対称性人類学 カイエ・ソバージュ 5 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062582919

作品紹介・あらすじ

神話、国家、経済、宗教、そして対称性人類学へ。「圧倒的な非対称」が支配する世界の根源を問う冒険、ここに堂々完結。抑圧された無意識の「自然」は甦るのか?「対称性の論理」が切り開く新たな世界とは?野生の思考としての仏教を媒介に、来るべき形而上学革命への展望を示す。

感想・レビュー・書評

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  • なんかすごい本。中沢新一の本は、テキトーなものもたくさんありますが、すごい本もたくさんあります。
    人間はいったいどこで繋がっているのでしょう。また、人間と生き物の繋がりは?ぐるぐる繋がる連鎖のお話。

  • 序章 対称性の方へ
    第1章 夢と神話と分裂症
    第2章 はじめに無意識ありき
    第3章 “一”の魔力
    第4章 隠された知恵の系譜
    第5章 完成された無意識―仏教(1)
    第6章 原初的抑圧の彼方へ―仏教(2)
    第7章 ホモサピエンスの幸福
    第8章 よみがえる普遍経済学
    終章 形而上学革命への道案内

    著者:中沢新一(1950-、山梨市、人類学)

  • 中沢新一 「 カイエソバージュ 5 」

    新しい形而上学の世界を見出そうとした本。新しい形而上学の世界=自然化した形而上学=既存の形而上学+対称性無意識。形而上学=世界の原理を思惟や直観で探究

    「神話は無意識のおこなう思考である」神話的思考から対称性の論理を抽出
    *無意識の行う作動→心の中で不変の作動
    *無意識の行う対称性=高次元性=無限性
    対称性無意識=心=自然→一神教+自然→神即自然となる

    神話的思考の本質=対称性=同質=つながり
    *神話=心の構造から生み出された
    *生と死を一緒に包みこむ対称性
    *三次元より高い次元の空間が必要
    *全体と部分が一致する構造
    *対称性が無意識の活動に結びつく

    無意識
    *いっさいの心的現象の基体=心の本質
    *対称性無意識=クラインの壷と同じ構造
    *無意識=流動的知性 → 対称性

    対称性
    *交換→贈与 *言語→詩 *人間=宇宙の一部
    *部分は全体と常に一致=全体のバランスを壊す個人的利益は否定

    資本主義=対称性と非対称性のバイロジックな協同作業
    交換=分離→ 贈与=結びつけ
    *贈与されるモノを媒介に 人と人をつなげる流動性
    *交換の原理が それに代わるモノや人を分離=非対称

    一神教=一の原理が支配している世界
    *バイロジックに終止符→人間と非対称として神を持つ
    *人間と神が分離
    *一の原理が精霊の世界を制圧→一神教が発生
    *一の原理のない世界は 純粋贈与を行う宇宙的な力

  • カイエ・ソバージュの最終巻。

    結構、評判らしい本シリーズであるが、この最終巻まで、たどり着けた読者は、何%くらいだろうか。

    第4巻までで、論じられてきた神話、国家、経済、宗教の起源をこの5巻では、統合し、理論化し、その今後の展開を展望していく。

    のだが。。。。

    書いてあること自体、それほど違和感があるわけでないし、大筋において賛成というか、自分もおおむね同様のことを考えていた。

    が、なんだか読後感はよくない。

    なんでだろう。

    言葉の使い方とか、定義の仕方とか、議論の進め方のファジーさ、とそれを覆い隠すようなレトリックかな。

    例えば、キーコンセプトとなる「対称性」という言葉の定義が、今ひとつはっきりしないまま、進んでいく。しっかり定義してあるというかもしれないが、いわゆる物理学とかでの定義とは違うので、読んでいて混乱してしまう。

    また、現人類となったときの脳の構造変化が、しばしば言及されるにもかかわらず、その辺の生物学的、進化論的な説明はほとんどない。(意識と無意識の進化の説明についても、違うのではないかと思う)

    で、中沢氏は、レヴィ=ストロースの構造人類学をベースとした「対象性人類学」を宣言するわけなんだけど、それって、新たに名前をつけるほど、新しいのか?と思ってしまう。

    レヴィ=ストロースに、経済人類学の議論やポスト構造主義の議論を足したものという以上のものがあるのだろうか。

    一神教と資本主義と国家の構造が同様であるみたいな議論とか、20年くらい前に、ニューアカがはやっていたときには常識に属することだったのではないかな?

    ニューアカとか知らない若者向けの温故知新か?

