台湾ナショナリズム 東アジア近代のアポリア (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 41
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062584722

作品紹介・あらすじ

親日か反日か。統一か独立か。しばしば二項対立で語られがちな台湾ナショナリズムは、日本と大陸中国、冷戦期とポスト冷戦期、米国のプレゼンスの低下と中国の台頭など、長期的かつ複数の視座で整理すると今なお続く東アジア近代のアポリア(難題)として見えてくる。日本人にとって重要な歴史経験でもある「台湾問題」を、詳細に読み直す。

感想・レビュー・書評

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  • 台湾人と英語で話していて、「大陸中国」を英語で何と言うか困った。
    Continental Chinaなんて聞いたことないし、Proper Chinaとか言う言葉を台湾人相手に言いたくない。とはいえRed Chinaは古すぎるだろう。
    そしたら、至極あっさりと「彼らをChineseと呼ぶ」という。

    どうも不満が残り、話をした人のある種の偏向かもしれないと思い、その後台湾人に会うたびにこれを聞いてみるが、みんな同じことを言う。They are Chinese.って。
    母集団が少ないし、日本に留学などに来ている段階でフィルターがかかっている可能性もあるが、「今どきの台湾人のナショナリズムってどうなってんだ?」と、大いに疑問が残った。

    東アジア近現代史が好きなので(というか軍事や日本史が好きだとその辺りまで射程を延ばさざるを得ない)、私はまあ、台湾史についてはそこそこ詳しいほうである、と思っていた。
    だとしてもそれは、主に90年代から2000年ぐらいまでの知識であり、この10年ほど更新されていなかったのだということを、この本を読んで痛感させられた。
    過去の相対化も進んでいる。二・二八の死者数なんか疑ったことなかったし、国民党が大陸からやって来た時の「規律のないみすぼらしい兵隊がやってきた」というのも、そのままそう思っていた。
    ふーむ、難しいし、面白いものだ。

    しかし、この本は、過去のそうざらえには非常に向いているのだけど、現在および未来の展望に関しては、「東アジア近代のアポリア」と大きく出た割には、慎重過ぎて何を言っているのかもよく分からない状態になっている。
    当然の態度ではあるし、「親日台湾」「反中台湾」を精神的自慰のおかずにしている連中の存在を考えると、当然すぎる姿勢とは思うのだけど、もうちょっと踏み込んでほしかったというのが率直なところである

  • 「台湾ナショナリズム」という書名ながら、台湾内部というより他者(日本や大陸や東アジア冷戦構造そのもの)から見た近現代台湾を描いているので、台湾専門家には物足りないかもしれないが、門外漢には入りやすい。扱っている事柄も基本的事実が中心。その中で1945年以前の日本統治時代にも大陸といくばくかの関係があり「革命」の影響を受けていたことや1970年前半には「保釣」名目で反国民党運動があったということは新鮮な発見だった。ただ、筆者の専門が文学や社会学のためか、結論部分の「アジア的思考」や「台湾の主体」といった抽象的概念は自分にとってはとっつきにくかった。

  • デリケートで複雑な台湾、東アジアの歴史について、出来る限り多方面から解き起こそうという内容だと受け止めました。
    自分の知識足らずで十分に理解できていないところがあるので、それ以上の評価はできないのですが、全体像を俯瞰するという目的では良い本かと思います。

    台湾のことを知ろうとすれば、おのずと日本、中国、東アジア全体を見渡さなくてはなりませんし、冷戦構造、アメリカの存在も抜きにはできません。
    冷戦後の東アジア、アメリカに頼らない東アジアのグランドデザインを考えねばならないのだなと思いました。
    さらに広く、西洋と東洋の関係性など、今まで疎かった視点も与えてもらったと感じています。

  • 台湾映画が好きだから、その台湾という国について学ぼうと思い立ち手にとった。台湾の近代史も新しい見地から既往の成果も踏まわれよくまとめられているし、文章も読み易く、良質な本だと感じた。

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著者プロフィール

1963年、和歌山市に生まれる。明治大学政治経済学部教員。一橋大学言語社会研究科博士後期課程修了。著書に、『阿Qの連帯は可能か?』(せりか書房、2015年)、『魯迅出門』(インスクリプト、2014年)、『思想課題としての現代中国』(平凡社、2013年)がある。

「2015年 『誰も知らない 香港現代思想史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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