コーヒーの科学 「おいしさ」はどこで生まれるのか (ブルーバックス)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1542
感想 : 101
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579568

作品紹介・あらすじ

今では、我々の生活に欠かすことのできない嗜好品となったコーヒー。
その独特の香味はどのように生まれるのだろうか。
自家焙煎店で培われた職人の技術と知恵を、科学の視点で徹底分析。味をコントロールし、自分好みのコーヒーを淹れる秘訣が見えてくる。
科学論文に基づく知見を踏まえて、コーヒーのさまざまな謎に迫る!

感想・レビュー・書評

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  • コーヒー大好き、科学も大好きという皆さん。唆るぜ、これは!

    とにかくコーヒーについて、多面的に科学のメスが入れられている。

    個人的に特に印象に残ったのは(コーヒーに限定される話ではないが)「嗅盲」の話。

    簡単に言えば、特定の匂い成分について、感じる人もいれば、感じない人もいるということ。36%の人が感じない匂いというのもあるし、他の匂いについても平均して1~3%は感じない人がいるというのだ(別途、調べたら、なんと半数の人が感じない匂いもあるらしい)。

    たまに、「ある色を見たときに、他の人は自分と同じように感じているのだろうか?」なんていう疑問を持つ人がいるが、視覚はともかく、嗅覚に関しては、実際に「同じようには感じてはいない」ということになる。

    味は匂いに多分に影響されているというし、こうした個々人の「匂いセンサー」違いが、味の好みに影響していることは間違いないだろう。

  • タイトルの通りコーヒーのおいしさはどこで生まれるのか、といったことからコーヒーに関する雑学を満遍なくカバーしている。さすがブルーバックスシリーズ、素人でもわかりやすく科学に触れられる。

    著者の本職はバイオ系の研究者。大学でガンに関わる遺伝子を研究したり、微生物学の講義を行ったりしているとある。どうやらかなりのコーヒーオタクで、本職でのスキルもフル活用してコーヒーの科学を追求しているようだ。参考文献を見てみると、沢山の学術論文が記載されている。

    私たちがコーヒーを口にするまでには、
     1.コーヒーノキの栽培、収穫
     2.精製して生豆にする
     3.生豆を焙煎する
     4.焙煎した豆を粉砕する
     5.粉砕したコーヒー粉からコーヒーを抽出する
    といった工程があるが、それぞれで驚くほど沢山の要素があり、おいしさに影響する。この本はそれらの要素を科学的に説明しているわけだが、コーヒーから様々な分野の科学につながっていく。それが面白い。

    更に言うと、
     6.コーヒーを抽出して口に含んでからどのようにおいしさを感じるのか?
     7.コーヒーを飲んだ後に体にどんな変化があるのか?(覚醒作用とか)
     8.毎日コーヒーを飲んでいたら、体にいいのか悪いのか?
    といったことまで扱っている。コーヒーに関する全てを満遍なく網羅していると思う。

    個人的には、第4章の『コーヒーの「おいしさ」』がよかった。そもそもどういうものが「おいしい」のかは人によって違う。そんな難しい問題に対して、「味ことば」から「おいしいコーヒー」とはどんなものかを考えたり、人が味を感じる仕組みから考えたりしている。

    「おいしい」というのは、突き詰めるととても奥深い。人によっても違うし、同じ人でも年齢と共に変化したり、精神状態によっても変わる。そんな風に、身近なコーヒーから広い概念を再認識できたというのが収穫かもしれない。

  • ☆☆☆2018年11月レビュー☆☆☆

    科学の視点からコーヒーを語る。
    アラビカ種、ロブスタ種、精製、焙煎、抽出。コーヒーの基本知識を学ぶことができる。

    ★★★2019年3月レビュー★★★

    ロブスタは病気に強い。
    だが品質に劣る。インドネシア、ベトナムでロブスタが多いのは、アラビカが「コーヒーさび病」にやられたから。
    少しずつコーヒーの知識を増やしていこう。

  • 文字通りの内容で、植物としてのコーヒーの来歴や特徴、コーヒーの効能に関わる成分、「美味しいコーヒーの淹れ方」の科学的な定義、そもそもコーヒーの美味しさとは何か、など。コーヒーを飲めるようになったのもここ数年の初心者にはひたすら「へーなるほど」の一冊。
    読み終わったら、コーヒーを飲みたくなり、妊娠→授乳で控えていたコーヒーを、1杯/1〜2日ペースで飲むようになりました。

