教会の怪物たち ロマネスクの図像学 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 64
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062585682

作品紹介・あらすじ

教会をよく観察してみると、怪物、魔物、実在のまた想像上の動物、植物などのシンボルに満ちた空間であることに驚きます。よく知られたものだけでも、口から植物を生やしているグリーン・マン、双面のヤヌス、人魚、ドラゴン、グリフォンなどです。もちろん、キリストや聖人などの図像もあります。それらのイメージは、絵画や柱頭彫刻、祭壇やアーケードのレリーフといったかたちで、教会にちりばめられ、まるで一枚の世界地図を体現しているようです。
なぜ、怪物が教会にいるのか。二つの尾をもつ人魚を例に考えてみましょう。人魚は豊饒の表象であると考えられていたようです。というのも、人魚の原型は、ギリシア神話の『オデュッセイ』や『アルゴナウティカ』に登場する「キルケー」という魔女で、中世にまで生き延びていた女シャーマンだからです。キルケーが怪物に性を与えるように、自らの生成の場所である「子宮」を誇示するような彫刻となっているのです。また、グリーン・マンもバッカス的な祭礼に結びつく、豊饒の男版のシンボルと考えられます。
本書では、とくにこういった怪物的シンボルが横溢するロマネスク教会を中心に、解読をしていきます。キリスト教と一見無縁に思われる不思議なイメージの中に、失われた民衆の精神史を探ります。また、実際の教会巡りの際に、役立つ図像事典の性格ももたせ、旅行ガイド的要素も盛り込みます。

感想・レビュー・書評

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  • 表題から、すぐにパリのノートル・ダムを思い出しました。これについては冒頭に説明がありますが、本書はイタリアのフィールド調査が中心です。
    大聖堂や教会にさまざまな怪物があり、幼い頃、ノートル・ダムの怪物の写真が怖かったです。これとキリスト教とがどう結びつくのかは、理論を勉強してから、一応納得したつもりでした。
    日本人が理解するには、どうしても理論からでないと、限界があります。本書も理論ではあるのですが、日本人にはわかりにくい西洋人の感性に踏み込んで、感性の部分でわかりやすくしているところが気に入ってしまいました。
    特になじみのない地域での調査では、経験談を入れて、距離を短くしてくれます。
    また『山海経』『三才図会』『和漢三才図会』など東洋との比較も取り入れています。この辺はとてつもない広がりになるのですが、比較文化としてもおもしろいです。

    個人的には人魚が好きです。日本と東洋を比較してみたことがあったのですが、西洋との共通項も多そうです。

  • これは、ス・テ・キ!

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    「神に祈りを捧げる場所におかしな動植物がいるのはなぜか? 神の驚異の御業への賞賛と民衆の心性が交差するロマネスク教会が面白い!
    教会をよく観察してみると、怪物、魔物、実在のまた想像上の動物、植物などのシンボルに満ちた空間であることに驚きます。よく知られたものだけでも、口から植物を生やしているグリーン・マン、双面のヤヌス、人魚、ドラゴン、グリフォンなどです。もちろん、キリストや聖人などの図像もあります。それらのイメージは、絵画や柱頭彫刻、祭壇やアーケードのレリーフといったかたちで、教会にちりばめられ、まるで一枚の世界地図を体現しているようです。
    なぜ、怪物が教会にいるのか。二つの尾をもつ人魚を例に考えてみましょう。人魚は豊饒の表象であると考えられていたようです。というのも、人魚の原型は、ギリシア神話の『オデュッセイ』や『アルゴナウティカ』に登場する「キルケー」という魔女で、中世にまで生き延びていた女シャーマンだからです。キルケーが怪物に性を与えるように、自らの生成の場所である「子宮」を誇示するような彫刻となっているのです。また、グリーン・マンもバッカス的な祭礼に結びつく、豊饒の男版のシンボルと考えられます。
    本書では、とくにこういった怪物的シンボルが横溢するロマネスク教会を中心に、解読をしていきます。キリスト教と一見無縁に思われる不思議なイメージの中に、失われた民衆の精神史を探ります。また、実際の教会巡りの際に、役立つ図像事典の性格ももたせ、旅行ガイド的要素も盛り込みます。」

  • 文章としては学者さんが書いたものにありがちで、サービス精神に欠けますが、豊富な写真はそれを補って余りあります。

  • 何なんだ!?

  • 教会の怪物とは!?失われた民衆の精神史。What was a church monster? Lost intellectual history of the public.

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著者プロフィール

尾形希和子(おがた・きわこ)1959年生まれ。大阪外国語大学卒業。東京外国語大学大学院修士課程修了。沖縄県立芸術大学講師を経て、現在、同大学教授。専門は、ロマネスクの図像学、西洋美術史。
著書に、『レオノール・フィニ 境界を侵犯する新しい種』(東信堂)、『イメージの解読 怪物』(共著・河出書房新社)、論文に「遙かなる石の記憶」など、訳書に『バロックのイメージ世界綺想主義研究』(共訳、みすず書房)、『スキタイの子羊』(博品社)などがある。

「2013年 『教会の怪物たち ロマネスクの図像学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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