「女装と男装」の文化史 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (290ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062584500

作品紹介・あらすじ

ヤマトタケルノミコト(『古事記』)、オスカル(『ベルサイユのばら』)、娘(『道成寺』)、ポーシャ(『ヴェニスの商人』)…。古今東西を問わず、演劇や文学、映画、アニメ、漫画に数限りなく登場してきた「女装する男」と「男装する女」。彼/彼女たちは、なぜ性の境界を超えようとしたのか?"変態""異常""倒錯"という言葉で片付けてしまうだけでは気がつかない、性と愛の現実がそこにある。「男と女」という単純な二項対立がsexとgenderの視点をからめると無限の性別へと変化していくさまをつぶさに論じ、人間の生の多様性に軽やかに迫る。

感想・レビュー・書評

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  • 2009年の本だけれど、トランスジェンダーのことも包括してあり、当時使われていた性同一性障害という言葉についても使うのはよろしくないという否定的な姿勢であることが伺えて安心できた
    女装と男装。装う目的や装うことによって達成されることで浮かび上がるジェンダロールについての研究がなされており、2024年の今でも根強い規範にぐうと唸りたくなる
    本書の目的については著者が”アニメや漫画や映画から楽しくジェンダーのことを考えることができる、考えるための手引書としての役割も込めている”、”ジェンダーの問題は性別関係なく、生きている限り考え続けなければいけない問題”と言い切っていることも頼もしかった
    著者である佐伯順子さんの他の本も読んでみたい

  • 心と体。外観と内装。人は兎角自分の目で見たものを正しいと思いがちであるが、自分の目が現実をとらえられないことも世の中には多数存在する。この女装、男装もその一つではなかろうか。男が女の格好をすることを、ただ単にクィアで済ませられるわけでもなく、こと女形に限って言えば、女性よりも美しい振る舞い出で立ちをすることをその本質に掲げている。また女性に限っても、男装をすることが性同一性障害からくるものや心の問題に起因するというわけでは必ずしもない。女性男性をその見た目の差異から見るSEXで区切ることはそう難しいものではないかもしれないが、ジェンダーでその境界線を見定めることはハッキリ言って難儀である。男か女かという二元論で片付けるのではなく、その人がどういう人でどんな考えをしているのかという本質を突き詰めていくことの方がずっとか大切なことに思う。たとえその人がどんな人であれ、理解したいと思う気持ちが、相手を知る上では真に重要なことだといえそうである。

  • 映画や文学作品における「異性装」の役割と性別に付随しているイメージを紐付けて説明してあり、とても読みやすかった。
    最近はポリコレが世界に大きく広まっていることもあり、「体の性」と異なる服装をすることは「対してたことではない」或いは「少数派の人間に配慮している」というさもあって当たり前かのような捉えられ方をされている。しかし、何かを主張する場である作品内において登場人物は全てにおいて意味を持ち、それは身につけているものとて例外ではない。そういった部分を取り上げているこの本は今後生まれてくる作品においても重要であり読ませていくべき本だと思う。
    地域の風習や宗教観念といった視点からも異性装の意味合いや持つ力などを知ってみたいなとも思った。

  • 大阪樟蔭女子大学図書館OPACへのリンク
    https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/428530

  • 古今東西幅広い作品を横断している分、焦点が拡散的で集中力が続かない。
    ベルバラは読もうと思った。

  • 芸能や漫画や物語に出てくる異性装を研究した本。
    女装は儚さ、弱さ、色気を演出するもの。
    男装は力強さ、社会的地位、自己防衛の手段を得るためのもの。
    読み終わったあと、人間がいかに性別に(良くも悪くも)とらわれてるのかと気づいて、ジェンダーへの興味が増しました。

  • 「「女装と男装」の文化史」佐伯順子
    比較文化学?特になし。
    講談社選書メチエ。

    古今東西の文学作品(神話・史書から少女漫画まで)を取り上げ、「女装と男装」のもつ特性をピックアップし、その指向の違いを明らかにする。

    通読。(3)

  • 異性装に興味があって手を出してみたけど、うーんなんかイマイチだった気もする。基本的に面白かったし興味深かったけど、作者の考えがあまり好きじゃなかった。
    この手の書籍をもう少し読んでみようと思う。

  • 「外国の文化と思想」のレポート作成の為に購入。はるな愛さんのブームといった最近日本で起きている現象も踏まえた「異性装」をテーマにレポートを作成した。

  • 男が女を装うとき、女が男を装うとき。単に「女装」「男装」といっても、目的が変われば、性自認も性的志向も異なるわけで、繊細にとらえていく必要がある。

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著者プロフィール

1961年生まれ。同志社大学大学院社会学研究科教授。専門は比較文化史。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。国際日本文化研究センター客員助教授等をへて、現職。著書に『遊女の文化史(中公新書)』、『「色」と「愛」の比較文化史』(第20回サントリー学芸賞、第24回山崎賞、岩波書店)、『「女装と男装」の文化史』(講談社選書メチエ)、『明治〈美人〉論』(NHKブックス)、『美少年尽くし』(改訂版、平凡社ライブラリー)、『男の絆の比較文化史』(岩波書店)ほか。

「2022年 『「専門家」とは誰か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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