地図入門 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062586016

作品紹介・あらすじ

地図とは地形や道路、建物などの現実を記号化すること。そのためには、さまざまな省略があります。地図の制作者はどのように現実を記号化するのでしょうか。「総描」「転位」とはどのような作業なのか?また、基準を決めるのも重要です。たとえば、海抜0メートルの決め方とは? 地形図と海図の基準の違いとは?日本の近代以降の地図を中心に、読み方から楽しみ方まで紹介する入門書の登場です。

感想・レビュー・書評

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  • 古い地図でノスタルジーを感じたりすることも楽しみの一つですが、戦前の古い地図には国家機密のために嘘の地図が存在してたりします。
    また地図製作者ならではの地図表記へのこだわりなど、知られざる地図の世界垣間見える一冊です。

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  • 【目次】
    まえがき(今尾恵介) [003-008]
    目次 [009-012]

    第1章 地図とは何か――地形図、土地条件図、住宅地図、海図 013
    地図の種類――羅図と主題図/地形図――風景の見える地図/陸軍と田んぼの記号/学校地図帳――立体的に世界を眺める/地名は現地呼称主義に/土地条件図/住宅地図――足で情報収集した苦労の賜物/海図――水の底を見透す

    第2章 風景を記号化する――地図記号 039
    この世を抽象化するための記号/お役所の記号が多い日本の地形図/地形図の植生記号/外国の地形図の記号/総描――この世を丸めて示す/独立建物(小)/街の発達史を読む/独立建物(大)/その他の建物類似物件」――無壁舎/外国地形図の総描家屋/建物記号の位置について/真位置に置く記号もある/建物記号が真位置に変更された新図/縮尺によって必要になる「転位」

    第3章 地図の縮尺と高さ 071
    縮尺とは何か/大縮尺と小縮尺/メートル法/「6万3360分の1」の謎/地図の「高さの基準」/海図の0メートルは東京湾の平均海面ではない/地形の表現方法、等高線/ケバ/等値線の一種、等深線と等高線/等高線と地形/地図作製のための空中写真撮影/等高線の種類/各国の等高線間隔の相違/等高線が描かれない場所

    第4章 地図と地名のはなし 107
    日本の行政区分と地名階層/住所表示の特例/大正期の帝国図における町村名と居住地名/地勢図の「字隔の違い」にも残った帝国図の思想/平成の大合併と地名表記の問題/自然地名の表記/優れた地図は「地名の広がり」を直感できる/地図で読む地名と地形

    第5章 地図と政治 149
    戦争と地図/戦時改描と立川/いろいろな改描の実際/要塞地帯の観光/竹島の地図はどうなっているか/北方領土の地形図/東京都庁問題、ロンドンの幽霊道路

    第6章 地形を味わう 177
    地図で観察する川/大井川下流部「越すに越されぬ……」/大井川中流部は嵌入蛇行「鵜山の七曲がり」/嵌入蛇行の西の雄――四万十川/河川が何を争奪する?/北海道の山でも人知れず河川争奪/集落の形に残る阿賀野川の蛇行跡/扇状地と天井川/河岸段丘というテラス/ダイナミックな信濃川の河岸段丘/川がトンネルをくぐる――養老川/地図で味わう個性的な地形――細長く伸びた東平安名岬(沖縄県喜島市)/若く美しい山肌――開聞岳(鹿児島県指宿市)/噴火産続きになった桜島(鹿児島県鹿児島市)/地形の見本市・上甑島(鹿児島県薩摩川内市)/本当に丸い米丸と住吉池(鹿児島県姶良市)/メサの代表・万年山(大分県玖珠町・九重町)/讃岐のミニ富士群(香川県坂出市・高松市ほか)/中海と「締切未遂」の堤防(島根県松江市)/身を削って城の石垣を提供した犬島(岡山市東区)/複雑な飛地をたどる(京都府木津川市・笠置町)/古墳がひしめく近郊都市(大阪府藤井寺市・羽曳野市)/もうひとつの五稜郭(長野県佐久市)/伊豆北西端のフック・大瀬崎(静岡県沼津市)/大崩海岸・石部の海上橋(静岡市駿河区・焼津市)/大室山と溶岩台地(静岡県伊東市)/一碧湖と校庭になった噴火口(静岡県伊東市)/地すべり地帯・猿供養寺の棚田(新潟県上越市)/旧山古志村に広がる無数の養魚池(新潟県長岡市)/三宅島の噴火前と噴火後(東京都三宅村)/丸い頂が並ぶ箱根の二子山(神奈川県箱根町)/田んぼの海に浮かぶ島々──象潟(秋田県にかほ市)/日本最低所――ダイナミックな石灰の露天掘り害森県八戸車/青函トンネル内の水準点(青森県外ヶ浜町沖)/分水界が海辺の崖上――落石付近(北海道根室市)

    あとがき 地図に騙されないために [226-236] 
    主要参考文献 [237-238]
    索引 [239-242]

  • 感想未記入

  • 主に東京の地図に興味あるのだが、今後それをもっと深く読み取るのに大変参考になったと思う。地図から窺える地質・歴史・気候・変遷・地名に隠された土地の特徴…。こんなに情報量があるとは。そして日本国内だけでもあふれるほど変化に満ちた地形が存在することも改めて思い知らされた。

  • 懐かしいような、現状の見方が今風な様な。記号論の本としても面白かった。

  • 2015年4月刊。地図の表現方法や地形と地名の関連性など、地形図の知識が満載。ご多分に漏れず、私も等高線を読むのは苦手です。

    【引用メモ】
    現在の等高線は空中写真の実体視(立体視)によって描く。(中略)隣接した写真を図化機という専用の機械に入れると立体的に見えるようになっていて、しかも実際よりも凹凸は過剰に利くようになっている。これは高速で移動する飛行機で撮影したため「右目」と「左目」の画像が実際に空から見るより離れているためだが、結果的に微細な起伏を見逃さないためのうまい仕掛けになっている。(p.98)

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著者プロフィール

今尾 恵介(いまお・けいすけ):1959年横浜市生まれ。地図研究家、エッセイスト、フリーライター。中学生の頃から国土地理院の地形図に親しみ、時刻表を愛読する。音楽出版社勤務を経てフリーライターとして独立、イラストマップ作成や地図・鉄道関連の著作に携わってきた。著書に『日本の地名おもしろ探訪記』『日本地図のたのしみ』『ふしぎ地名巡り』(以上ちくま文庫)、『地名の楽しみ』(ちくまプリマー新書)ほか著書多数。

「2023年 『ふらり珍地名の旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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