『西遊記』XYZ このへんな小説の迷路をあるく

  • 講談社 (2009年12月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062584555

みんなの感想まとめ

奥深いテーマを持つこの作品は、古典『西遊記』の新たな視点を提供します。著者は、原作の詩や構造を丁寧に分析し、読者が見逃しがちな細部に光を当てています。特に、実在の人物や像との関連を示すことで、物語の背...

感想・レビュー・書評

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  • 「孫悟空の誕生」「西遊記の秘密」「孫悟空はサルかな?」と読んできた身には重複が多いなあという感じ。ただ、「西遊記」全巻の訳業を終えて、また見方が変わってきたという趣旨の一文を読んだのでそれに触れてみたくて手に取る。ざっくりいうと、1.「西遊記」の作者は呉承恩にあらず、匿名の複数名の道士たち、あるいは煉丹術師たちの頭脳集団 2.「西遊記」の冗長な詩詞は音通字(同音異義字)に読み替えると隠された意図が明らかに 3.「西遊記」の冗長な詩詞は「西遊記」が百科全書をめざしたもの といったところか。ただ、読み替えに関しては、面白いけれど論証はできないよなあ、とは思った。ものすごい数の解釈の幅がありそうで。◆明刊本における「受難詩」を検証、このモチーフがほかのエピソードに巧みに「もぐりこみ」、多彩な「入れ子」を形成、、これまた「西遊記」という建築的な世界をデザインするうえでの、あの「シンメトリーの原理」に匹敵する戦略(p.219より)といった論点も興味深し。◆仏教的世界観を解体し、それを解体したとわからないようにしたのは誰か?道士たちないしは煉丹術師たちによる匿名の頭脳集団と仮定し、明刊本「西遊記」を最終的に集大成するにあたっての「組み立て工事」の作業手順を、仮説的に再構成(p.54より)したのが「西遊記--トリックワールド探訪」(岩波新書) Ⅲ 組み立て工事 のようなので読んでみたい◆列挙、日本ふうにいえば「ものづくし」についての分析→ジャクリーヌ・ピジョー「物尽し—日本的レトリックの伝統」も手に取りたい。

  •  中野美代子では『孫悟空の誕生』『西遊記の秘密』を読んでいる。それらとカブることもない、汲めども尽きせぬ『西遊記』の奥深さ。
     龍門石窟寺奉先寺の羅漢像が、実在の玄奘三蔵の顔つきを伝えているという指摘はロマンがある。
     沙悟浄のモデルといえる深沙大将立像が、本国で失われ、わが国に現存しているのは幸運だった。
     最初に提示された四大州の位置関係から、西遊記の一行は渡海して当然である。しかるにそんな描写は無い。それが原型の説話では渡海している。
     原作のサクサク読書を妨げる詩詞の羅列。百科全書派の暴走? 果物や野菜名の列挙は、音通字によるダブル・ミーニングというのだから、三蔵の愚痴や八戒の軽口もおいそれと読めない。
     『西遊記』は並列構造ではなく立体構造。原典を編んだ匿名グループはもはやパラノイヤの領域だ。
     「回文による本書あとがき」、中野教授もパラノイヤ気味(ホメています)。

  • 先に読んだ『西遊記の秘密』と『トリックワールド探訪』とけっこーかぶってるのかなーと思ったけど、ならべる世界とか、もぐりこむ世界とか面白かった。読みやすかったし。
    本文読んでてわかりにくかったことがここでようやくいろいろわかってきた感じ。ちゃんと詩まで味わわんといかんね。

    小さいことやけど、さると龍と雷公と、鶏の関係がひじょーに興味深かった。わたし、さると鶏が好きでね…

  • 植物図鑑とか駄洒落とか、『西遊記』って原本を中国語で読めばもっと面白いってこと?
    西遊記の違う一面が知れて面白かった!
    あと三蔵法師を女性だと思っている日本人は本当にいるのか。
    自分の周りにはいないから疑問だ。

  • 中国四代奇書の一つで日本人にも人気のある『西遊記』を、日本語訳した中野美代子氏が独自の視点で分析。
    題材である実在の三蔵法師・玄奘の旅から、物語が成立してゆく過程、完成した時の時代背景の影響などが述べられています。
    作品自体は荒唐無稽なファンタジー冒険物語ですが、実は中国語のダジャレがふんだんに盛り込まれ、百科事典の性質も帯びていた!?
    またキャラクターの説明では、孫悟空の正体が猿というだけでないことや、しばしば無視されがちな三蔵法師の乗る白馬についての言及もあり。
    いまだ解明されていない謎について、著者自身の推測も述べられ、今後の研究課題として挙げられています。

    ただし・・・、到る所で著者が「私の他の著書も読みなさい」と言ってるのは、チョトしつこいかな?w

    ニン、トン♪

  • 10/2/28

  • 敬愛する北海道大学の武田雅哉先生の師匠にあたる中野美代子先生が、自身が翻訳した『西遊記』についてその中に隠された様々な謎について解き明かしていった本です。何の意味もない野菜を羅列した詩に隠された本当の意味や、洞穴や体内に入ることの意味など、学者として『西遊記』を裏の裏まで知り尽くした訳者でないと気付かない様々な謎が解き明かされてます。ただ、本書を読む前に中野先生が訳した岩波文庫版の『西遊記』を読んでおいた方が本書をより楽しめます。残念ながら私はそちらの方は未読ですので、この本の面白さの半分も分かっていないかもしれません。個人的には「玄奘のお供がなぜ猿なのか」は目からウロコでした。

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著者プロフィール

1933年生まれ.
1956年,北海道大学文学部中国文学科卒業.
北海道大学文学部助教授.
主 著:
砂漠に埋もれた文字—パスパ文字のはなし (塙書房,1971)
海燕(長編小説) (潮出版社,1973)
中国人の思考様式—小説の世界から (講談社,1974)
カニバリズム論 (潮出版社,1975)
悪魔のいない文学—中国の小説と絵画 (朝日新聞社,1977)


「1979年 『辺境の風景 日本と中国の国境意識』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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