    それをさも新しいものかのように提示するあざとさとか、主語がいつのまにか「私」から「私たち」になってしまう不気味さとか、つまらないことが気になった。

    このシリーズも4冊までにして、4冊目に全体のまとめを最後につければ、良かったんじゃないかな。。。

    まあ、そこまで悪い本ではないけど。4冊めまでが結構面白かったので、残念。

  • 最高

  • Ⅰ人類最古の哲学 Ⅱ熊から王へ Ⅲ愛と経済のロゴス Ⅳ神の発明 Ⅴ対称性人類学
    本書は著者が数年にわたって大学で行った講義がもとになっている。「比較宗教論」という授業で5冊のシリーズものである。この5冊を読むのに1年以上かけてしまった。本シリーズから神話に興味をおぼえた。シンデレラの物語の奥深さを知った。神話の中で他の動物が人と同じような扱いを受けていることを知った。国家が誕生する過程を見た。志賀直哉著「小僧の神様」を題材に、純粋贈与という考え方に触れた。(本当に純粋な贈与というのはありうるのだろうか。相手が喜ぶところを見たい、そんな思いだけでもだめなのだろうか?)神がつくり出される過程、そして宗教へと至る道を見た。そして、著者が唱える対称性人類学という考え方に触れた。それが私の体の中でふに落ちるものにはまだなっていない。それでも、この中に取り上げられた内容が大切であるということは直感的に分かる。本シリーズを読んでいる1年の間に、「河童のクー」という映画を観た。憲法について自分なりに学んだ。環境問題は改善される様子がない。9.11テロ以降、決して格差社会が緩和されるわけでもない。問題は山積している。新たな科学技術に頼るばかりでなく、何らかの新しい発想が必要なのだと思う。その一つがきっとこの対称性という考え方なのだろう。

  • 5冊のシリーズの中で、話口調が少なく一番読みやすかった。
    昔、中学校の頃に自分の中に仏教が流行っていたことを思い出した。ちょっと、内容にノスタルジー。
    自分は分裂症気質なため、意図的に非対称的な考え方をするように心がけて、秩序を保っているとことがあると思う。

    音楽でいえば、
    ロック=非対称的 ヒップホップ=対照的かな。

    それにしても、人間は無意識においても2項対立からは逃れられないのか。

  • 河合隼雄さん、あるいは茂木健一郎さん、からのつながりで、本書を知ることになり、読んでみた。
    中沢新一さんに対しては、正直言ってあまりいい印象をもっていなかった。
    なんだか、節操なくいろんなことをしている人、という気がして。といっても、それってずいぶん昔、90年代か?、のことだけど。

    対称性とか非対称性って、時々耳にするけど、ものごとって、抽象化していくと、対象が少なくなっていって、ひとつまで抽象化するといろんなものを無視しなくてはいけないけど、2つなら、対立関係とか、類似性とか、相互依存関係とか、表現できるので、そのへんにしておくと、いろんな考え方ができるという意味で。

    本の中では、さまざまな例示をもとに、対称性について述べています。

    抽象化作業の使命は、いったん抽象化したものは、今度は、それを目の前の個別具体的な事象に当てはめて、何かしら物事を変化させることにあるんじゃないか、と僕は思うのだけど、本の最後で中沢新一さんも、「対称性人類学を想像する仕事は、まだ端緒についたばかりです」とおっしゃっています。

    期待したいところです。

  • これでシリーズも終わり。カイエ・ソバージュ以外読んだ来ないのだけれど、他の著書も読んでみようかな。

  • カイエ・ソバージュシリーズの第一巻を買ってから8年も経ってしまったが、ようやくいま、全五巻を読み終えた。8年の間、理解できなくなっては投げ出し、暫くして最初からまた読み直すという繰り返しであったが、不思議と途中で諦めようと思ったことは一度もなかった。
    これは私だけの感覚なのだろうか。長い時間、理屈を考え続けていると、だんだん頭が熱くなってくることがないだろうか。私にはそのとき同時に、脳の表面は活発に動いて熱くなっているけれども、脳の奥の方は、実はちっとも動いていないのではないかという実感が残っている。
    中沢新一が「流動的知性」だとか「対称性思考」などと定義し、言葉を尽くして説明しようとしているのは、この頭の内側に広がる脳の未開発の部分を動かすには、通常の思考パターンとはまったく別の回路を開く必要があるということだろう。
    三次元の世界に住む私たちに、四次元の存在を直感的に把握することができないのと同様に、日頃、脳の表面しか使っていない私たちには、この新たな思考回路をすんなりと理解することは難しい。
    中沢新一は『虹の理論』以来ずっと、私たちにこの新たな思考の姿を伝えようと努力してきた。その表現は時に難解なものとなり、論理展開についていけない自分の頭の堅さに辟易することも多々あるけれども、それでもなお諦めずに頭をフル回転させていると、ふと、これまで経験したことのないような頭の動かし方を一瞬だけ実感することがある。そのとき私は、ようやく脳の奥に一筋の光が届くのを感じるのだ。

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著者プロフィール

一九五〇年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。明治大学野生の科学研究所所長。思想家。著書に、『チベットのモーツァルト』『雪片曲線論』『森のバロック』『カイエ・ソバージュ』シリーズ『アースダイバー』シリーズ『野生の科学』ほか多数

「2019年 『レンマ学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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