コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)

著者 : 旦部幸博
  • 講談社 (2016年2月19日発売)
3.84
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579568

作品紹介・あらすじ

今では、我々の生活に欠かすことのできない嗜好品となったコーヒー。
その独特の香味はどのように生まれるのだろうか。
自家焙煎店で培われた職人の技術と知恵を、科学の視点で徹底分析。味をコントロールし、自分好みのコーヒーを淹れる秘訣が見えてくる。
科学論文に基づく知見を踏まえて、コーヒーのさまざまな謎に迫る!

コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)の感想・レビュー・書評

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  • タイトルの通りコーヒーのおいしさはどこで生まれるのか、といったことからコーヒーに関する雑学を満遍なくカバーしている。さすがブルーバックスシリーズ、素人でもわかりやすく科学に触れられる。

    著者の本職はバイオ系の研究者。大学でガンに関わる遺伝子を研究したり、微生物学の講義を行ったりしているとある。どうやらかなりのコーヒーオタクで、本職でのスキルもフル活用してコーヒーの科学を追求しているようだ。参考文献を見てみると、沢山の学術論文が記載されている。

    私たちがコーヒーを口にするまでには、
     1.コーヒーノキの栽培、収穫
     2.精製して生豆にする
     3.生豆を焙煎する
     4.焙煎した豆を粉砕する
     5.粉砕したコーヒー粉からコーヒーを抽出する
    といった工程があるが、それぞれで驚くほど沢山の要素があり、おいしさに影響する。この本はそれらの要素を科学的に説明しているわけだが、コーヒーから様々な分野の科学につながっていく。それが面白い。

    更に言うと、
     6.コーヒーを抽出して口に含んでからどのようにおいしさを感じるのか?
     7.コーヒーを飲んだ後に体にどんな変化があるのか?(覚醒作用とか)
     8.毎日コーヒーを飲んでいたら、体にいいのか悪いのか?
    といったことまで扱っている。コーヒーに関する全てを満遍なく網羅していると思う。

    個人的には、第4章の『コーヒーの「おいしさ」』がよかった。そもそもどういうものが「おいしい」のかは人によって違う。そんな難しい問題に対して、「味ことば」から「おいしいコーヒー」とはどんなものかを考えたり、人が味を感じる仕組みから考えたりしている。

    「おいしい」というのは、突き詰めるととても奥深い。人によっても違うし、同じ人でも年齢と共に変化したり、精神状態によっても変わる。そんな風に、身近なコーヒーから広い概念を再認識できたというのが収穫かもしれない。

  • 一日に少なくとも3杯はコーヒーを飲む。コーヒーを飲むとがんのリスクが低くなる、というような研究結果がときにネットにも流れることがあるとうれしくなってFacebookでシェアをしてしまったりする。もちろん、果たしてどこまで信用していいのかわからないながら、ならよいかと飲み続けている。

    本書は、自ら「コーヒーおたく」と称し、コーヒーに関する「百珈苑」というWebサイト を公開している現役のバイオ系研究者の大学教授がコーヒーに関する知識をここまでかというほど詰め込んだものだ。これは読まなくてはならない。

    著者が披露する範囲は、コーヒーの成分、コーヒーの歴史、コーヒーの味と香り、コーヒーの焙煎と抽出、そしてコーヒーと健康まで、コーヒーに関連するものはもうないのではと思うほど広くカバーされている。
    内容もコーヒーがカフェイン成分を含むに至るまでの進化的考察や、アフリカから新世界に広まった歴史、主成分であるカフェインが神経系を刺激する仕組み、コーヒーの味や香りを決める化学成分、焙煎や蒸らしや抽出の仕組みなど事細かに記述される。たとえば、A9神経/A10神経、クロロゲン酸ラクトン類やビニルカテコール・オリゴマーなど聞いたこともないような科学用語がこれでもかというほど出てくる。まさしく、コーヒーに関する知識の集大成である。

    そして自分が個人的に一番知りたいコーヒーと健康の関係が最後にまとめられていた。著者も「コーヒーの科学の中でも、この疑問ほど人々の興味を集めてきたものは他にないかもしれません」と書いている。その通り。そして科学者らしく、「コーヒーに含まれる○○という成分にxx作用がある」というものと「コーヒーを飲むとヒトはどうなるか」を区別して、後者について考えようと前置きする。もちろん科学者らしく相関関係と因果関係の違いを意識している。

    長期の健康との関係では、コーヒーの飲用は、肝がん、大腸がん、子宮体がん、2型糖尿病、胆石、アルツハイマー病・認知症、パーキンソン病などの発症リスクの低下と相関性がある一方、膀胱がん、関節リウマチ、肺がん、緑内障のリスク上昇と相関性があるらしい。また、のべ40万人13年間のNIHのコホート調査の結果、コーヒーを飲む集団の方が全く飲まない集団より、総死亡率が低下すると。日本の他の大規模コホート調査でも同様の結果が出ているらしい。ふむふむ。

