- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062584692
作品紹介・あらすじ
室町幕府にできて、鎌倉幕府にはできなかったこと。それは、「太平の世」前夜の、動乱の続く地方に対して中央政権として安定的に君臨することである。そのために室町幕府が考え出した統治構造とは?自明のものとされてきた将軍の主従性的支配権に一石を投じ、天皇・公家の持つ力の本質を検証することで、明らかになった将軍権力とは、いったいどんなものだったのか?「わかりにくい中世をどうわかりやすくするか」の大問題に真っ向から挑む、刺激に満ちた一冊。
感想・レビュー・書評
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論文2~3本と、それに一般読者を意識してか古文書概論・日本史概論がいくつかで構成。と思う。(笑)
大まかな所でいえば、鎌倉幕府の統治限定主義が室町幕府の全国統治主義に移行する論理に将軍権力の発露を見た!ということであろう。但し、文書権威や地方との「外交」を土台に形成された将軍権力だ。より高次の道理・衆議に発展したともいえるか。
武家にしてみれば時代の流れにあわせ、仕方なくって感じもあるんでしょうかねぇ。案外、日本の歴史上は下からの、あるいは武からの王化に対しては面倒くさがりなのかもしれません。
個人的には官宣旨のくだりは、古文書講義を聴いているようで懐かしかったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
[評価]
★★★★☆ 星4つ
[感想]
よく室町時代の歴史は分かりづらいというが、この本を読んでもやはり分かりづらいと感じた。
室町幕府が朝廷をうまく利用し、各地方を統治しようとしていたということはなんとなく分かったが、それでもわからない部分のほうが多いように感じた。
しかし、室町幕府は全国を直接的に支配していたというよりも権威と朝廷をもって各地域と外交していたという考え方は非常に新鮮だった。これがうまく行かなくなったときに各地域は独立し、戦国時代へと向かうということなのだろうか。
この時代に関して理解するにはもっと基本的な部分を知る必要があると感じた。 -
古文書をひたすら読まされる、そんな感じ。辛かった。
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文章の形式について述べられており、歴史研究としては大切なことだと思うのだけど、そういう真面目さのないものからすると、ちょっとしんどかった。
手紙を読み下しにして現代かなにして引用しているのも、形式そのものを論ずる以上、必要なのだろうし、頭の下がる思いで読んだのだけど、やっぱりしんどいわ。
だらしない読者ですいません。著者さん。 -
権力を定義するのはとても難しい。まして、将軍と言う日本独特の地位を表現するとは。しかし、それを文書解析から解き明かそうとする人がいて、しかもそれに説得されてしまうとは。恐るべし。
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20110226読了