワインですね。
      2022/10/22
  •  お酒が好きなわたしとしては,こういう科学とお酒のお話も大好きです。
     もともと図書館から借りて読んでいたのですが,自分で持っておきたくなって(これからも何度か拓くことになるかなと思って),購入しちゃいました。
     麹,酵母,醪,木酛…など,日本酒にまつわる話がたくさん詰まっています。山廃なんて,よく使ってはいたけど,正確にはわかっていなかったんだなと思いました。そんな内容が,あちこちに。酒と科学が好きな人には,お薦めです。
     最後には,お酒と健康の話で,少量の日本酒は体にいいというのも本当らしいことがわかって,酒好きにはたまりませんね。
     でも,飲み過ぎるのはよくないのは当たり前。長く日本酒と付き合っていきたいものです。
     あれっ,昨日,奈良県の炭酸の入った「風の森」を飲んでしまったんだった。今日はビールしかないや。明日まで我慢だな。

  • メルカリで売れたので焦って速読!にしのみや酒学校に参加した時のことを色々思い出した。せっかく宮っことして育ち半世紀、十分大人なんだから周りの評価を気にせず、酒位飲めるようになろうと思う。

  • 安定品質のブルーバックス。日本酒について勉強したい方は読んで損ないかと。
    内容盛りだくさんで、一度読むだけでは消化しきれない。
    ・アルコール発酵とは、微生物の酵母がブドウ糖などの糖分を食べてエネルギーを得る過程で炭酸ガスとアルコールを出す反応。蒸留酒は、醸造酒を蒸留したもの。日本酒を蒸留したものが米焼酎、ワインを蒸留したものがブランデー、ビールを蒸留したものがウイスキー
    ・清酒製造では低温で発行を行う。気温があまり下がらない南九州では、雑菌に汚染されやすく清酒作りは難しかった。一方、焼酎酵母は高温に強い
    ・精米する過程の副生物は家畜の餌になったり、米菓子の材料となったり
    ・納豆菌は協力。昔から杜氏は蔵人は仕込み期間に納豆を食べない習わしがあり
    ・ふだんは農山漁村に暮らす杜氏・蔵人たちが、農・漁閑期になる晩秋から早春にかけて季節雇用の形で酒どころに出向いた。11月頃に「蔵入り」し、3月頃までに一行は寝食をともにする。昭和30年頃までの酒造りは、交代で昼夜問わずの作業
    ・大阪国税局のデータによれば、2009年の杜氏は800名を切る。一方、オーナー自らが杜氏を務める蔵元も増えた
    ・日本酒品評会での山田錦を使った銘柄の比率は高い。山田錦の収穫量の約8割は兵庫県
    ・日本酒の場合は、ワインでいうところの「当たり年」がない。麹の作り方等でかなり味を調整できるため
    ・日本酒の原料である米には糖分が含まれていないため、デンプンを糖分に変える糖化が必要
    ・種麹屋は全国で10社あまり。麹の作用でデンプンから分解されたブドウ糖をアルコールに変換するのは酵母の仕事
    ・乾燥酵母は保存がきき、酒母造りの工程も不要になり、製造期間を短縮できるメリットあり
    ・日本酒の品質を所管するのは農水省や厚労省ではなく、財務省
    ・火入れをしない「生酒」は生鮮食品と同様に扱い、数日のうちに飲み切るタイプのお酒
    ・適度にアルコールを添加すると、酸味が抑えられ、後味がすっきりしてお酒の風味がよくなる
    ・お酒を劣化させる三大要因は光、熱、酸素。一定ランク以上のフランスワインは、法律で酸化防止剤の添加が義務付けられている。開栓後の酸化を防止させるために空気を抜くのは有効
    ・大手蔵元は灘五郷や京都の伏見に集中。日本酒の生産量のうち、兵庫県が28%、京都府が18%を占める。灘・伏見の酒造りは日本酒業界の先導を担っている
    ・江戸時代まで庶民が飲むお酒はどぶろくだった
    ・適量のアルコールを摂取している人は、まったく飲まない人に比べて、心臓病・がん・糖尿病・肝硬変などを発症するリスクが低い
    ・日本酒はアミノ酸が豊富。アミノ酸は疲労回復に役立つ
    ・チーズや油を飲酒前に取り入れると酔い防止になる

  • 日本酒の科学に酔い痴れる。

    酒は理屈ではない、美味ければそれでいいとはいうけれど。古来の技術と伝統とバイオテクノロジーの融合、国の財産ともいうべき麹菌、流通技術の進歩のおかげで、より手軽によりバラエティー豊かで美味い日本酒が飲めることに感謝しつつ、少しは日本酒についても語ってもいい。

