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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784062583480
感想・レビュー・書評
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#講談社選書メチエ #レヴィストロース 「 #パロールドネ 」 訳 #中沢新一
30年にわたるコレージュドフランス(国立の教育機関)における構造人類学の講義録
難解で読むのに時間かかる。もう少し用語解説がほしい。親族と出自から、縁組みと「家」に至る人間社会の体系を考察した論考が面白い
「家」の結合と敵対の原理は、人間社会の存続のための体系と解釈した
*「家」の世襲者が、財と地位を支配する
*「家」を永続的に継承させるために、縁組みと養子縁組など 虚構的な親族関係を用いる
*「家」は、婚姻〜血(親族内の結婚)と土地(近隣同士の結婚)の選択機会〜によってそれ自身を構築する
「家という概念」
親子関係と出自規則だけで未開社会を説明するのは無理である〜「家」こそが 現実的な権利と義務の担い手だったのである
「家」を世襲した占有者は、男系であれ女系であれ、より遠縁の親類や姻族にもつながりを持って、物質的もしくは非物質的な財(名誉、地位)を支配する
「家」とは、正統なものと認められる現実の出自の系、もしくは虚構の出自の系のなかでその名と財と称号を継承することによって恒久化される何ものかである
「家」を永続的に継承させるために、縁組みと養子縁組の両方のかたちで虚構的な親族関係を拡張的に利用する
「家」制度を有するすべての社会では、対立しあう二つの原理の間で緊張や紛争が発生する〜つまり、相互に排他的な原理が並び立っている〜出自と居住、外婚と内婚
「インドネシア」
社会秩序の基礎を見つけるには〜親族と出自の関係から財産関係へ、世襲の地位もしくは領土の永続的継承に関する規則がないため、偶発的な性格を持つ居住関係へ、順次視点を移すことを余儀なくされる
出自、財産、居住という一連の基準が消失し、縁組み=同盟という基準が登場した〜新婚夫婦は血族の中核をなす
縁組みの役割
*統合の原理〜「家」という社会構造類型の土台
*敵対関係の原理〜出自と縁組みとの対立の実体化
「家」という役割が、たとえ架空の形式であっても、縁組み関係の不安定さを抑える役割を持つ
「メラネシアとポリネシア」
婚姻上の縁組みは、ある集団に妻として譲渡された女が、姉妹という称号のもとで他方の集団へ自分の義務を保つかぎり、集団同士を結びつける
日本のイエ(家)において、夫=妻の組は兄弟=姉妹の組より優位にある。他所から来て家を存続させる養子は、他所に嫁いだ姉妹より重視され、別の家を起こした兄弟よりも重視される
「家」は未来に向けては婚姻〜血(親族内の結婚)と土地(近隣同士の結婚)の選択機会〜によってそれ自身を構築する
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構造主義の発展を支えた人類学者の講義録である。
ここにある内容は正直に言って僕には専門的すぎて
もう少し周辺テキストを読まなければ理解をしきるのは難しかった。
しかし、それは言葉を弄するといった類のものではない。
どれも具体的な物事に結びついたうえで思考は展開されている。
一番最初に「支えた」と書いたけれども、
文字通り、その発展の信頼性を担保するに足るような横断的分析がなされている。
南北アメリカ、オーストラリア、東南アジア、アフリカ、日本についての言及もあった。
(ここにヨーロッパ、そして中東が入らないのはこの時代の限界だが)
まったく恐るべき巨人であり、その肩につかまらせていただきたいものである。
学術的な誠実さと多様な実例のきらめきもさることながら
パーソンズにハーバードへ誘われた時のエピソードは
お互いの人間味を感じさせてくれていいものだと思う。
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夢はメッセージとしてあらわれることになるが、発話行為とは逆に、受け手から送り手に向かって送られる(そのため他者の関与が不可避である)。いっぽう神話は、けっして送られることなく受け取られる(そのため超自然的な起源が神話には与えられている)。どの神話も以前の自分の先行者にあたる別の神話を参照しながらつくられているからである。(p.35)
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失われた発話者は漂う文字と相似形であり、
インターネットミームにもそろそろ神格が与えられないかと思っている。
>>
鷲の羽飾りなしでは、いかなる戦闘行為も正当なものと見なされないし、それなしで遠征を指揮したリーダーは、仲間の死に対して責任を負わなくてはならない。そのとき彼は、不幸な戦士としてではなく、人殺しとして扱われることになる。(p.342)
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アメリカ大陸の部族についての記述だが、
この強力な表象を軸にさまざまなバリエーションが記述されていくことで
何が「戦い」と同じく重要な意味づけを与えられているかが見えて行く。 -
いつ読んでもほっとするレヴィストロース。今読むと科学思想の影響を感じ取れる。相互干渉のゾーン、コミュニケーション成立のための閾域という話が気になった。
彼らにとって耐えがたい不平等と映るものを我々にとっての望ましい多様性として設定する。 -
難しすぎて良さが理解できなかった
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訳者が中沢新一という事で、大丈夫かなと思っていたが、予想に反してなかなか読みやすい文
もちろん講義録というその性格によるフランス語の平易さ、というのは訳者あとがきでも語られていますが
講義の時期は多岐に渡る為、全体を通して一つのテーマを語るわけでもない
あくまでも著者の人となりを知る為のファン向けの性格が濃いでしょうか -
レヴィ=ストロースの、コレージュ・ド・フランスでの講義の記録なのだが、実はふつうの講義録ではなく、1年間の講義内容をレヴィ=ストロース自身が要約・説明した数ページ分の「報告書」をまとめたものだった。
従って、年間の講義のように綿々とつづく文章ではなく、ひどくダイジェスト化したものだ。初心者向けのレヴィ=ストロース入門とはとても言えない。
中身は専門的・学術的なものだが、あくまで要約だけであるので、突っ込んだ知の探究というふうにはならなかった。
ちょっと期待はずれだった。 -
群像2009年8月号書評より
中沢新一の作品





