カラー図解 進化の教科書 第2巻 進化の理論 (ブルーバックス)

  • 講談社 (2017年1月18日発売)
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感想 : 15
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062579919

作品紹介・あらすじ

進化は集団内にいかに広がるのか、あるいは消えてしまうのか? その鍵を握るのが「対立遺伝子」の存在だ。進化のメカニズムには大きく分けて、遺伝的浮動、自然淘汰、移動、そして突然変異の4つが関係している。ここでは、これらの要因がどのように進化、とりわけ対立遺伝子の振る舞いに関係しているかを数理モデルによって検証していく。
さらに自然淘汰による進化は、自然淘汰そのものが変化することが最近の研究から明らかになり、野生の個体群でも人為淘汰と同じくらい速く進化的変化が起こることが観察されているという。
進化にとって、無性生殖が有利か有性生殖が有利か? 性淘汰で繰り広げられる生物進化の物語から、あらためて人類がいまここに存在する意味を投げかける。

感想・レビュー・書評

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  • 1巻に比べて難解なので星4。

    ただそれぞれの章末にある小テストは基本的かつ簡単ってことは、その程度理解出来てればOKってことだから本文詳細はさらーっと飛ばし読みでもいいかな。
    (自分に甘いことにかけては定評のある私)

    5章 進化のメカニズム
    「自然淘汰による多様性の維持」の例として鎌状赤血球とマラリアの話が載ってた。まぁこれは有名。こないだも友達のこれの話をしたとこ。(東アジア人が酒に弱いのが多いという話から派生)
    初めて知った他の例では黄色と紫の2型の花色を持つムホシュウラン。これも凄いバランスですねぇ。

    6章 量的遺伝学と表現型の進化
    (本文の中ではメイン議題ではないんですが)今更こんなこと言うのもあれなんですけど夏と冬で毛色変わる(野ウサギ)ってヤバいですよね。まぁタコとかイカとかカメレオンとかも大概か。

    7章 自然淘汰
    ミバエが植物の茎に作るゴール(虫こぶ)。
    でかいとコゲラに見つかりちっこいと寄生バチの針が届いちゃうとな。
    いいですねーーーこういう話。

    8章 性淘汰
    目次の時点でここが一番おもろいのは予想してたんですがそのまんまでした。
    冒頭はカモの捻れファルス(反時計)と捻れ卵管(時計)。これは以前読んだ本で衝撃を受けたとこです。普通の鳥類はオスも穴だけ。全体の3パーしかファルスがないそうな。これも是非子供達に強調したいとこですね。生物に設計者などいないなと素直に思えるのでは。(てかさ、誰かが鳥類の3パーにだけ故意にオティンティンつけたとしてよ。その人が作った天国とかって貴方が想像する天国と同じだと思う?怖くて死ねないでしょ。まぁどっちにしろ地獄行きだからいいのか。)
    有性生殖のメリットデメリットも分かりやすい。
    ここでのびっくりポイントは約1億年前に有性生殖から無性生殖に変化したとされるヒルガタワムシ。まず有性から無性になってるのもびっくりだけど、とはいえ夏だけ無性生殖で冬は有性生殖とか雌雄同体とかいますしね。まぁここは軽めのびっくりねぇーって感じでスルー出来るんですが、そんなヒルガタワムシが400種も確認されていること。いすぎ。特殊ではあるけれどそこそこ遺伝子ばら撒き上手くいってるじゃんってのがびっくり。で。なんでコピー繰り返してるだけなのに上手くいってんのかしらとの問いには「環境が悪くなると乾燥and脱水する。んでまた吸水して復活する。そうして細胞膜が壊れた際に周辺の細菌や菌類、植物の遺伝子を取り込んで遺伝的不利益を逃れてるのかも。乾燥してたら寄生も病原菌も来ないし。」だって。そりゃまぁミトコンドリアもね、光合成も、目だって。なんか全く別の生き物の遺伝子を取りこんじゃってるなーとは感じるけども。でもそれオンリーで無性生殖続けてるってアンタ。それとも真の強みは乾燥と吸水なのか。
    コピーで思い出しましたが世界に4種類確認されてる働き蟻は有性生殖だけど女王と王に関しては先代遺伝子が100そのまんまの蟻。
    あれって何時ごろからいる(つまりどれくらいの間コピーオンリーで過ごしてる)んでしょうかね。
    さすがに1億年ってことはないにしても、彼らは乾燥と吸水による他生物の遺伝子を取り入れるチャンスがないだろうから環境変化で1発アウトなのかなぁ。(そん時は女王も遺伝子混ぜたりすんのかな。)

