重力波とはなにか 「時空のさざなみ」が拓く新たな宇宙論 (ブルーバックス)
- 講談社 (2016年9月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062579834
作品紹介・あらすじ
地球から太陽までの距離が「水素原子1個分」伸び縮みするだけ――
この絶望的に小さな波の観測に、人類は本気で挑み、ついに成功した!いったいどうすれば、こんな小さな波が見つけられるのか。その発見はなぜ「宇宙のはじまり」を見ることにつながるのか。重力波が「凍りつく」とはどういうことか。一般相対性理論は重力波によってどのように検証されるのか。
「ノーベル賞が1個では足りない」とまでいわれる重力波観測の意義と、理論物理学からみたその本質を、日本の重力波研究の第一人者がやさしく、かつ濃く、深く解説する、国内初の一般向け解説書!
感想・レビュー・書評
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重力波における今までの研究や観測などについて上手くまとめられた入門書。
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”重力波”は言葉は知っているけれど、実際なんなのかというのは分からないものの一つでした。しかし、今回本書を読むことでかなり理解できたと思います。
少なくとも、新しいニュースがあった時に理解できるようにはなれそうです。
冒頭で作者の方が書いているように、比較的初心者向けの内容となっています。
私自身も、理系とは縁がない身ですが、本の内容はある程度理解できました。一部数式などでわからない点はありましたが、その点は読み飛ばしても問題ないと感じています。
読み終わって思ったのは、重力と言うのは「近くて遠い存在」だ、と言うことです。
重力に包まれて私たちは生きているわけですが、知らなくても問題がない存在です。それは本書に書かれているように、重力がとても弱い力であることが理由なのでしょう。
一方で、ブラックホールなどの存在は、存在は強力ですが、やはり身近な存在にはなりません。
しかし、重力波という存在への理解が進むと、これらのことが驚くほどに関連づけられてきます。私がこの本を手に取った理由は、そういったものに対してわからないながらも興味があったからなのですが、重力波を通して少し身近に思えるようになりました。
重力波がなぜここまで話題となるのか、その理由もそこにあるのでしょう。ますます今後の研究が気になります。 -
booklog.jp という読書感想文サイトのキャンペーンで当選した。重力波観測や重力波天文学について、日本を代表する研究者が書いた。最先端の研究者自身が、わかりやすくするための誤魔化しは無く、データや数式を適切に使用しながら、一般人が読んでもわかりやすく、書かれている。重力波観測だけでなく、それが目的としている重力波天文学についても解説されており、他書物に無い点である。
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第1章〜第9章から構成された素人向けの宇宙についての解説本。重力波とはなにか?観測に成功するまでの道程を天文物理学の歴史と共に解説している。2016年2月に重力波観測成功。世界中の重力波観測プロジェクトチームとのネットワークなど観測にあたり用意周到な流れを作るまでの道程をぎっしり解説。専門用語や数式など数多く出てくるものの著者が度々、理解できなくても大丈夫。雰囲気を解ってくれたらと励ましてくれた言葉のおかげ完読できた。そして各章の最後にポイントとして内容をまとめてある事、図解が解りやすかったのも大きい。日本の観測機器のカグラの活躍にも期待しています。重力波望遠鏡の検証、超弦理論のマルダセナ予想からの発展とこれからも宇宙の解明に期待。
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研究史のおさらいからラストで重力波天文学の話
●8章
重力波が変える宇宙論
「宇宙の地平線」から戻ってくる原始重力波
257
インフレーションからの原始重力波を直接とらえられれば、宇宙誕生直後の姿を直接観測することができる。
266
「精密宇宙論」の時代
275
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(2016.2の)重力波の初観測は、きわめて大きな意義をもっています。それは人類が宇宙を観測するための、まったく新しい手段を手に入れた、という意義です。従来の天文学には、主に光・電波・X線などの電磁波が用いられてきました。重力波は、電磁波にはない非常に強い透過力を持っています。その性質を生かすことで、ブラックホールの近傍や、宇宙誕生の瞬間までを観測することが期待できます。重力波は、人類に新しい宇宙観をもたらすか可能性を秘めている。
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身近でない重力波というものを興味がわくように書いてある.論文の書き方である,歴史的な背景,そのなかでの位置付け,従来のお話,今ある問題点という流れを踏襲しているがそれだけではない.宇宙という縁遠いながらワクワクするものを通して一般の人にも面白いんだ,というエモーションに訴えかける話の運びであった.
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