江戸の蔵書家たち (講談社選書メチエ 71)

  • 講談社 (1996年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (254ページ) / ISBN・EAN: 9784062580717

みんなの感想まとめ

江戸時代の蔵書家たちの歴史を辿ることで、現代の図書館の成り立ちや図書分類の変遷を知ることができる魅力的な作品です。意外にも、現代の図書館は戦後や明治に突然現れたものではなく、江戸時代からの流れを受け継...

感想・レビュー・書評

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  • タイトルだけ見ると「図書館と江戸時代の人びと」の続編のようだが、別の本だ。
    著者の岡村敬二さんは本書の執筆当時、大阪府立図書館司書。
    江戸の蔵書家たちは書物をどのように収蔵したのか、その生活のさまや文人たちのネットワークの築き方や成果などについて、丹念に資料を手繰りながら説いていく。
    蔵書家たちの世界の奥深さには、目を見張る思いだった。

    「図書館と~」には「小山田与清(1783~1847)」の名前をあげたが、他にも多くの蔵書家と文人たちが活発に交流していた。
    しかもただの趣味人の集まりではない。
    国学が興隆した時代、単に書物を所有するだけではなく、学問として研究・考証しようという動きも出てくる。
    約5万巻と言われた小山田与清の蔵書群をおさめるための「擁書楼(ようしょろう)」の話から始まり、「分類と目録」「書物の解題」「群書の索引」という視点からまとめたのが本書。

    成果から見てみる。
    1・「小山田与清」は『群書捜索目録』を30年以上かけて編纂している。
    書名に抄録を添えた索引集で、2千巻にのぼったらしいが未完に終わっている。

    2・盲目の天才学者・塙保己一も『群書類従』をあらわしている。
    国学や歴史に関する書物の集大成で、政府に働きかけて「和学講談所」も設立している。
    塙保己一の刊行事業は死後も引き継がれ、書物を集大成して出版、更に公共のものにするという体制は、ここから始まったと言える。

    3・塙保己一の弟子である「屋代弘賢」は、『古今要覧稿』を編纂。
    故事や起源を考証・分類し編集したもの。上記の『群書類従』の編纂にも参加している。

    4・「多田定学堂」は享和元年(1801年)に『合類書籍目録大全』を刊行。
    それまでの書籍の総合累積版で、国学重視の類分けをしている。

    5・「尾崎雅嘉」は享和2年(1802年)に『群書一覧』を編纂している。
    国学を中心とした書物に解題を添えた目録で、明治20年代まで再版され続けたという。

    大量の蔵書を私蔵することなく読書の手がかりをつくり、継承していくことに心血を注いだひとたちがいたということだ。
    書物を互いに融通しあい、知識を高めあった蔵書家たち。
    これがやがて民間の文運の興隆にも繋がっていく。
    「索引」や「目録」は著述の補助としてしか見られなかった時代。
    それに生涯を費やすことを批判する声もあったらしい。
    誇りも苦渋もないまぜになった年月は、決して楽ではなかったろうと思う。
    本書をまとめた著者の仕事にも、一部の学者筋からは揶揄する声もあったという。
    新たな分野に着手すると嫉妬交じりの妨害が入るのは、今も昔も同じということか。。

    消耗品のような扱いの現代の書籍とちがい、一度刊行されたらずっと継承していく財産だった時代だ。書物の中にはあらゆる知恵が内蔵されているという尊い思いが、何度も手を変え人を変え編纂されることになったのだろう。
    ネットで1円で買える本も珍しくない現代。
    次から次へと新しい本を開いては読み捨てる。
    一体、豊かさとは何だろうと考えずにいられない。

    司書である著者は、驚くほど豊富な資料をもとに考察してくれる。
    十進法分類の前はどのような分類方法だったのか、そんな点もたくさん掲載されている。
    文人たちの面白いエピソードもいっぱいで、読んでいてとても楽しい。
    余談だが、尊敬する偉人はという質問に必ず答えていたのが「塙保己一」の名前。(もうひとりは「上杉鷹山」)
    本書を読んでますますその思いを強くした。

    • ししまるさん
      『江戸の読書会』はこちらで紹介されてます。
      http://socio-logic.jp/events/201912_fair.php#se...
      『江戸の読書会』はこちらで紹介されてます。
      http://socio-logic.jp/events/201912_fair.php#sec14
      nejidonさんは在野の賢人ですね。
      2020/08/10
    • ししまるさん
      あともうひとつ。
      こんな愉快な新刊がありました。
      https://www.hanmoto.com/bd/isbn/97843140117...
      あともうひとつ。
      こんな愉快な新刊がありました。
      https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784314011754
      中年、、予習しておこうかな、と思ってます。笑。
      2020/08/10
    • nejidonさん
      夜型さん、こんにちは(^^♪
      うわぁ、こんなところがあるんですね!!
      なんと壮観な眺めでしょう。
      垂涎どころじゃなく、頭がクラクラして...
      夜型さん、こんにちは(^^♪
      うわぁ、こんなところがあるんですね!!
      なんと壮観な眺めでしょう。
      垂涎どころじゃなく、頭がクラクラしてきます。
      保存してゆっくり見させてくださいね。
      『在野の賢人』という言葉は、そっくりそのままお返しします・笑
      もしくは読書猿さんに献上します。

      あ、荻原魚雷さんだ!この人、面白いですよね!
      ちょっとしたコラムでもツボにはまります。
      夜型さんよりもワタクシ向きですよー(*^-^*)
      2020/08/10
  • 司書課程のレポート書くために、図書館で借りて読んだ本。レポートには使えなかったけれど、面白い本だった。

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著者プロフィール

京都ノートルダム女子大学名誉教授

「2021年 『一番丸船長 一庭啓二の生涯』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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