AI原論 神の支配と人間の自由 (講談社選書メチエ)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 169
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062586757

作品紹介・あらすじ

ここのところ「スマートスピーカー」の宣伝をよく目にします。名だたる企業が競うように発売し、これを導入すると、どれほど生活が便利になるかを伝えています。スマートスピーカーは「AIスピーカー」とも呼ばれるように、AI(人工知能)が搭載されています。囲碁や将棋でAIがプロに勝った、というニュースを聞くようになってから、もうずいぶん経ちますが、今や自動運転、投資相談、医療診断など、以前では想像もできなかった領域にAIは進出しつつあります。そして、30年以内にAIの知性が人間を超越する、という「シンギュラリティ(技術特異点)」仮説を唱える専門家さえ出てきています。
そこに待っているのは「薔薇色の未来」でしょうか? 便利さ、というものに目を奪われて、しっかり考えることなく、さまざまな判断をコンピュータに委ねてしまうことになって、だいじょうぶなのでしょうか?
本書は、半世紀近くにわたってAIの栄枯盛衰を間近で見てきた第一人者からの提案の書です。──先に進む前に、いったん立ち止まって、きちんと考えてみませんか?
現在のAIブームとも呼ぶべき状況は、1950~60年代の第一次ブーム、1980年代の第二次ブームに続く三度目のものになります。本書は、それらの歴史を振り返り、それぞれの時期に何が可能になったのか、何が不可能であることが分かったのか、そしてそれは今日に至って解決されたのか、といった点を分かりやすく整理します。
その上で、今、世界中で注目されるフランスの哲学者カンタン・メイヤスーの議論を手がかりにして、AIが目指しているのはどんな世界なのかを探っていきます。そこで明らかになるもの、それは「絶対知をもつ神に人間が近づいていく壮大なストーリー」にほかなりません。もしもそのストーリーが現実のものになったとしたら、「自由意思」や「責任」といったものはどうなるのでしょう?
AIとよく付き合うために、本書は大切な問いを投げかけます。

【本書の内容】
まえがき
第一章 機械に心はあるのか
第二章 汎用AIネットワーク
第三章 思弁的実在論
第四章 生命とAIがつくる未来
第五章 AIと一神教

感想・レビュー・書評

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  • AIと人間の思考原理の根本的違いとして、AIは「他律的」、生き物は「自律的」として原理的にAI(ここでは汎用AI)は生き物になることはできないということを解説した書籍。
    生き物だということは他者からは「不可知的」であるとし、その生き物の行動原理(人間の思考原理も含む)を哲学者メイヤスー「思弁的実在論」の「偶然性」の概念を参照しつつ「自律的」とは「偶然性が必然」であるという考え方から解説。
    そもそも西洋人が汎用AIを人智を超えた存在として位置付けたがるのはキリスト教の三位一体の考え方が染み付いているのではないか、とその西洋人の思考原理も紹介。一方でAIはいずれ人間を知能を超える賢い機械になる可能性が高いという点は一般的なAI論者に賛同。

  • これはちょっと難しかったなあ。まあ、ほとんど哲学の話でした。あいだにキリスト教の話も登場。内容はほとんど頭に残っていません。原論というのだから仕方ないのでしょうが、もう少し具体的な話が出てくるとよかった。それは、また次の著作となるのでしょうか。AIによる医療診断とか自動運転とか株式投資とか、何か問題が起こったときだれが責任をとるのか。こういうことは、もうまもなく具体的にいくつも世の中をにぎわすことになるのでしょう。そのときにあわてなくていいように、しっかり議論しておくべきなのでしょう。2045年のシンギュラリティというのを楽観的に信じている科学者はもはや少ないのかも知れませんが、一般の、特に子育て世代の人たちは、子どもたちが社会に出て行くとき世の中がどう変わっているのかは心配事の一つでしょう。どんな職業が残っているのか、AIが活躍する社会でこの子たちはどんなふうな活動をしていけばよいのか。どのような世の中になっても、活躍できるためにいま備えておいた方がよい力とはいかなるものか。などなど、著者には本書から進んでより具体的なアドバイスをいただけるとうれしいですね。

