オスマンVS.ヨーロッパ (講談社選書メチエ)

  • 講談社 (2002年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (232ページ) / ISBN・EAN: 9784062582377

作品紹介・あらすじ

トルコのマーチが聞こえてきた!!
――ヨーロッパが震えた400年

西方に拡大し、世界帝国を目指すオスマン。宗教的寛容性と強力な中央集権体制を持つこの「先進国」の脅威こそが、ヨーロッパに近代化を促した。400年にわたりヨーロッパを震撼させ続けた「スーパーパワー」を描く。

〈本書の内容〉
●「トルコ行進曲」の起源
●ヨーロッパが震えた日々――オスマン帝国の発展
●普遍帝国オスマン――「壮麗者」スレイマン1世とウィーン包囲
●オスマン対ハプスブルク
●近代ヨーロッパの成立とオスマン帝国
●枠組みの転換――オスマン優位時代の終焉

みんなの感想まとめ

多文化・多宗教を抱えるオスマン帝国の歴史を通じて、ヨーロッパとの複雑な関係を描いた本書は、単純な宗教対立の枠を超えた深い洞察を提供します。特に、オスマン帝国がビザンツ滅亡後に「ローマ皇帝」としての自意...

感想・レビュー・書評

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  •  オスマン・トルコ帝国の起源から衰退までの、対「ヨーロッパ」関係に重きをおいた通史。多文化・多宗教を構造化したオスマン帝国をめぐる複雑な外交関係は、単純な「キリスト教対イスラム教」「ヨーロッパ対アジア」というような二元論が空想にすぎないことを示している。特にビザンツ滅亡後のスルタンが「ローマ皇帝」としての自意識を有していたという指摘は重要だと思われる。

  • イスラムも理解しないとね!

  • トルコ民族の歴史を突厥あたりからオスマン帝国の崩壊の手前の19世紀あたりまで概説した本。
     私たちは今まで世界史の視点を日本からの視点とヨーロッパかららの視点の2つの視点で習ってきている。これはオスマン帝国という中東やアナトリア半島を中心に据えてみた歴史である。ビザンティン帝国の崩壊後は世界の中心はオスマン帝国で、イタリアの教皇勢力、ハプスブルク帝国、フランス、スペイン、オランダ、イギリスなどはそのまわりの弱小勢力であったことがよく分かる。産業革命を経て、18世紀あたりからヨーロッパもようやく力をつけていくのだが、そのヨーロッパのありようを決めたのがオスマン帝国であったのだ。つまりオスマン帝国の意向に影響されてヨーロッパは出来上がったと言える。エジプトやイラク、ハンガリー、ブルガリア、アルメニア、シリア、ウクライナ、ジョージア、モルドバあたりもすべてオスマン帝国であり、それは決して単純なイスラムの国家ではなく、多民族、多宗教のまさに帝国であったのだ。そして音楽、料理、服装、文学などさまざまな文化を長年醸成していったのである。
    フランス料理やイタリア料理とおもっているものの多くも実はオスマン料理が起源であるのである。

  • AM2a

  • オスマン帝国がなぜ近世に至るまで強大な国家として存続し、ヨーロッパに圧力をかけ続けることができたのか、また逆になぜ近代以降は急速に力を失っていったのかを説明する。オスマン概説史としては近代以降の内容が薄いが、それはこの本のが主目的とするところではないと思われる。

  • w

  • 地政学的に隣り合うオスマン帝国vsハプスブルグ帝国の争いを焦点としながら、主にオスマン側の歴史を、勃興期から滅亡まで俯瞰していく。2度に渡る大規模なウィーン攻囲に象徴されるように、イスラム教vsキリスト教の対立最前線というイメージが表立つが、そもそもオスマン帝国はその成長過程で様々な民族や宗教を取り込んできた体質だけに、宗教ありきの対立でなかった点は押さえておくべき(要は縄張り争いだった)。良いものは取り入れる式の国作りは、法にイスラム教を用い、高官や親衛隊にはキリスト教徒を徴用し、技術や芸術も躊躇わずに西洋から大金で贖う等々、無用な拘りの無さは、唐やモンゴルといった遊牧民による世界帝国の系譜を踏襲しながら、根拠地が文明の交差路にあった分だけ更に凌駕し、昇華していた感がある。