  • コーヒーにこだわりのある人は、この本を読んでいろいろと試してみても良いかも。

  • 一日に少なくとも3杯はコーヒーを飲む。コーヒーを飲むとがんのリスクが低くなる、というような研究結果がときにネットにも流れることがあるとうれしくなってFacebookでシェアをしてしまったりする。もちろん、果たしてどこまで信用していいのかわからないながら、ならよいかと飲み続けている。

    本書は、自ら「コーヒーおたく」と称し、コーヒーに関する「百珈苑」というWebサイト を公開している現役のバイオ系研究者の大学教授がコーヒーに関する知識をここまでかというほど詰め込んだものだ。これは読まなくてはならない。

    著者が披露する範囲は、コーヒーの成分、コーヒーの歴史、コーヒーの味と香り、コーヒーの焙煎と抽出、そしてコーヒーと健康まで、コーヒーに関連するものはもうないのではと思うほど広くカバーされている。
    内容もコーヒーがカフェイン成分を含むに至るまでの進化的考察や、アフリカから新世界に広まった歴史、主成分であるカフェインが神経系を刺激する仕組み、コーヒーの味や香りを決める化学成分、焙煎や蒸らしや抽出の仕組みなど事細かに記述される。たとえば、A9神経/A10神経、クロロゲン酸ラクトン類やビニルカテコール・オリゴマーなど聞いたこともないような科学用語がこれでもかというほど出てくる。まさしく、コーヒーに関する知識の集大成である。

    そして自分が個人的に一番知りたいコーヒーと健康の関係が最後にまとめられていた。著者も「コーヒーの科学の中でも、この疑問ほど人々の興味を集めてきたものは他にないかもしれません」と書いている。その通り。そして科学者らしく、「コーヒーに含まれる○○という成分にxx作用がある」というものと「コーヒーを飲むとヒトはどうなるか」を区別して、後者について考えようと前置きする。もちろん科学者らしく相関関係と因果関係の違いを意識している。

    長期の健康との関係では、コーヒーの飲用は、肝がん、大腸がん、子宮体がん、2型糖尿病、胆石、アルツハイマー病・認知症、パーキンソン病などの発症リスクの低下と相関性がある一方、膀胱がん、関節リウマチ、肺がん、緑内障のリスク上昇と相関性があるらしい。また、のべ40万人13年間のNIHのコホート調査の結果、コーヒーを飲む集団の方が全く飲まない集団より、総死亡率が低下すると。日本の他の大規模コホート調査でも同様の結果が出ているらしい。ふむふむ。

    コーヒーがヒトに与える短期的影響としては当然、カフェインによる覚醒効果がある。不眠や不安などカフェイン中毒の症状も観られる。気をつけるべきはカフェインは「眠気」や「疲労感」を一時的に和らげるだけであって、睡眠や休息そのものの代替にはならない。ただ、カフェインが想起には影響しなかったものの記憶の定着を強化するという報告もあるという。よしよし。

    どういう結果であれ、飲み続けることに変わりはないのだけれども。

    しかし、このテーマで新書を出版してしまえるブルーバックスとコーヒーはあっぱれ。

    ちょっとテイストが古風だが、この本の元となったともいうべき著者のホームページは以下。

    コーヒーホームページ「百珈苑 」
    https://sites.google.com/site/coffeetambe/

  • コーヒーの美味しい淹れ方を知りたくて手に取りました。淹れ方とそれに関連する科学的背景がわかっただけでも満足ですが、コーヒー豆の種類や歴史などの記載も結構厚めでそちらはそちらで楽しめました。デカフェのコーヒーってどうやってできているんだろうというのもずっと疑問に思っていたので、そこもスッキリポイントでした。

  • 生粋の化学者の興味に従う内容。
    余すところ無く、コーヒーに関するアレコレを記載。

    ストーリー性は薄いため、読み続けるのに努力を要する。
    辞典的に使うには良し。

  • 分かるところもあれば、分からないところも。化学的情報が書いてあり理解するために時間が掛かった。

  • あんまり読み進められてないけど、知りたいことはある程度書かれている事は分かった。

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著者プロフィール

滋賀医科大学医学部医学科 病理学講座(微生物感染症学部門)准教授。
1969年、長崎県生まれ。京都大学大学院薬学研究科修了後、博士課程在籍中に滋賀医科大学助手へ。博士(医学)。2020年より現職。専門は、がんに関する遺伝子学、微生物学。講談社ブルーバックス『コーヒーの科学』などコーヒー関連の著書も。

「2022年 『最小にして人類最大の宿敵 病原体の世界 歴史をも動かすミクロの攻防』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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