未完のレーニン 〈力〉の思想を読む (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062583879

作品紹介・あらすじ

資本主義の「外部」とは?革命観のコペルニクス的転回とは?『国家と革命』、『何をなすべきか?』という二つのテクストから立ち現れる、「リアルなもの」の探求者の思考の軌跡。資本主義の純粋化が進む現在、レーニンという思想史上の事件を捉え直す。

感想・レビュー・書評

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  •  「永続敗戦論」の白井聡がレーニンを研究した修論を書籍化。

     レーニンやソ連は歴史上の失敗であり、今語る必要はないものと思っていた。しかし、この本はレーニンの思想を通して革命とは何か、革命を成す力とは何かに迫っていて、現代社会を考える上でとても役立つもののように思えた。
     論文がベースになっていて本としての難易度は高くよく分からない部分も多かったが、書かれている内容は非常に重要なことは感じられた。

     フロイトのモーゼエジプト人説についてふれ、外からの人が入って来ることによって変革が起きることを書いている点はメモ。

  • これって論文を手直ししたものだったんですね。
    非常に読みにくいなぁ、と思ったので「内容は5、でも読みにくいから3」としようと思ったのですが、著者の修士論文という貴重な文献を元にした本だったので、僭越ながらも5を付けました。
    レーニンはすごい哲学者なのだと思いました。

    ただ、第二部はフロイトとの比較がなされていましたが、少し分かりにくかったです。
    フロイトだけを別の本で、もう少し詳しく研究したいと思いました。キリスト教のなんちゃって一神教はあのような解釈ができるのですね。関係者として納得してしまいましたw
    そりゃあ一人の人間であるとされるイエス・キリストが、父である神と同一視されれば・・・ねぇ^^;

    「労働者が資本主義段階で自発的になしうる労働闘争は、資本家の搾取を和らげる働きしかもたない」んだそうです。やはりそうだなと。だから革命的な思想を外部から注入しなければならない。これを外部注入論というそうです。

    あと、「資本主義段階では労働者は団結しえない。」なぜならば、資本主義は企業間の闘争が日常茶飯事で、それに従属する労働者は振り回されるわけです。よく考えればそのとおりなんですよね。だから労働者は何かひとつのイデオロギーが必要です。それが共産主義思想なんですがね。それは未来にやってくる。すなわち革命というのは未来を見据えなければならないんでしょうね。

    「労働者階級は、出来合いの国家をそのままわが手に握って、自分自身の目的のために使うことはできない。」
    まさしくそのとおりだなと。マルクス・レーニン主義では、国家は「階級国家論」という思想体系なので、資本主義段階のブルジョワ国家は「ブルジョワとそれに伍した国家と、それに対抗するプロレタリアート」での構図で成り立っています。だからプロレタリアートが何かの拍子でその国家をそのまま流用したとしても、ブルジョワ的性格は拭い去りきることはできない、といった具合なんでしょうね。(そうするとアジェンデ政権はプロレタリアート国家であるといえなくなるのですが。)まあレーニンは「共産主義社会は暴力でのみ実現する」といっているので、平和的な政権奪取はありえないのしょう。(ちなみにCIAはレーニンの考え方をそのまま鵜呑みにしていたんです。)

    もっと詳しく書いてあるので、是非是非読んでみてください。ただ論文なので冗長な表現が少し多いです。推敲の余地があると思いました^^;
    しっかし、レーニンの研究をしている人って少ないのですね。もっと評価されるべき人だと思います。同志トロツキーとともに。

  • この本は修士論文から持ってきているそうだ。
    客観的と言って、主観的な事を持ち出す人の著作を読んでもしょうがないとい結論が至ったため途中で読むのをやめました。
    時間の無駄です。

    こんなので、修士がとれる一橋大学というか日本の文系の大学大丈夫か?
    主義主張の問題ではないし、レーニンのやったことに悪もあれば善もあるだろうから、それを研究すること自体問題ではない。
    客観的・論理的でない論文を出して、修士・博士がとれてしまうことが問題だ。
    https://seisenudoku.seesaa.net/article/477435774.html

  • 正直難解なところもあるし、レーニンについての研究を全然知らないのでこれが研究史的な意味でどれほどのオリジナリティや意義があるのかはわからないけれど。個人的には興味深く読めた。

    (1)レーニンが「いまここにないもの」に期待せず、つねに「いまここにあるもの」から革命を志向していたこと、(2)ブルジョワジーとプロレタリアートが階級対立する近代国家は政治と経済とを分けるシステムであり、プロレタリアートが何か暴動とか起こして騒ぐとそれを鎮圧しにくるのはブルジョワジーではなく、警察機構(国家)であること(そのシステムのもつ矛盾からレーニンは革命の必然性を見い出そうとした)、なんかは「なるほどそうなんだ」という意味で勉強になった。

  • 残念ながら途中で集中力が切れて読めず。。
    これから今一度社会主義の時代が来るであろうから、じっくり読破したいなぁ。

  • 2008/05/18 購入
    2008/05/25 読了 ★★★★
    2010/11/02 読了

  • 途中から難しかったけど,なんとか読了。

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著者プロフィール

1977年、東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。一橋大学大学院社会学研究科総合社会科学専攻博士後期課程単位修得退学。博士(社会学)。思想史家、政治学者、京都精華大学教員。著書に『永続敗戦論─戦後日本の核心』(太田出版/講談社+α文庫)、『武器としての「資本論」』(東洋経済新報社)など。

「2022年 『撤退論 歴史のパラダイム転換にむけて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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