マキアヴェリ、イタリアを憂う (講談社選書メチエ 277)

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  • / ISBN・EAN: 9784062582773

感想・レビュー・書評

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  • マキアヴェリの生涯と思想を、イタリア・ルネサンスの時代のなかに置くことで、その真の理解に近づこうと試みている本です。

    著者はルネサンスを「過渡期」と特徴づけており、そのうえで人文主義的教養と中世以降の政治的現実の両方にまなざしを向け、そのなかでイタリアの政治的現実における「再生」への理想をかいま見ようとした思想家として、マキアヴェリをとらえています。

    こうした本書の基本的な枠組みはたいへん興味深く思われましたが、本論の内容はマキアヴェリの評伝に近いスタイルをとっており、どこまでも当時の政治的状況のなかでマキアヴェリという人物の真のすがたを明らかにするというアプローチを踏みはずすことなく議論が進められていきます。そのため、マキアヴェリの「政治思想」について知りたいという読者にとっては、あるいは肩透かしにあったような印象を受けることになるかもしれません。

  • 権謀術数の大家のイメージからは遠い、理想主義者、そして詩人・劇作家の姿が新鮮です。「君主論」だけではなく、民主政について書いた「ディスコルシ」にも詳しく、このようにいろいろな方面に長けた天才だった人が、狭い政治家としての枠で見られていることに惜しい気さえします。そして、フィレンツェの歴史を学ぶだけではなく、そのような過去の歴史から私たちが何を学ぶべきかをマキャヴェッリ自身の人生・著書などを通して教えてくれる好著だと思います。塩野七生の本と比べ簡潔で分かり易く、その割りにはマキャヴェッリの著書の内容について詳しく、君主論が政治論(処世術のような)ではなく、統治論なのだということも良く理解できたように思います。

  • 自分のマキアヴェッリ観が塩野七生氏の筆になるマキアヴェッリにかなり影響されているので彼を違う視点から見ることができた。

    ただ、自分が浅学なために引用される人物が殆ど分からなかったのが読んでいて残念でした。なので読了はしたものの理解度はかなり低い…と情けないけれど自分で痛感。

    第5章で紹介されている彼の作品の幾つか、『戦争の技術』や『マンドラーゴラ』を読んでみたくなった。

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