    最後またこの話繰り返しちゃうんですが、米国の大学生はこうやって生物のことを学んでいく上で宗教は邪魔にならないんですかねぇ。
    そりゃ不条理な世の中をね、生きていかなきゃいけない、しかも自分は絶対に死ぬ。必ず死ぬ。120年以内に絶対死ぬ。親は勿論恋人も子供も孫もみんな死ぬ。ってことに耐えるには「洗脳される」ってのが一番ラクなのは事実でしょうし、同じ宗教クラブ仲間であることのメリット(結婚相手探しとか?)も大きいでしょうけども。ただそんなラクな洗脳も解けちゃうと反動凄くないですかね。手抜きでラクしてた分だけ。
    たまに高名な科学者がかなり真剣なキリスト教信者だったりしますけど、ハリガネムシとかロイコクロリディウムとかシュモクバエとかさぁ。
    もし設計者がいたらかえって怖くない?

    • けよしさん
      犬山犬男さん、こんにちは!
      わたしも宗教のお話はいつも不思議に思っています
      そもそもガチの人は読まないと思いますけど
      読んでる人は、空...
      犬山犬男さん、こんにちは!
      わたしも宗教のお話はいつも不思議に思っています
      そもそもガチの人は読まないと思いますけど
      読んでる人は、空気読んで適当にあわせてるんでしょうか
      安全第一、信念第二ですもんね
      2025/04/10
    • 犬山犬男さん
      けよしさん
      まぁ私が自由(ルーズ)な宗教観の日本に生まれ育っただけなのと同じように、向こうもガチガチの信仰地域に生まれ育っただけなんでしょう...
      けよしさん
      まぁ私が自由(ルーズ)な宗教観の日本に生まれ育っただけなのと同じように、向こうもガチガチの信仰地域に生まれ育っただけなんでしょうけども。とはいえ信仰(洗脳)という楽ちん状態から目を覚まさせるきっかけは毎日目に耳にするはずなんですけどねぇ。だから心療内科を受診する人が多いのかな。知らんけど。笑
      2025/04/10
  • 事実上の再読。実は、以前に読んでいたのだが時間をかけて読むことができずにいた。第5章の理論が数式だらけ、文章が難解で読むのにとても苦労したのだ。専門分野で学んでいないので何度も何度も繰り返し読んだ。結果、対立遺伝子のことが以前よりもわかるようになりその後の章に移っても楽しく読むことができた。
    性淘汰の章が面白い。性的対向によりショウジョウバエの雄雌が拮抗して選択を繰り返し、それぞれ不利な状況を作り出すのも面白いが、条件を変えて(一夫一妻の状況)しまうとお互い協力的になるのが興味深い。練習問題が各章末にあり、解くのも楽しい(正確するともっと楽しい)。第二巻は読破に時間がかかったが、また読んでみたい印象深い本になった。

  • 2巻は理論篇。
    進化のメカニズムは非常に大事。突然変異と自然淘汰はよく語られるし人口に膾炙しているけれど,遺伝的浮動はほとんど知られてないのでは?
    こっちの方を強調する大型番組などやってもいいように思う。中立説は日本人提唱なんだし,いける!

