善悪は実在するか アフォーダンスの倫理学 (講談社選書メチエ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (212ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062583992

作品紹介・あらすじ

環境の中の存在という視点をもって、近代以降の哲学、心理学で主流をなしてきた認識論と存在論に再考を促すほどの大きなインパクトを与えたアフォーダンス理論。その革新性は、価値や意味を主観の中の観念のようなものから、環境に実在するものとして捉えなおすという、大きな転回を倫理学に引き起こすものでもあった。「善悪は主観的なもの」という現代の常識を乗り越え、道徳の根源を見つめなおす試みが、いまここに始まる!人間の個別性を尊重する、あらたな倫理学への挑戦。

感想・レビュー・書評

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  • ギブソンのアフォーダンス理論と道徳、自然主義など。
    価値、意味、実存などを「自然」に捉えると道徳はどこに存在するのか?というあたりが読み応えがあっておもしろい。

  • ムーア的な反自然主義=自然と社会の対立・存在と当為の対立、カンギレムやクリプキを引いての反自然主義批判 規範は自然にも内在している
    規範の指令性・普遍性について 指令性を人間の自然である互酬性に見出す。互酬性とは自然だが、複数者の関係という点ではすでに社会であり、その点で自然に規範が含まれている
    普遍性を担うものは「法化」。だが、あくまで道徳とは個別具体的な関係に根ざしているべきで、法化の弊害は直していかなければいけない

  • 「アフォーダンス」とはこれまでの西欧理論の中でまったく異なった視点で「すべて」を理論化する。この本は、その視点で「倫理学」に迫ったものである。人間が何事かすべてを「理解」するのに、人間の意志というより直接の人間環境がその人の行為を決定するというのが「アフォーダンス」の根本的な考えである。こういう、いわば邪な発送は、極東の島国、東西の吹き溜まりである、日本という国においては充分受け入れられる要素(理論)であるとわたしは思うのである。いってみれば、日本の非合理性に結びつくのではないかと私は、まじめに考えたことがある。しかし、わたしのアフォーダンス理論の研究は中断したままである。

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著者プロフィール

立教大学文学部教授。NPO法人 アーダコーダ副理事。
専門は、心の哲学・現象学・倫理学・応用倫理学。社会が内包する問題に哲学的見地から切り込む。
著書に『メルロ=ポンティの意味論』(2000年)、『道徳を問いなおす』(2011年)、『境界の現象学』(2014年)こども哲学についての著者に、『「こども哲学」で対話力と思考力を育てる』河出書房新社、『じぶんで考えじぶんで話せるこどもを育てる哲学レッスン』 河出書房新社、『問う方法・考える方法 「探究型の学習」のために』ちくまプリマー新書、『対話ではじめるこどもの哲学 道徳ってなに?』全4巻 童心社、共著『子どもの哲学 考えることをはじめた君へ』 毎日新聞出版など多数。

「2023年 『こどもたちが考え、話し合うための絵本ガイドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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