    あと大事なのは、西洋史観で眺めるオスマン帝国でなく、その逆という視座。オスマン帝国の力が西洋諸国を上回り、彼らに影響を与える時期があった歴史を考えれば当然と言えそう。もしこの中東と中欧のスーパーパワーが近代国家として脱皮出来ていたとしたら、現代の世界(≒世界史)は大きく変わっていた。その衰退要因の分析は本書の主旨ではないが、それも念頭に置きつつ、世界の超大国のあらましを読むのも一興。

  • テンポがよく読みやすい文体が良い。

    ただ内容は多少装飾的に過ぎる。
    論の展開に首をかしげることもしばしば。

  • 憧れのオスマン、古代トルコの歴史書である。
    時代に沿って、トルコ民族の行方を紹介しており、
    なるほど、巷で入門良書と言われる意味を知る。

    しかし、入門書といっても、読み終えたあとの充足感は十分。
    それゆえ、全くの素人なら数度読み直さなくてはいけないが、
    数度読み直しさえすれば、おおよそ歴史をたどることが出来る。
    一時期はヨーロッパ、アジアに広大な帝国を築いたすばらしき権力。

    その帝国の生まれるから死ぬまでをたどり、
    蛮族や略奪者といったイメージを払拭させてくれる一冊である。
    ヨーロッパでありながら、イスラムでもある異端の帝国、
    その苦節と努力、積み上げられた栄光に魅入られる。

  • トルコの歴史がヨーロッパとの関わりを踏まえてわかりやすく解説されている。
    また、トルコの本も読みたいと思いました。

  • 大学の課題本。徹夜で読んだため、意識が朦朧としておりましたが、良書です。オスマン帝国とヨーロッパ双方の歴史が描かれていて、包括的に学べます。この分野の本としては良い入門書になるんでしょうな。

  • 学校の歴史の授業では、大まかに欧州史やアジア史に分けられますが、そのどちらにも顔を出すトルコの歴史は簡単な記述で終わってしまってます。
    アジアでありながら、欧州との関わりの方が多いのでアジア史からはほとんど除外されている。
    そしてキリスト教中心の欧州史では、「イスラムの脅威」として語られることが多いです。
    本書は日本ではマイナーな存在であるトルコの歴史を学ぶうえで、最良の入門書と言えるでしょう。
    6世紀に東アジアに現れ、大帝国を築いた遊牧民・突厥から、ユーラシア大陸を西遷してアナトリアを征服したセルジューク朝、その滅亡後に世界帝国を築き上げたオスマン帝国と欧州との戦い。
    帝国内の諸制度や、歴代スルタンの施政、イスラム教の実態、異教徒への処遇まで描かれています。
    欧州史、とりわけ中・東欧史ではしばしば「トルコの脅威」が強調されますが、ではその「脅威」が欧州にもたらしたものは何だったのか?
    20年程前、「共産主義の脅威」が叫ばれていた東西冷戦時代を思い出させます。
    ただし、「トルコの脅威」は冷戦ではなく熱戦でしたけどねw

    ニン、トン♪

  • 古代トルコ民族から17世紀のオスマン帝国までの歴史を、オスマン帝国、あるいはイスラーム文明とヨーロッパとの対立と交流を軸に描く。様々なエピソードが盛り込まれていて、読み物として非常に面白い。

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著者プロフィール

1953年、東京に生まれる。東京大学大学院東洋史専攻博士課程単位取得退学。大阪市立大学文学部助教授、東海大学文学部助教授、東京外国語大学外国語学部教授などを歴任。東京外国語大学名誉教授。トルコ歴史協会名誉会員。専攻はオスマン帝国史、トルコ近代史。著書にTurkish Nationalism in the Young Turk Era (Leiden: E.J.Brill, 1992; Tansel Demirel訳、Jon Turk Donemi Turk Milliyetciligi. Istanbul: Iletisim, 1994)、『トルコ近現代史――イスラム国家から国民国家へ』(みすず書房、2001)、『オスマン帝国はなぜ崩壊したのか』(青土社、2009)、『憲法誕生――明治日本とオスマン帝国 二つの近代』(河出書房新社、2015)ほか。訳書に、ジェム・ベハール『トルコ音楽にみる伝統と近代』(東海大学出版会、1994)、監訳書 に、M・シュクリュ・ハーニオール『文明史から見たトルコ革命――アタテュルクの知的形成』(みすず書房、2020)ほか。

「2021年 『オスマンvs.ヨーロッパ 〈トルコの脅威〉とは何だったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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