ハイデガ-入門 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062580601

作品紹介・あらすじ

『存在と時間』の独創的な問題設定が、哲学に新たな地平を開いた。ナチズムへの加担、「転回」…。秘教的ともいえる後期思想は、彼の限界を露呈する。今世紀最大の哲学者・ハイデガーを平明に説きあかす。

感想・レビュー・書評

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  • 2017.8.28
    私は竹田青嗣さんの哲学が素晴らしいと思っている人間であり、竹田さんはニーチェ、フッサール、ハイデガー、バタイユ、岸田秀などから影響を受けているが、私にとっては竹田さんを理解する注釈以上の意味を持たない。そういう意味ではこのハイデガー論は、まさに竹田さんを理解する上で欠かせない気がした。あーここからかなり大きく影響を受けているんだなーと。ハイデガーの基本の考え方が抑えられていてわかりやすかった。ただ私はハイデガー自身の著作を読んだわけではないので、その是非は確かめようはない。後後半の、レヴィナスとの話とかは難しかった。ハイデガーが情状性や了解という概念で述べたことと、竹田さんがエロスや感受性、欲望という言葉で述べていることは、つながりがあると思うし、これが人間の世界像を形成する根本であるように思う。しかし私はその、感受性そのものが構成される構造が知りたい。それは例えば竹田さんだと、恋愛だとロマン性ということになるが、そこはよくわからないんだよなー。人間の一切の世界像、認識、というのが、欲望相関的であり、また間主観的であるということを明らかにしたハイデガーの意義を教えてくれる本。

  • 2016.12.9
    少しだけ読んだ。ハイデガーの世界内存在としての現存在の特徴、つまり世界を道具存在として見て、また他者や自己への配慮ある存在としての特徴を、「欲望・関心・身体相関性」という原理へ拡張しているのは、面白いと思った。この前、哲学の授業で、死の先駆性についてやったけど、面白かったけどピンとはきていないので、ちゃんと勉強してみたい。興味ある哲学者である。

  • ハイデガーは『存在と時間』において人間が他者との共存在であるが頽落という状態で存在し、死への不安が存在論的な存在の本質的な契機であることを論ずる。その際の不安という被投的な情状性から了解し企投するという一連の概念を統一的に気遣いと呼び直したが、この気遣いの存在論的な意味が時間制にあるとして、従来の過去・現在・未来という考え方を脱して既在・現在・到来という時間概念を導入した。本書後半にかけてはこのような現象学的方法による『存在と時間』の存在論から、主観的観点を抜け出る後期思想を詳しく解説している。最終章ではハイデガーのナチ加担に関してを、改めてハイデガーの思想を振り返りながら解説するが、その際に後期思想が現象学的方法から離れてしまった背景に『存在と時間』における頽落の概念の歪みを指摘する。頽落の概念には共存在として人間が存在論的存在を了解し合うべきであるとする考えが垣間見え、それは現象学において乗り越えたはずの神学的「物語」の要素を含んでいるためである。対して、了解し合うべきなのではなく、了解し合う可能性があるとするのが現象学的方法に基づくというのが筆者の主張である。本書ではハイデガーの死の不安が存在論的存在における最も重要な本質契機とする主張に対し筆者自身の主張である契機としてのエロスに関する論も展開されていて非常に興味深い。

  • フッサールの現象学をヒントに独自の「欲望論」の立場を構築した著者が、やはりフッサールのもとで哲学を学びながら独自の思想を築いたハイデガーの『存在と時間』について解説している本です。

    著者は、ハイデガーの「存在の歴史」についての構想には立ち入らず、『存在と時間』の既刊部分を実存哲学の書として読み解いています。ただし「実存哲学」といっても、著者自身の「欲望論」の観点から『存在と時間』の議論を理解しようとする試みとなっています。そうした立場から、ハイデガーがおこなっている本来性/非本来性の区別に対して、現象学的な意味の分析にとって外的な評価軸を持ち込んでいるという、レーヴィットらと同様の批判がおこなわれています。

    ハイデガーの思想そのものを解説したものではなく、著者自身の立場からハイデガーの議論を整理し、読者を哲学そのものへと導く本だといえるように思います。

  • 概説書第二弾。現象学にぞっこんな竹田氏の著作であるためか、フッサール・ニーチェ寄りの解説が目立つ。

  • 「存在と時間」と時間に関する部分は読みやすい。
    後期ハイデガーは思想自体がそもそも難しくわかりにくかった。

    入門と書いてある本で、本当に何の前提知識もなく読めるものは少ない。本書もカントやニーチェに関する知識が多少なければ理解できない。

  • 『存在と時間』この組合せはかなり興味深く、前々から気になっていた。最近になってようやく読むことができたのだが、読み終えた後は、何か釈然としない物足りなさを感じてしまった。
    というのも、「配慮的気遣い」「情状性」など、さまざまな用語が出てくるが、どうも現象学的視点の焼き直しのようにしか思えなかったからだ。情状性はかなり重要なポイントのようだが、要するに、身体・欲望・関心相関性と似たようなことをいっている。現象学を踏まえての発想だからそう感じるのは当然なのかもしれないけれど。そして、個人的には<現象学入門>や<構造構成主義とは何か>を読んだ後では仕方のないことなのだろうけれど。
    ハイデガー入門から『存在と時間』の画期性を考えてみると、死をも含めた生の探究と真理はその都度状況に応じて変化しうることを提示した点にあるように感じた。

  • 2010.10.10

    ・存在自体を問う
    ・人間は共存在である。
    ・頽落した状態から、本来性に目覚めよ。
    ・そのためには、「先駆=死を自覚する」と「決意=良心を持とうと決意すること」

    ここまではなんとなく分かったけど、それって具体的にどういうこと?というのが見えてこない。そして、ハイデガーはナチズムに加担している。ここを乗り越えることが必要なんだろうな。

  • 簡単すぎる、というか、哲学専門の方じゃない本なのでわかりやすい。入門にはこれくらいでいいべ。

    入門って書いてあっても、その前の基礎というか、先人の書を理解していないと難しいこともあるしね。

    ハイデガーってめちゃ難しいイメージ。ニーチェとか読んでて字面だけでかっこえーー!って感じだもんね。聖書でいうと、ヨハネの書がかっこえ!みたいな。

    すいません。真面目に読みます・・・

    で、結局おもしろくなかった。
    難解でもこれは!と思うとおもしろ!って思うんですが、ダメだな。どっちつかず、というよりどっちにもついていない・・・あれ同じか

  • 2008

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著者プロフィール

1947年生まれ。哲学者、文芸評論家。著書に『「自分」を生きるための思想入門』(ちくま文庫)、『人間的自由の条件ーヘーゲルとポストモダン思想』(講談社)など。

「2007年 『自由は人間を幸福にするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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