うつからの完全脱出 9つの関門を突破せよ! (こころライブラリー)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062594851

作品紹介・あらすじ

陸上自衛隊カウンセラーが明かす完全復帰までの克明レポート
だから、あなたのうつも必ず治る!

焦り、不安、自己嫌悪、そして自殺衝動の嵐――
遺書まで書いたJ君は、どうやって「うつ地獄」から生還したのか。

私は陸上自衛隊のカウンセラーである。縁あってこれまで多くの人の「うつ状態からのリハビリ」を支援してきた。もともと自衛官は、厳しい環境で任務を達成することを要求され、心理的にも肉体的にも大きなストレスにさらされる職業である。……私は、うつからの脱出を当事者と支援者(家族・医師・カウンセラー)の共同作戦と考えている。また、その長い道のりには、多くの人が同じように苦しむいくつかの関門があると認識している。――<「はじめに」より>

感想・レビュー・書評

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  •  著者のカウンセリング経験で見つけた、回復に向けての9つの関門についてかかれている。理想的なペースで回復した患者を例にとり、各関門でのメールでのやり取りや、その段階の対応方法、回復後の患者の振り返りなどを順を追って書かれてる。
     周りから見ているだけでは分からない、当人の思いが分かり、とても参考になった。社会復帰の段階にかなり時間がかかることに驚いた。(社会復帰中の社員との摩擦と対応方法については、『「困った人」にひそむ「うつ」』下園壮太著が詳しい)
     かなり環境に恵まれた人の回復事例であり、他の人に適用できるか疑問ではあるが、回復の順番と期間、当人の心境を考えるのにとても良い本だと思う。

  • 自衛隊でカウンセラーをしていた著者が、
    実際にカウンセリングした患者さんをモデルケースとして、
    うつからの回復への道筋を書いた本です。


    さすが多くの患者さんのカウンセリングをしてきただけあって、
    うつ病患者の心のうちをと~っても良く把握されています。


    『うつ状態の人は、表面的にはにこやかにしていても、心の中ではさまざまな葛藤がうずまき、対人恐怖を持っているのが普通だ』


    『うつ状態の人にとって、仕事を休むのは本当につらい選択なのだ。それは、単に仕事を休むという表面的な問題ではなく、自分が持っていた“強い自分”“信頼できる自分”というイメージを捨ててしまう苦しさ、つまり自分の価値観との戦いなのである』


    まさにそうです!


    さて、では、どうすればそんな辛いうつ状態から回復していけばいいのか。
    著者の考えでは、
    徹底して「休息」すること
    ーです。


    モデルケースとなっている患者さんが、
    休職し、そして復職する過程が詳細に語られていますが、
    正直、
    「復職してから、こんなに休まなきゃいけないの?」
    と、驚きました。
    一ヶ月後には1週間休み、
    その後も頻繁に、3日から1週間の休みを取っています。


    『今やらなければならないのは、仕事のプロになるのではなくて、自分管理のプロになることです。仕事のことを考える暇があるのなら、どうすれば自分のことをコントロールできるかを考えてみてください』


    とのことですが、
    やはり、頻繁に休むというのは、
    「自分、会社の戦力になれていない。不要な人間なのではないか」
    という思いを強めてしまうことにならないでしょうか。
    というか、私ならそう思ってしまいます。
    そう思わないための、著者の上記の言葉なのだと思うのですが、
    それにしても、これだけ復職に積極的な会社というのも、
    かなり恵まれた環境ですよね。


    『「上手に休めない」のには、二つの大きな理由がある。ひとつは“しがみつき”ということであり、もうひとつは、“休み方を知らない”ことである。
    Oさんのように、これまでがんばることで困難を乗り切ってきた人は、ピンチになっても「がんばって、この困難を乗り切ること」にしがみついて、結果的にゆったりとした時間を過ごすことができない。
    「ゆっくり休め」と言われても、ゆっくり過ご方法自体、どんなものがあり、どんな効果があるかも知らないのだ。
    また、Oさんのような若者は本来エネルギーにあふれている。少し時間があると新しい刺激を求めたり、自分を成長させたりと、何らかの行動し始める』


    『それにしても、うつのリハビリ期にある人は、どうして少し調子がよくなると活動し始めてしまうのだろう。すぐに仕事をしてしまう人のほかに、体を鍛えてしまうhじと、サウナに入って疲れてしまう人、買いものに出かけて体調を崩す人。しかもそれを懲りずに繰り返してしまう。
    いくつか理由が考えられる。前に紹介した“しがみつき”の問題、魔法を求める気持ち、休むことに対する罪悪感・・・。』


    うん。
    まさに私はこのタイプかも。
    「休む」ということが、
    とても難しいタイプです。
    「頑張って治さなきゃ」ってなっちゃう。
    とくに今回のはそうですね。
    以前の「どん底うつ期」より、エネルギーがある状態で、
    この時間を活用して、自分を高めるにはどうすればいいか?
    とか、考えて、
    でも結局、目標に届かなくて、
    自己卑下ばかりしまう、というサイクルにはまっています。


    正直、著者の休息サイクルは、
    休み過ぎでは?
    とも思いましたが、
    多くの患者さんを快方に向かわせてきた実績があってのことでしょうから、
    私も、自分の生活の見直しをしたいと感じました。

  • うつ状態の人は表面的にはにこやかにしていても、心の中で様々な葛藤がうずまき、対人恐怖を持っているのがふつう。
    ポジティブシンキングは期間限定のストレスには対応できても、長期的なストレスの場合、適当な回復の基幹を入れるという行為を阻害してしまうから、うつが悪化していく。
    うつになると頭が回らず、結審ができなくなる。
    心が強くなるためには、ある茂樹を乗り越える必要がある。
    うつは人生の学習。人生において戦う武器を増やすものだ。