    ちなみに私は生原酒好き。

  • 日本酒に興味が出てきた今日この頃、本屋で見かけて思わず手に取った一冊。内容が細かすぎて、正直消化し切れた感じはしないけれど、焼酎と日本酒の違い、よく聞く純米酒と吟醸酒の違い、日本酒度など知りたいことは知れたかなあと思う。なによりお酒の本を読むのも面白いことに気が付けたことが一番良かった。ビールにワインまだまだ知りたいことは沢山あるのでアンテナ高く探してみたい。

  • 図書館で借りて一読後、Kindle版購入

    日本酒の作り方…醸し方かな…を知りたくて、いろいろと探した中で、最も内容の濃くわかりやすい本の様に思います。
    ただ章立てと具体的内容に、違和感があって…先を読みつつ、戻りつつしないと、読みにくいのが、星マイナス⭐️一つ…


    PS.今読んでるのも深め、日本酒の話題には、女性ライターの書いた本の方が良い様に思うのは、僕だけ?

  • 新潟に本気を出すために行きの新幹線で読んだのですが、日本酒の発酵の仕方から、含まれる成分から、飲むことで得られる効果に至るまで、網羅的にかつ科学的エビデンスこみで解説されていて超面白かった。
    言われてみれば、確かに日本酒って年によって出来がどうのこうのとか言われてないよなと、その再現性の背景にはきょうかい酵母があったのですね。ビールやワインと違い、糖化と酵母の発酵が並行して行われ、製造の難易度が高いことなども知り、今こうして日本酒を高い品質で飲める環境をつくってくださっている皆さまに一層感謝したくなりました。
    その他、わかった振りをしていた秋の「ひやおろし」の意味、火入れが酸化防止剤の代わりになっていること、日本酒の中でも樽酒にウォッシュ効果や魚介類のうま味の強度を高める効果があること、太りやすい印象は嘘であることなどなど。
    適量飲むと健康によく、近年フランス料理にも合うことが世の中にバレつつあるということだったので、気に入った日本酒を持って渡航しようかなと思いました。

  • 一杯やりたくなったなぁ。

  • 美味しい日本酒が呑みたいです

    ってな事で、高橋俊成 監修、 和田美代子 著 の『日本酒の科学 水・米・麹の伝統の技』

    これ滅茶苦茶面白い♪

    読み易く、勉強になるなぁ

    基礎から学べて、これを読めば日本酒通に成れそう(笑)

    大手の酒蔵をアンチな目で見ていたけど、反省せんといけんね

    色々と為になるバイブルですよ

    2019年3冊目

  • 日本酒の作られる過程がわかった。製法と味の関係についてさらに詳しく書いてくれるとなお良かった。

  • ブールバックスっぽさは出ている。

  • 摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB99786637

  • 日本酒造りの原理が科学的に細かく説明されている。

  •  章ごとに、あぁ、日本酒飲みたいって気持ちになる本。
    製造工程、米の種類、酵母の違い、水の違い、清酒の種類など、章ごとにテーマを絞って日本酒のことが魅力的に語られ、その違いを感じながら日本酒を楽しんでみたくなります。

     特に生酛造りについてはその工程が詳細に述べられていて、どんな味だろう、どんな料理が合うだろう、と想像が広がります。

     今日、安定して美味しい日本酒が楽しむことができるのは、大小を問わず、酒造各社の弛まぬ研究の賜物であることも知りました。今ほど科学が発達していない時代に確立された日本酒の製造方法から、安定してより美味しいお酒を作るために日々酵母が研究されている現在は、手法はどんどん進化しつつも遥か昔からの地続きなのだなぁと実感しました。

     漫画のもやしもんの日本酒造りのエピソードに繋がりを感じる本書ですが、もやしもんが日本酒を造ることそのものの魅力を教えてくれたのに対し、本書は日本酒を飲む楽しみを広げるための知識を教えてくれたように思います。
    じっくり日本酒が飲みたいです。

  • ふむ

  • 地域による辛口甘口の由来を知った。その地域の特産、気温、水などなど。正直ラベルには何も書いていない事が多いが、地域からイメージするのも良い。地酒というのもこれから楽しんでいきたい。

  • 日本酒を生物学、化学の観点から解説している。
    やや、専門的なところもあるが、分かりやすい。

  • 2016年2月新着

  • 日本酒ほどいろいろな料理に合う酒はない。和食はもちろんのこと、洋食、中華、チーズ……をつまみに、日本酒をとことん知り尽くすための一冊。

  • 請求記号 588.52/W 12

  • まずはコンパクトな基礎理論から。

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著者プロフィール

著者:和田美代子
明治大学文学部卒。交通新聞社に勤務後、フリーに。医療関係雑誌の「温泉探訪シリーズ」を50回連載。『旅の手帖』など旅行雑誌に執筆。著書『日本酒の科学』(講談社)など。月刊『食べもの通信』に「とっておきの温泉宿」を今も連載中。

「2023年 『心もからだもおなかも”湯治” とっておきの温泉宿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

和田美代子の作品

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