    コーヒーがヒトに与える短期的影響としては当然、カフェインによる覚醒効果がある。不眠や不安などカフェイン中毒の症状も観られる。気をつけるべきはカフェインは「眠気」や「疲労感」を一時的に和らげるだけであって、睡眠や休息そのものの代替にはならない。ただ、カフェインが想起には影響しなかったものの記憶の定着を強化するという報告もあるという。よしよし。

    どういう結果であれ、飲み続けることに変わりはないのだけれども。

    しかし、このテーマで新書を出版してしまえるブルーバックスとコーヒーはあっぱれ。

    ちょっとテイストが古風だが、この本の元となったともいうべき著者のホームページは以下。

    コーヒーホームページ「百珈苑 」
    https://sites.google.com/site/coffeetambe/

  • ブクログ献本でいただいたもの。

    コーヒーの木の品種の話からコーヒーの歴史、抽出する道具や香りや味を決める成分に至るまで細かく検証した、グルメというよりやっぱり科学の本でした。
    科学用語?が出てきたりしますが文体は読みやすいので面白い。

    コーヒー豆や焙煎に興味がある人の方が楽しめるかも。

  • コーヒーができるまでに
    ①精製:果実から生豆を取り出す
    ②焙煎:生豆加熱
    ③抽出:豆からお湯で成分をとりだす。
    深煎りとかは②の話で、ドリップとかは③の話だという当たり前の話を今更知ることができた。

     基礎〜詳細まできちんとかいてある、コーヒーの教科書のような本で、細かいところは流し読みだったが勉強になった。

  •  コーヒーについて手広くまとめられていて面白いです。あまり語られることのないコーヒーの植物学的な歴史について多くの知見を与えてくれますし、焙煎や抽出といった各工程の経験則を科学的に見てみようという試みが面白いです。コーヒーが引用されてきた歴史についても踏み込まれています。

     面白いポイントはいくつもあるのですが、モカ豆の独特の香りが(本来取り除くべき)発酵豆にあるのではないかとか、コーヒーの香りを特徴づける成分だけを取り出してもコーヒーの香りにはまったくならないとか、この世界の複雑さをコーヒーから思い知らされた気分がしました。

     コーヒー豆を選んだりいれることに慣れていて、そこにどんな作用が働いているのか関心のある方が読むと一番楽しめると思いますが、そうでなくてもコーヒーに関心があれば得るところの大きい本だと思います。

  • 「科学の視点で徹底分析」がやたら面白い!理屈が分かるとコーヒーの淹れ方の工夫も楽しくなりそう。

  • コーヒーに関する情報が盛りだくさんの良書。
    著者は医学部にてがんに関する遺伝子学、生物学の研究をしている方だそうですが、コーヒーに関する強い思いが高じて本書を執筆するに至ったとか。
    「コーヒーとは?」とはから始まり、その歴史、おいしい飲み方までカバーする話題は幅広い。
    科学者が書いているので、感覚的な記載が少ないのもよい。
    これはいい本だなー。

  • コーヒーのおいしさは何から生じるのか。苦みを生む様々な成分の特徴、酸味の秘密、複雑な香りの源など、コーヒーをめぐる科学的な話題を、遺伝子学・微生物学の専門家が易しい語り口で解説する。家庭焙煎のコツやおいしいいれ方、健康との関係といった、知って得する情報も盛りだくさんだ。

  • すごくマニアックな事が書いてあるのに、とっても読みやすい。

  • あなたはどれくらいコーヒーを知っていますか?
    豆の産地、品種、製法、なにが味を決める?
    コーヒー豆は「豆」じゃない?
    「すっきりした苦味」と「後に残る苦味」の違いは?
    浅煎りと深煎りどちらがカフェインが多い?
    「炭火焙煎で豆の芯から火が通る」は本当?
    「コーヒーを飲むとがんになりにくい」は信用できる?

    今では、我々の生活に欠かすことのできない嗜好品となったコーヒー。 その独特の香味はどのように生まれるのだろうか。自家焙煎店で培われた職人の技術と知恵を科学の視点で徹底分析。味をコントロールし、自分好みのコーヒーを淹れる秘訣が見えてくる。科学論文に基づく知見を踏まえて、コーヒーのさまざまな謎に迫る!

    著者プロフィール:旦部幸博(たんべ・ゆきひろ)
    1969年長崎県生まれ。京都大学大学院薬学研究科修了後、博士課程在籍中に滋賀医科大学助手へ。現在、同学内講師。専門は、がんに関する遺伝子学、微生物学。人気コーヒーサイト「百珈苑」主宰。自家焙煎店や企業向けのセミナーで、コーヒーの香味や健康に関する講師を務める。著書に『コーヒー おいしさの方程式』(共著、NHK出版)。

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