  • こんなカウンセラーさんと出会えたら、いいなぁ…
    と読んでいてちょっぴりせつなくなりました。

    これほどまでに、うつを寛解・克服するっていうことが難しいものなのかと、ちょっと凹みながらも、難しくても寛解・克服できるんだと思えた本。

    少し回復してきてから読むことをお勧めします。

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  • うつを正しく認識する
    o 疲労が蓄積し、弱った体を守るための防御機能が働いている状態
    o 不安:外敵の接近を警戒する。不眠
    o 怒り:外敵に対する威嚇
    o 驚き・興奮:敵との戦いに備え、緊張状態にする
    o 焦り:エネルギー回復のために働きかける
    o 悲しみ:エネルギー消費を避けるために、やる気と元気を低下させ、活動を抑制する

    うつの対処
    o 何もしないことが一番の近道。自宅から離れてのんびりするのが一番いい
    o 長い時間との戦い。数カ月、数年単位で回復する

    休む決心をするのが難しい理由
    o がんばることで自信を取り戻そうとする(しがみつき)
    o 本当に苦しいのか、まだ耐えるべきなのかと考えてしまう
    o 長期休養や治療を「逃げ」と感じる

    休む決心をするポイント
    o 耐える意味のないストレスがあることを知る:耐えられるレベル以上の刺激を受けると、それを避けるようになる(トラウマ)。不眠、食欲不振、体重減少、作業能率の低下、身体の不調感は兆候。苦しみに耐え続けることが、その仕事に対してトラウマをつくることになる。休まない判断をすると、心を弱くする。
    o 客観的な仕事量で判断しない:他人や自分の若い頃と比べない。休んでも疲れが抜けない、自分がいない方がみんなが喜ぶだろうと感じる、どこか遠くに行きたいと考える、自分のことを忘れてほしいと考える、誰も味方になってくれないと感じる、自分の苦しさを誰も理解してくれないと感じる、怒りなどの衝動をコントロールできないと感じる、人とのかかわりを避けて引きこもったりする場合などが目安
    o ひとりで治したいと思わない:ひとりでいること自体を危険だと感じてしまう。不安や怒りを強くし、うつが深刻になる。

    休み方のメニュー
    o いいところ探し:心地よい刺激を意識化する。目についたもの、感じたもの、考えたこと、感心したこと、嬉しかったこと、ありがたいと思ったことを見つけることを習慣化する
    o 自分の呼吸を100まで数える
    o フォーカシング:自分の心の中で無意識の自分と会話する
    o 音楽を聴く、歌う、楽器を演奏する
    o 歩く:リズミカルな運動なので、セロトニンの働きを高める
    o 朝の体操
    o 短歌・俳句・川柳:言葉を使う。楽しい感情を持つ
    o 座禅
    o 動作法:非常にゆっくりした動作をしながら、その姿勢を保つ最小限の力を意識する
    o 掃除、整理、植物の手入れ:やり過ぎないように、一か所だけにする

    隠すより、わかってもらう努力をする

    知覚できない疲労をコントロールする
    o 疲労を感じられない体質になっている
    o だるさ、めまい、軽い頭痛、肩こりなどの体の変調、人と会いたくない、テレビを見たくない、音楽が耳障りと感じるなどの前兆で判断する。体調を記録して、時間でコントロールする

  • 自衛隊のメンタルヘルス対策を行っている下園壮太二佐の本。
    完全脱出をはかる患者の人が若い人で、中年の人がストレスで発症するケースとはちょっと違う。

  • 欝は‘心の風邪’なんかじゃない!
    この病気には、バイオリズムめいた波が存在します。
    他の本がさまざまな症例を細切れにして見せてくれるのに対して、この本は一人の方の症例を時系列に連続で語ってくれる。
    ということもあって‘症例’というものにこれほど肉薄し、実感しやすい本をまだ読んだことがありません。
    鬱病者本人はもちろん、関係せねばならない近親者の方々に、
    ‘普通に見えても消耗してグッタリ’な心のうちと、
    ‘また重くなってもいつか軽くなる’という実感を抱いていただきたいもんです。

  • 評価を廃して「こういうもんなんだ」とわかりやすく見せてくれるところが良い。
    周囲の人よりも当事者向け。
    具体的な脱出法というよりは、「なんだ自分だけじゃないんだ」という安心感を与えられる感じ。

  • 烏兎の庭 第三部 箱庭 12.29.07
    http://www5e.biglobe.ne.jp/~utouto/uto03/diary/d0712.html#utu

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著者プロフィール

【下園 壮太】(シモゾノ ソウタ)

メンタルレスキュー協会理事長、元陸上自衛隊心理教官。陸自初の心理幹部として多数のカウンセリングを経験。その後、自衛隊の衛生科隊員(医師、看護師、救急救命士等)やレンジャー隊員等に、メンタルヘルス、カウンセリング、コンバットストレス(惨事ストレス)対策を教育。本邦初の試みである「自殺・事故のアフターケアチーム」のメンバーとして、約300件以上の自殺や事故にかかわる。平成27年8月退職。現在はNPOメンタルレスキュー協会でクライシスカウンセリングを広めつつ、産業カウンセラー協会、県や市、企業、大学院などで、メンタルヘルス、カウンセリング、感情のケアプログラム(ストレスコントロール)などについての講演・講義・トレーニングを提供。著書50冊以上。

公式HP: http://www.yayoinokokoro.net/

「2023年 『ワーママが無理ゲーすぎてメンタルがやばいのでカウンセラーの先生に聞いてみた。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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