- Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062585927
作品紹介・あらすじ
厖大な史料を歴史研究者としての確かな眼で読み込み、伊藤博文や山県有朋、昭和天皇など近代日本をつくってきた人々の評伝を著して高い評価を得てきた著者による、渾身の書き下ろし新作。「平民宰相」として知られる原敬の65年の生涯を描く、本格的評伝。上下全2巻のうちの上巻。
原敬といえば、おもに初の本格的政党内閣を実現し、薩長藩閥政治の克服に努めた東北出身の政治家としてのみ語られることが多いが、著者によれば、原の政治家としての特色は、外交や内政に高い理想を持ち、それが当時の状況に合致していたこと、またそれらを実現するための手法やタイミングを知り尽くしていたこと、にあるという。また、ジャーナリスト・外交官・企業経営者など多彩な顔を持ち、そこで吸収した見識を元に一貫して「公利」という概念を重視し、第一次世界大戦後の世界を見通して新たな日本政治の道筋をつけた、ポスト「元勲世代」のもっとも偉大な政治家だったのである。
上巻では、盛岡での誕生から、フランス語を学び、新聞記者として見聞を広めたのちに外交官として、さらに大阪毎日新聞社長として活躍し、陸奥宗光の知己を得て政治の世界へと進むまでの前半生を描く。
感想・レビュー・書評
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盛りだくさんの記述で読みものとしてはおもしろかったけど、身びいきが過ぎて人物評としては微妙。とくに正妻/後妻/愛人入り乱れる女性関係をさも誠実で高潔なパートナーシップのごとく描くのはちょっと薄気味悪い。著者自身の女性観までなんか歪んでんじゃないかと邪推したくなる。
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教科書の記述でしか知らない人物。
まとめちゃうと政党内閣の平民宰相ってところだけど、それ以上に現在の政治の在り方や運営方法を築いた人なんだと分かる。
結果として党利党略の利権誘導政治を導入することにもなる。実は普通選挙の導入に消極的だったというのには驚いた。民度がそこまで’達していないという判断からだ。100年以上経った今でも疑問だしね。当時はいかばかりか。
理想と現実を統合するのに長けていた、優れた政治家だったわけだ。けど、彼が理想とした政党内閣制度は、今でもハードル高いなぁ。