神の発明 カイエ・ソバージュ〈4〉 (講談社選書メチエ)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062582711

感想・レビュー・書評

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  • 神を発明した、というタイトルがすばらしい。

    人間の能力を超えた出来事やものを体験した場合、それは神様なのだと人間は感じるため、本当の無神論者にはなかなかなれないとのこと。たしかに。

    あの世とこの世、一神教と多神教の対比が面白い。人間を知るには宗教なのだなと感じさせられた。

  • 本書は、文化人類学や宗教学をはじめとして様々な分野・領域の成果を利用しながら、「神」という存在が人類の心のなかにどのようにして成立したのかを論じる。

    「神(God)」とは、本書ではキリスト教など唯一神を奉ずる宗教における神を指す。しかし原初的なアミニズムやグレート・スピリットなど、また多神教における神的存在やスピリット(精霊)といった存在をどう考えればよいか。人類が当初思い描いた数多くのスピリット集団を説明し、そのなかからグレート・スピリットといわれる特に重要な精霊が分化・発生し「来訪神」と呼ばれる存在になる段階を説く。そして、そこから人類の思考がさらに変化して「高神」と呼ばれる、いわゆる唯一神が発生する。このように本書では、精神考古学的な検討で人類の宗教的思考を原初から辿り、最終的には唯一神的神観念が成立する人類の心の様相の変化を、順序立てて論じる。

    日本におけるカミ観念も交えながら、横断的に「超越」の思考を語る本書は、大学での講義録を元にしており、難解な説明に陥りやすい本書内容を理解しやすくしている。

  • カイエ・ソバージュ第四弾。
    「神の発明」では今までに比べてスピリチュアルな話が多かった。
    以下気になったところをつらつらと。

    第一章より
    ・「ヤヘ集会」という一般の人に開かれた集会ではシャーマンが調合して液体ジュースを飲んで、幻覚体験を行って、宇宙の力と生命の源泉である「銀河」へ出かける体験をしていた。

    ・幼い子供が立派な抽象画家であるのは「内部閃光」に基づいているため。昔の土器などの模様も内部視覚によるもの。つまり芸術は外の世界を見て書き始めたのではなく、自分の内側を見て書かれたのではないか。

    第三章より
    ・アボリジニの間で知られている虹の蛇。これは創造を司るスピリット。それは雨期に雨を降らせ、大地を潤わせ、繁殖を促すため。一方虹の蛇は偉大な律法者でもあった。

    第四章より
    ・現実とドリームタイムが同じ空間で生起しているのはメビウスの帯で表わせる。
    ・蛙は死の領域に近いところに生息している両義的な水中動物だとされている。月の表面にくっつき「月の隈」となっているのも蛙だといわれているし、水を吐いて大切な火を消すのも蛙。
    ・二つのゴッドは高神型と来訪神型にわけられる。

    第五章より
    ・「訪れ神」は面をつけたり奇怪ないでたちで音楽性まで豊か。奄美の島の「ポシェ」という仮面の神はマラ棒という棒で女性たちを追い掛け回す。
    ・高神のイメージは無象性。来訪神は対極のイメージ。
    ・来訪神に与えられた特質のすべてが死と生命をひとつに繋ぎ、身体の内部と外部をひとつに繋ごうとする。たとえば母乳、涙、血、精液、唾液、排泄物など。人と外の境界に生えているのは植物だからそれを身にまとうことで中間的対象の性質をおびる。またグロテスクの美に近親性をもつ。

    第六章より
    ・人間は自分の直感がとらえている世界の全体性を表現しようとして次々言葉を繰り出すが、常に自分の語りたいことを語り損ねる宿命を持っている。必ず空虚な中心が出現する。しゃべっていることはすべて比喩にすぎなく、言葉とモノを一致させることはできない。人間は真ん中に空虚な穴が開いたトーラスである。

    第八章より
    ・空虚な穴を満たすことが出来るのは一神教の神だけである。神の知性だけが完全。私たちの非知をも包み込んでいる。

    終章より
    ・一神教の想像力のもとでは(聖書のゴーレムや錬金術師によるホムンクルス創造は神の行為の真似のため)ロボットも人造人間も生命と非生命の対立をかかえたことで苦しみ続ける。


    まとめとなる第五巻への序章である気がする。
    その想像と幻想的な話の誕生の由縁の話のために別世界に迷い込みながら案内人で話を聴いている気分。
    神”の”発明というタイトルも的を得ている。
    神が私たちを創り、私たちが神を創ったのだ。

  • 「国家」「神orグレートスピリット」など、超越性をもったものがいかにして生まれたのか? 野生の覚書(カイエ・ソバージュ)は4冊目にして雲を突き抜けはじめる!

  • 2010/08/03

  • [ 内容 ]
    内部視覚、瞑想、夢の時間…。
    「宗教的思考」の根源はどこにあるのか?精霊が超越を生む。
    高神から唯一神へ。
    “精神の考古学” が、神々の基本構造をあざやかに解き明かす。

    [ 目次 ]
    スピリットが明かす神の秘密
    脳の森の朝
    はじめての「超越」
    神にならなかったグレートスピリット
    自然史としての神の出現
    神々の基本構造(メビウス縫合型;トーラス型)
    高神から唯一神へ
    心の巨大爬虫類
    未来のスピリット

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2009/06/16 読了

  • ヤバイ!!すごいことになってます。震えます!読んでください!!!!

  • 結構、売れているカイエ・ソバージュシリーズです。第4巻

  • 2005年ごろ 購入

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著者プロフィール

一九五〇年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。明治大学野生の科学研究所所長。思想家。著書に、『チベットのモーツァルト』『雪片曲線論』『森のバロック』『カイエ・ソバージュ』シリーズ『アースダイバー』シリーズ『野生の科学』ほか多数

「2019年 『レンマ学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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