近代日本のナショナリズム (講談社選書メチエ)

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レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062585019

作品紹介・あらすじ

戦前期のナショナリズムは、なぜ、ウルトラナショナリズムに向かったのか。「靖国問題」とはなにか。戦後社会とナショナリズムの相関とは…。「日本」を根本から考えなおすべき今、ナショナリズム研究に大きな足跡を残してきた社会学者が問う、日本のナショナリズムの本質。

感想・レビュー・書評

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  • まえがき (二〇一一年五月二六日 大澤真幸)

    第1章 ナショナリズムという謎 
    1 ナショナリズム研究の中心的な問い(レーニンのショック/「想像された共同体」)
    2 ナショナリズムのパラドクス(ネーションの「古い起源」/無名戦士の墓碑/二種類の系列性)
    3 三つの理論(産業化という要請――ゲルナー/出版/資本主義――アンダーソン/エトニーのナショナルな起源――スミス)
    4 ナショナリズムの季節はずれの嵐

    第2章 ナショナリズムからウルトラナショナリズムへ 
    1 明治ナショナリズム(日本ナショナリズムと天皇制/ウルトラナショナリズムにおける変化/ナショナリズムの変質)
    2 国民の天皇(ナショナリズムとウルトラナショナリズムのギャップ/「天皇の国民」から「国民の天皇」への転倒)
    3 天皇なき国民(天皇なき国民/大正期における近代的権力)
    4 資本主義としての哲学(広義の資本主義/田辺による「種の論理」/西田による場所の論理)/5 昭和期のウルトラナショナリズム(神秘的な自我/代表制の機能不全/具象的超越への逆説的な回帰/満州国という理念/農本主義)

    第3章 「靖国問題」と歴史認識  
    1 「終りに見た街」
    2 死者のまなざし
    3 必勝の自動人形
    4 歴史神学

    第4章 〈山人〉と〈客人〉 
    1 敗戦に際して――柳田と折口
    2 〈山人〉と〈客人〉
    3 外的関係の主体化

    第5章 現代日本の若者の保守化? 
    1 ほんとうに保守化しているのか?――意外な調査結果(若者は保守化している/ナショナリズムの強度/若者は保守化していない?/宗教心をめぐる逆説)
    2 スターニリズムへの迂回(スターリンはスターリニストか?/項目「Beria」)
    3 二つのケース(在日コリアンからナショナリストへ/『コードギアス』)
    4 戦後史の第三局面(理想の時代/虚構の時代/……/オタク/政治的有効性感覚)
    5 アイロニカルな没入(多文化主義的な転回――「信じていないは信じている」/外部委託とその失敗/暗黙の(反)規範)

    初出一覧

  • 私に語彙力がないのですが、言葉が難しすぎて理解できない所が多かった。何度か読み返すと意味が分かるけれど、きりがない。ただ内容に関しては面白かった。無名戦士の墓碑やA級戦犯、アニメの話が絡んできたりするところなどは面白かった。考えが深くなった気がした。でも、やはり一文は長く分かりにくいし結局何が言いたいか分からず終わる所も多々あった気がした。

  • 世界におけるナショナリズムの成立の過程、
    明治日本のナショナリズムの発生から昭和のウルトラナショナリズムに至るまで
    靖国神社とは
    若者の保守化について

    文系の学問はとかく哲学に突入してしまうのでよくわからない、といったところが正直なところ。
    ナショナリズムの成立条件のネーションのくだりが参考になった。

    あと、8月15日を終戦の日としているのは日本だけであり、この日にすることで敗戦の日を終戦の日に摩り替えてるという裏の事情が見えた。

  • レビュー 回送先:府中市立白糸台図書館

    大澤真幸に対する評価は千差万別という印象を評者は抱いているのだが、本書もまたそうした好き嫌いを引き起こしそうな読後感を抱いている。

    本書は政治思想の観点から見た近代日本のナショナリズムの変遷でも、歴史社会学から見た同じ観点でもない。単純化すれば文化現象の中においてナショナリズムがどのように作用してきたのかということについての分析本である。

    もっとも、大澤自身はナショナリズム分析で注目されてきた存在なので、大枠の間違いは見当たらない。ソツなくこなしながらも分不相応なことは言わないその倫理観だけは評価の対象だろう、彼に絡もうとする知識人の胡散臭さと比較するならば。

    なお、『コードギアス』とナショナリズムと絡めた部分はかつて似たような分析様式を行って上野俊哉から『紅のメタルスーツ』において「「虚構/現実」の共犯関係を語るならば、当然触れるべきはずの作品や出来事を見事に回避したままだ」と批判されていることを再度繰り返していると思うのは評者だけだろうか。

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著者プロフィール

1958年生まれ。社会学。個人思想誌「THINKING「O」」主宰。『ナショナリズムの由来』で毎日出版文化賞を受賞。『自由という牢獄』で河合隼雄学芸賞を受賞。著書に『不可能性の時代』『〈自由〉の条件』『〈問い〉の読書術』『考えるということ』など。共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『憲法の条件』『げんきな日本論』『21世紀の暫定名著』など。縦横無尽なジャンルで現代を解きあかすスタイルで、社会学の第一線を担う。

「2018年 『今という驚きを考えたことがありますか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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