  • AIについてはシンギュラリティーの議論を含め、実業に近い方と著者の様な学者では見解が分かれる傾向にあり、学者の方々は概ねシンギュラリティーには否定的である。著者もその見解であるが特に面白かったのは実業家が唱えるAIの未来にはアングロサクソン的な功利性があるというものでおそらくこの見解を示しているのは著者だけであると思われるがその主張は説得力があり面白かった。

  • シンギュラリティ仮説への批判。
    最終章にすべてのエッセンス。

    素朴実在論に立脚し得ない点は既に決着済。フレーム問題や記号接地問題は解決し得ない。相関主義哲学に基づけばシンギュラリティーはありえない。唯一の可能性は思弁的実在論によるものであろうが、その場合、現在喧伝されているような楽観的なシンギュラリティー後の社会は描き得ない。
    シンギュラリティー仮説の背後にある、創造神、ロゴス中心主義、選民思想、この3つがセットとなった一神教的世界観。
    過去の蓄積に準拠する機械と、創発性のある生命体との相違。
    AIよりもIA Intelligence Amplifierと捉えるべき。

  • 【配架場所、貸出状況はこちらから確認できます】
    https://libipu.iwate-pu.ac.jp/opac/volume/499431

  • NTa

  • 長谷川眞理子2018年の3冊

  • GoogleがAI企業を買収している理由は、AIを使って検索機能を改良するためではなく、むしろ検索機能を使ってAIを改良するためだとも考えられる。
    AIとコンピュータにとって、ユダヤ人の学者、企業家が多い。古来のユダヤ的思想の並外れたパワーと伝播力を物語っている。

  • AIに関して哲学的な議論を展開しているが、難しい。第6章に総括があるが、気になった言葉を列挙してみる.疑似的自律性、不可知性、ニューラルネット・モデル、深層学習、フレーム問題、記号接地問題、オートポイエーシス理論、シンギュラリティ仮説、クラウドAIネット、暫定的閉鎖系、IA(Intelligence Amplifier)、などなど.一神教からきている「創造神/ロゴス中心主義/選民思想」という独断的な思想に対して、反省の意味で文化的多元(相対)主義が生まれてきた由."AIの宗教的背景を知っておれば、「やがてAIロボットが人間のように自律的に、主体として賢い判断を下せるようになる」などといったお伽噺に惑わされることはなくなる." と強調しているが、分かるような気がしてきた.

  • ギブアップしました。
    先日同一の著者の「ビッグデータと人工知能」を読んで、大変に面白かったので選んでみたのですが、こちらはハードルが高すぎました。
    「ビッグデータ・・」と同内容でかなりかぶるのですが、すべてが専門的でテクニカルタームが多く、いちいち理解できません。
    もう少し勉強したらわかるようになるのだろうか。
    理解できないものを無理して読んでいても時間の無駄なので、ひとまずおきます。

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著者プロフィール

1948年生まれ。東京大学工学部計数工学科卒業。工学博士。日立製作所、スタンフォード大学にてコンピュータ・システムの研究開発に携わったのち、明治大学教授、東京大学大学院情報学環教授、東京経済大学コミュニケーション学部教授を歴任。東京大学名誉教授。専攻は、情報学・メディア論。主な著作に、『AI―人工知能のコンセプト』(講談社現代新書、1988年)、『デジタル・ナルシス―情報科学パイオニアたちの欲望』(岩波現代文庫、サントリー学芸賞、1991年)、『思想としてのパソコン』(編著、NTT出版、1997年)、『基礎情報学―生命から社会へ』(NTT出版、2004年)、『続 基礎情報学―「生命的組織」のために』(NTT出版、2008年)、『生命と機械をつなぐ知―基礎情報学入門』(高陵社書店、2012年)、『ビッグデータと人工知能―可能性と罠を見極める』(中公新書、2016年)、『AI原論―神の支配と人間の自由』(講談社選書メチエ、2018年)、『AI倫理―人工知能は「責任」をとれるのか』(河島茂生との共著、中公新書ラクレ、2019年)など。

「2021年 『新 基礎情報学 機械をこえる生命』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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