物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)

著者 : 橋本陽介
  • 講談社 (2017年4月11日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062586504

作品紹介

私たちは常に、物語に囲まれて生きている。小説や漫画などのフィクションが「物語」なのはもちろん、著者によれば、スポーツ中継や日々のニュース、歴史叙述も「物語」だという。では、ここでいう「物語」とは何か。どういう性質をもつものなのか――。これを論じてきた理論が物語論(ナラトロジー)である。
動物もコミュニケーションを行えるが、物語を語れるのは人間だけである。その意味では、物語とは、人間の言語活動に特徴的かつ本質的なものである。しかし、「物語」というと、これまでは往々にして、作者の意図や作品の社会的背景、歴史的意味の解釈にのみ、力点がおかれていた。本書でいう「物語論」はそうではなく、言語学や文体論を用いながら、物語そのものの構造を論じ、設計図を分析していく。
第一部では、フランス構造主義の物語論を中心に、その理論を紹介し、第二部では、カフカ、田山花袋、ボルヘスから、「シン・ゴジラ」「エヴァンゲリオン」「この世界の片隅に」まで、具体的なテクストを分析し、私たちの現実認識が、物語の仕方によっていることを明らかにしていく。

物語論 基礎と応用 (講談社選書メチエ)の感想・レビュー・書評

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  • 『基礎編』『応用編』の2部構成になった入門書。
    前半で『物語論』について基本的なことを解りやすく述べ、後半では実際に作例を挙げて、『物語』の分析が行われる。
    圧倒的に面白いのは後半の『応用編』。ごく最近のヒット映画やアニメから、ノーベル文学賞受賞作家、教科書に載っているような文豪の作品まで、様々なタイトルが挙げられる。後半部分だけで相当なブックガイドになるのではないか。

  • 完全な初級者向けとして書かれているけれども
    用例の紹介の豊富さと、扱う理論の幅の広さは
    今あるもののなかでは随一と言っていいのではないだろうか。

    形態論、文体、構文、ナラティブの問題、展開などなど、
    物語にまつわるものでいったら、あとは読者論くらいじゃないだろうか。

    個人的に物語論の大事なところは
    文章の技術と効果から純粋に物語をすくい出すところだと思ってる。
    それは物語の物語性は、ほとんど人間性の基礎に根付いているからです。
    ただの断言ではありますが、これに対しては物語に対する飢えが
    少なくとも私に存在しているからそう言っています。

    また、もっとも応用という意味でもすくいあげられた物語は有用です。
    つまり、この本でも「シン・ゴジラ」や「この世界の片隅に」(漫画版)など
    文章以外のメディア作品を扱えるのも、物語に固有のパラメータが存在するからです。

    それにしても、各章立てごとに
    複数の実例を挙げて説明していくのは、
    著者自身の喜びがここにあることを証し立てているように思います。

    本を書きたい人だけでなく、本の読み方の幅を広げてみたいと思う人にも
    この著者の軽やかな紹介はきっと役に立つと思う。

  • 物語構造を考えることは、世界に対する自分の立ち位置を考えること。…かも?

    目から鱗だったのが物語の視点の問題について。
    物語を作るときは視点の置き方を決めないといけないのだ。誰の視点で語るか。どの時点を起点にした視点で語るか。それと同時に物語に対してどんな距離感で語るか(ディエゲーシスとミメーシス)。
    これを定めずに物語を作ろうとすると行き詰まる。というか困ってしまって語れないのだ(過去に小説書こうとして行き詰まった原因をようやく思い知る)。

    普段の会話も同じだ。自分が話そうとする内容に対しどの立ち位置から語るか(客観的に語るのか、主観的に語るのか、両方を合わせながら語るのか)を決めないと話せないもんね。

    というのが第一部の感想。

    第二部は実際の作品分析。印象に残ったのは「この世界の片隅に」の距離をとることでエモーショナルな余韻を残す構造の分析。
    あと文学史で出てくるような作品は、物語構造が発表当時センセーショナルだったのだなあということ。
    物語に対して「構造」という分析視点を持たないで話の内容で捉えることになっちゃうのってないもったいない!魅力や面白さを理解しきれない。
    本著を読んでそう感じた。

  • ジュネットに至るまでの物語論の整理とその応用。
    といっても、分析編はけっこう雑な感じ。
    よく言えば、著者の趣味が全開している感じで面白かったし笑えた。例にあげた小説のオリジナルテキストの書き換えがあまりに下手だったりして。学術本っぽいのに、体温が感じられた。

  • ナラトロジー:物語論

    その昔、ウラジーミル・プロップについて知りたいと思ったことがあったので、本書で概略を把握できたのはよかった。
    プロップの「31の機能」は、ロシアの魔法昔話という非常に限定的な対象に適用されるものであるが、物語のパターンの分析を最初に行ったという点で歴史的意義がある。

    本書は理論編の第一部と分析編の第二部に分かれる。
    日本語と他言語の違いなどが語られる第一部は面白く読めた。が、楽しみにしていた第二部は期待ほどではなかった。
    『エヴァンゲリオン』『スラムダンク』『進撃の巨人』と、キャッチ―なタイトルが並んではいるが、正直客寄せパンダ感は否めない。

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784062586504

  • プロップ 31の機能
    物語の筋の展開に直接影響を及ぼす人物の行為

    人物は機能に従属する存在、キャラクター性やその心理などはあまり重要なものではなく、何をするかという役割の方が大切(敵対者、贈与者などとその役割で呼ぶ)
    vs. 近代小説では人物が「個人」として描かれるようになり、その心理も重点的に描かれることが多くなった。人物を1つの存在として描くようになった
    昔話のように比較的単純な物語では、まだその個性は豊かではなかったので物語を展開させる行為が特に注目されることになった

    クロード・ブレモン
    物語の展開=可能性の論理
    1行動が起こる前
    2行動が進行中
    3行動が終結

    箱を渡されればそれが重要な役割を果たすし、銃が渡されればそれは放たれる

    ロラン・バルト
    物語は、「機能」と「指標」の組み合わせ

    指標=物語の筋には関係しないが、人物のキャラクター性や雰囲気など、その他の状況を伝えるもののこと、時間的展開のない静的なもの

    物語によって、機能を重視するものと、指標を重視するものがある。昔話はエンターテインメントでは、物語展開の方が重視されるのに対して、心理小説などでは、心の動きに焦点が当てれれる

    二択を迫ることによって物語の筋を展開させるような機能=枢軸機能体
    より副次的なもの=触媒

    枢軸機能体のまとまり=シークエンス

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