子供の哲学 産まれるものとしての身体 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062585415

作品紹介・あらすじ

これまでの哲学が再三にわたって論じてきた「私」という問題。しかしそこには、大きな見落としがあったのではないか?産まれる、子をはらむ、産む、死んでいく、だけど誰かが残る。こうしたことを、それ自身として真正面からとらえる。そのための哲学が、ここからはじまる。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに哲学書に手を出してみた。(笑)

    最近長女の性格、発言、容姿などが私に似ていると旦那含めあちこちで言われるようになったが、
    なんだかそうたびたび言われることに対して心の中でふつふつと苛立つものがあった。

    「長女は長女であって一人の人間で、私は私という人間である」
    と自分自身は思っているものの、
    なぜそんなにも周りは私と長女を同類化させようとするのか。

    他にももやもやしていたところはあって、
    そんなもやもやしていたところに見つけたのがこの本。

    「子供の哲学」とあるが、
    生殖し、妊娠し、生まれてきたいのちに対しての「哲学」である。
    (なのでここでは「子ども」表記でなく「子供」表記で書かせていただく)


    着眼点が面白いな(そして私の疑問にタイムリーだな)と思ったのが最初に本を手に取った時の感想。

    西田幾太郎がベースなのかな。
    どちらかというと後半部分(四章~五章)あたりが自分の疑問にぴったりとマッチしていたかと思う。

    「私の子供である」という表現への哲学的考察について、興味があったものの、
    「子供を産むが故に死ぬ、紡ぎだされる他者への愛=いのち」

    なのだろうなとは納得できるけれども、
    それが遺伝という伝達物質なのか。
    自分的には斜め読みじゃ納得できない部分も多かったり。
    逆に他に対する疑問が湧いてきてもいる。
    (哲学書ってそんなもんだろうけど)

    最近ちょっと「?」と思っていた
    生殖行為と性的行為、そして愛する行為が
    時に一致しない、完全分断されているにもかかわらず、
    妊娠し、子供を宿し、いのちが生まれる=産む。
    またそれは運であり、必ずしもいのちが生まれてくるとは限らない。
    時に体外受精とか卵子凍結とかあるけれど、
    子供を宿す行為への多用化に対する男女の身体論。

    ↑ここまでくると生命倫理にまで発展してしまうけども、
    突き詰めるとますます疑問が生まれてきそうですが、
    いろんな意味で自分としてモヤモヤしていた疑問が間違っていないんだなと肯定できた一冊となりました。

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    久しぶりの哲学書は読むのさすがに訓練されていないがため疲れました・・。
    あまりに読み込めなくてノートにメモしながら読んでいました。

  • これはむずかしかった。

  • 「」付きの言葉が頻出してよく頭がこんがらがったけど、そういう箇所でもゆっくり読めばよくわかった。
    画期的な論考(らしい)にもかかわらず感覚的に知ってる内容だと思えたのは、いくつかのフィクションで似たようなメッセージに触れたことがあるから。
    なかでも真っ先に思い浮かんだのは『火の鳥』で、あの「永遠に生きる」イメージを補助線にすることで、途中かなり抽象化される「他者」の議論にもついていきやすくなったと思う。手塚治虫すごい。

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著者プロフィール

檜垣 立哉 1964年生。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。大阪大学名誉教授、専修大学文学部教授。哲学・現代思想。著書に『生命と身体』(勁草書房)、『日本近代思想論』『ヴィータ・テクニカ』(青土社)、『バロックの哲学』(岩波書店)、『日本哲学原論序説』(人文書院)、『ベルクソンの哲学』『西田幾多郎の生命哲学』(講談社学術文庫)、『哲学者がみた日本競馬』(教育評論社)、監訳書にN.ローズ『生そのものの政治学』(法政大学出版局)ほか。

「2023年 『ニューロ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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