ラカン 哲学空間のエクソダス (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 48
感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062582513

作品紹介・あらすじ

フロイトの開いた人間存在の最奥に位置する問題へと踏み込んでいったラカン。「シニフィアン」をはじめ独特の諸概念を生み出したセミネールの議論をたどり、「他者がある」ことに向けられた問いとの格闘の軌跡をたどる。

感想・レビュー・書評

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  • 精神分析医ジャック・ラカンの思考の軌跡を哲学寄りで概説した本だった。
    後半6分の1くらい、うわあ全然わかんないと呟きつつ活字をたどっていたら、いきなりエピローグが、「風が吹いている。」とか始まって笑った。終わんないでよ。

    相変わらず「4つのディスクール」、つまり「主人のディスクール」、「大学のディスクール」、「ヒステリーのディスクール」、「分析家のディスクール」はいまいち理解できず、性別化の図式とあっては奇妙な論理式が現れ、男性側からの図式はなんとかわかったけど、女性側からの図式は意味不明。

    とはいえ理解が深まった部分もあった。
    ラカンがエディプス・コンプレックスを図式化したグラフ(トポロジーにおいての)は、どうも二段ロケット式になっているとみればいいらしい。
    一段目は、最初の大他者(A)としての「母」(=シニフィアンの宝庫)との間の想像的ループ。
    「跳躍」を経て、上段のループで「父」が関与してくる。

    比較的わかりやすいところではデカルトとパスカルの比較が面白かった。大文字の他者の典型としての「神」の取り扱いについて。

    デカルトは「我思う、ゆえに我あり」と書きそれに知の根拠を求めたが、肝心の真理の真理たるゆえんは神に「転嫁」している。この機制はまた、近代科学の出発点でもある。

    対してパスカルは、人間の有限性のほうにこそ焦点をあて、神の計りがたさこそを恐れる。彼は「確率」や「期待値」を発明した数学者でもあり、「神は存在するかしないかわからない。しかし、神が存在する方に賭けた方が結局は有利である」としてまるでギャンブルみたいに神の存在を論じている。
    とくに興味深かったのは、パスカルの「真空恐怖」。真空は神の不在のしるしとなりうるかもしれず、彼が行った真空実験の動機にパスカルの神経症的傾向を見たラカンの指摘。

    それにしてもまさか、シニフィアンの連鎖を説明する上で、黄金比まで持ち出されるとは。。わかる。わかるけど、心が折れそうになる。

    ひとまずフロイトの精神分析理論に戻りつつ、新宮一成の「ラカンの精神分析」でも再読しようか。

  • 生き延びるためのラカンに比べ難解に感じて読みにくかった。
    内容にそれほど被りがないように思う。
    ラカンと一言で言っても広く、入門でも作者によって、だいぶ紹介内容が違うのかもしれない。

  •  これも「現代思想入門 (千葉雅也著)」(講談社現代新書)からの流れ読み。「疾風怒濤精神分析入門 疾風怒濤精神分析入門ジャック・ラカン的生き方のススメ(片岡一竹著)」を読み、ラカンへの理解を深めるために手に取った。
     ラカンの思想をソシュールをはじめとする言語学に立脚して分析されている。言語学に対しても薄学な者にとってむっちゃくちゃ歯が立たない。「エクソダス(脱出)」というのはそういうことか。もはや数学のような緻密な理論建になっていると感じる。
     もう少し他の方面からアプローチしてみよう。

  • すごくわかりやすい!面白かった。

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著者プロフィール

1967年生まれ。パリ第四大学博士(哲学史)。東京大学大学院総合文化研究科教授。専攻は、精神分析を中心とした20世紀以降のフランス思想。著書に、『ラカン――哲学空間のエクソダス』(講談社選書メチエ、2002年)、訳書に、ジャン・ウリ『精神医学と制度精神療法』(共訳、春秋社、2016年)、ジャック・ラカン『無意識の形成物(上・下)』(共訳、岩波書店、2006年)、ミシェル・フーコー『主体の解釈学』(共訳、筑摩書房、2004年)などがある。

「2019年 『ラカン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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