  • 内容紹介
    進化は集団内にいかに広がるのか、あるいは消えてしまうのか? その鍵を握るのが「対立遺伝子」の存在だ。進化のメカニズムには大きく分けて、遺伝的浮動、自然淘汰、移動、そして突然変異の4つが関係している。ここでは、これらの要因がどのように進化、とりわけ対立遺伝子の振る舞いに関係しているかを数理モデルによって検証していく。
    さらに自然淘汰による進化は、自然淘汰そのものが変化することが最近の研究から明らかになり、野生の個体群でも人為淘汰と同じくらい速く進化的変化が起こることが観察されているという。
    進化にとって、無性生殖が有利か有性生殖が有利か? 性淘汰で繰り広げられる生物進化の物語から、あらためて人類がいまここに存在する意味を投げかける。


    著者について
    カール・ジンマー
    1966年生まれ。サイエンスライター
    『進化大全』(光文社)、『進化』(岩波書店)、『ウィルス・プラネット』(飛鳥新社ポピュラーサイエンス)など多数。
    ダグラス.J・エムレン
    モンタナ大学教授。専門は動物進化学。
    更科 功
    1961年8月12日、東京生まれ。東京大学教養学部基礎科学科卒業。民間企業勤務を経て、大学に戻り、東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。博士(理学)。専門は分子古生物学で、主なテーマは「動物の骨格の進化」。
    『化石の分子生物学』(講談社現代新書)で、第29回講談社科学出版賞受賞。

  • 3巻まで続く『進化の教科書』シリーズ第2巻。
     
    『進化のメカニズム』や『自然淘汰』『性淘汰』について
    詳しく述べています。
     
    いま書き始めている小説に必要な知識として
    読んでいるのですが、『進化論』をこれまで
    きちんと勉強してこなかった私でも
    分かるように書かれています。
     
    『進化』という現象は、わずか数世代で起こる
    極めて速度の速い現象。
     
    そう考えると、古代の人間は草食だったから
    肉を食べるのは健康に悪いんだ、なんて言っている
    ベジタリアンの理論がいかにナンセンスかということ
    がよく分かります。
     
    ネタとしてもいろいろと参考になる一冊でした。
     
    あなたが知識として『進化』について知りたいな
    と思っているなら、『進化論』の入門書として
    おすすめできる一冊です。

  • 生殖の章を面白く読んだが、一般の人が読むと危うい勘違いをしそう。

  • 第2巻になって、いよいよ進化論のサイエンスらしさが出てきた。内容はすこし難しくなるが、図表が豊富で練習問題まであり、わかりやすく書かれていると感じた。

    個人的には遺伝的浮動、量的遺伝学あたりが勉強になった。あと、性淘汰の話はやっぱり面白い。

  • 進化とは「生物の遺伝的形質が集団内に広がること」です。進化を正しく理解することで、世の中の様々な情報の誤りに気付くことができます。例えば、ダーウィンの自然選択理論を根拠に「唯一生き残れるのは変化できるものである」と言うことはできません。なぜなら、人間が持つ遺伝情報は生涯変わらない (変化できない) からです。
     皆さんもこの機会に進化を正しく理解し、科学的に正しいことを見極められるリテラシーを身に付けてみませんか?


    カール・ジンマー/ダグラス・J・エムレン著
    講談社 2017年1月 中央館2F : 図書 408 // B94

  • [評価]
    ★★★★☆ 星4つ

    [感想]
    進化のメカニズムと言うのはとてつもなく複雑なのだと強く感じた。単に遺伝子の継承だけでも多くの要因が存在するのに自然環境による淘汰や性別による淘汰があり、驚くばかりだった。
    難しい計算等も紹介されているが、その部分を読み飛ばしたとしても非常に面白い内容だった。

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著者プロフィール

アメリカを代表するサイエンスライター、『ニューヨーク・タイムズ』紙の科学コラムニスト。
著書はスティーヴン・ジェイ・グールド賞をはじめ、数々の賞を受賞している。新型コロナウイルスの世界的流行について報道する『ニューヨーク・タイムズ』紙のチームに加わり、その記事は2021年のピュリッツァー賞(公益部門)を受賞した。イェール大学分子生物物理学・生化学科の客員教授も務めている。彼の知るかぎり、条虫の種と小惑星の両方にその名がついたただひとりの著作家でもある。
『カラー図解 進化の教科書』(共著、講談社)、『進化 生命のたどる道』(岩波書店)、『ウイルス・プラネット』(飛鳥新社)など著書多数。

「2023年 『「生きている」とはどういうことか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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