大仏再建: 中世民衆の熱狂 (講談社選書メチエ 56)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062580564

作品紹介・あらすじ

治承四年十二月、平氏の南都攻めで大仏は炎上した。飢饉、地震、大火、源平の争乱。末法の予感におののく人びと。祈りの声が巷に満ちたとき、一人の僧、重源が再建の「勧進」に立ちあがった。貴族、武士、庶民のすべては熱狂し、新しい信仰が生まれてくる…。古代の終焉と中世の到来を告げた十五年にわたる大事業の実態が、いま浮かびあがる。

感想・レビュー・書評

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  • 講談社選書メチエ
    五味文彦 「大仏再建」

    平家が焼失させた大仏の再建に取り組んだ重源と、大仏の再建を願った中世の民衆について 論じた本。


    重源の勧進により、民衆から資金が集まり 大仏が再建したのは、戦乱・地震・飢饉に苦しむ中世の民衆が、大仏に救済を求めているから



    平家による大仏焼失→大仏信仰(鎌倉仏教)の高まり→鎌倉幕府の成長 の流れ。平家=悪、源氏=正義という民衆意識は、大仏信仰と関係あると思う


    興味を持ったのは 絵巻「 信貴山縁起 」 本を探してみる




    重源の功績
    *勧進により職人集団を組織し、公共事業を担うシステムをつくる〜栄西に継承
    *大仏再興を通して、庶民に信仰を根付かせた
    *阿弥陀仏号による重源独自の念仏信仰〜法然の念仏信仰へ
    *同行・同朋といった信仰集団をつくる〜鎌倉仏教が宗教組織化した基礎となった
    *東大寺の大仏開眼の供養において設けた舞台が、その後の勧進興行となった
    *大仏勧進を通して果たした王権への統合は、後鳥羽によって担われることになった
    *鎌倉において大仏勧進と並行して、新たな宗教体制が築かれ、鎌倉大仏の造営へ
    *大仏再興とともに中国から新技術を導入








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著者プロフィール

1946年生まれ。東京大学・放送大学名誉教授。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門は日本中世史。著書『院政期社会の研究』(山川出版社)、『吾妻鏡の方法』(吉川弘文館)、『中世のことばと絵』(中公新書)、『絵巻で読む中世』(ちくま学芸文庫)、『書物の中世史』(みすず書房)など。

「2019年 『中世史講義 院政期から戦国時代まで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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