ヒトラー暗殺計画と抵抗運動 (講談社選書メチエ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062581028

作品紹介・あらすじ

「七月二十日事件」、白バラ、赤い楽団、告白教会…。反ヒトラー、反ナチズムの運動はどこまで有効だったのか?抵抗の様々な形を掘りおこし、ドイツ現代史の中に位置づける力作。

感想・レビュー・書評

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  • 1997年刊行。
    著者は富山国際大学助教授。


    對馬達雄著「ヒトラーに抵抗した人々」が市井の人々の小さな連帯の動きを掴まえた書であれば、本書は組織体としてヒトラーに抵抗したグループ(中にはナチス以上に父権主義的で、帝政復帰すら想定しているグループも)の模様を開陳する書である。
    具体的には、政党(社会民主党とドイツ共産党)及びこの海外亡命グループ、軍隊(国防軍)、宗教団体(プロテスタントとカトリックに区分け可能)、外交官等エリート集団、その他若年層グループなどに峻別される。


    勿論、帝政主義者やキリスト教保守派といった、流石に時代錯誤ではないか(著者はナチスに対するカウンターとしては止むを得ないという風に寛容な視線だが)と思う立場のそれも展開されるが、しかし、全体としては低調な抵抗運動であり、何故低調だったのか、国民性・宗教観・経済的メリット・秘密警察の跋扈の有り方などの方が検討されるべき課題のような気がしないではない。


    一方で、戦後、対ナチス抵抗運動は、「軍の裏切者」「共産主義の走狗」といったレッテルと共に、英米仏の占領政策とも絡みながら、日の目を見なかったのは「ヒトラーに抵抗した人々」と同様の叙述である。

    ただここで、その潮目を大きく変えた憲法改正、1968年の「抵抗権」新設は特異と言えそうだ。

    そもそも抵抗権とは、国家=ボン基本法(憲法)秩序を排除しようとする存在に対して、他の手段が不可能な場合、国民(ドイツ人)は抵抗の権利を有するというものであり、一定の場合、個々人による実力行使を容認・正当化したものである。
    ここから抵抗権行使の正当化事情を具体的に検討する機運が生じ、その中で対ナチス抵抗運動の内実を検証する方向性に進んで、抵抗の倫理的・道徳的側面を含め当該研究が進展したとの帰結に辿り着く。

     人権の内実の精緻化。そこに歴史研究が加味して辿り着いた事実は、歴史研究の持つ現代的意味、実際的意味を認識し理解する一助となるはずだろう。


     ところで、対ナチス抵抗運動において、少なからぬ外交官や軍人が、相手国(特に西側)に対し開戦などの情報を提供していた事実がある。
     例えば、ヒトラーの東方侵略計画を挫く為、英ソ同盟を画策する文官。また、戦時下、軍内に広がるクーデター計画・情報をヒトラー政権に密告することは皆無でありながら、司令部(=ヒトラー)の命令に忠実に従っていた二律背反のさま。
     全体像は兎も角、これらから個々具体的に見えてくるドイツ人、ドイツ軍の特徴・気質には驚かざるをえないところだ。

  • 前半部は結構読みにくかったけど、後半のシュタウフェンベルクの暗殺計画は面白かった。

  • 2004年9月2日

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