発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ (健康ライブラリー)

著者 :
  • 講談社
4.19
  • (35)
  • (41)
  • (8)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 711
感想 : 39
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062596848

作品紹介・あらすじ

親からの適切な「言葉かけ」で、発達障害の子どもは大きく伸びる!
家庭で楽しみながら行える、ABA(応用行動分析)を利用した「言葉かけ」の方法を具体的にわかりやすく紹介。

《毎日の生活のなかで、すぐできる!》
・手を洗うときの言葉かけ
・散歩のときの言葉かけ
・いっしょに料理をするときの言葉かけ
・食事をしながらの言葉かけ
・遊びながらの言葉かけ       など

《こんなことで悩んでいる人に役立ちます》
1 子どもが目を合わせてくれず、声をかけても反応がなく、どう関わっていいかわからない  
  ……簡単な遊びで心を通わせるコツがわかる
2 言葉が遅れているけれど、どのように話しかけていいかわからない
  ……日常生活のなかでタイミングよく言葉かけをするコツがわかる
3 一日じゅう子どもを叱っていて、イライラする
  ……子どもの行動を客観的に分析し、対処するコツがわかる
4 何度同じことを言っても、子どもが言うことをきかない
  ……子どもに届きやすいように指示を出すコツがわかる
5 子どものどこをほめていいかわからない
  ……子どもが普通にしているときにほめるコツがわかる

〈本書の内容〉
第1章 ABAを利用した言葉かけのすすめ
第2章 ABC分析で子どもに対するイライラを減らそう
第3章 ほめ上手になろう
第4章 遊びを通して親と子のいい関係を築く
第5章 叱るとき、指示を出すときの言葉かけ
第6章 子どもの問題行動への7つの対処法
第7章 子どもを伸ばす日常生活での言葉かけ
第8章 ABAを利用した働きかけを続けるための7つの鍵
第9章 子どもの療育にのぞむあなたに伝えたいこと

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 再び妻に読むように勧められたため読んだ。前回は「グレーゾーン」の子供に関する理解を深める本だったが、今回はそうした子供の言語習得や行動を手助けする機会利用ABA(応用行動分析)を利用して、家庭でもできる効果的な子供への接し方を漫画も含めてわかりやすく解説する実用書であった。

    個人的には、大変わかりやすく、なおかつ実践も比較的容易で、手法も納得のいく接し方が十分網羅されているように感じた。療育に疲れる親への心の持ち方も参考になった。是非我が家庭でも実践したいと思う。

    以下、備忘録
    ・機会利用ABA(応用行動分析)
    ・課題を細かく分ける(スモールステップ)、成功体験を重ねて子どもの自己肯定感を高める。できなくても「頑張ってるね」等の過程を笑顔で褒める。
    ・臨床心理学では、セラピストと対象者が互いに信頼する状態を築くことを「ラポール形成」と呼ぶ。大人が率先して楽しむことが重要
    ・間違えて頭を叩く場合→手を押さえ「あっ、間違えた」と言えばいいんだよーと教え、スキンシップをとったり、面白おかしく問題を解いたりする。
    ・できない課題には手助け(プロンプト)、やり方のお手本、指差しプロンプト、できたら褒める。
    ・コンプライアンス、子供の言いなりにならない、拒否されても笑顔で無理やりでもオッケー。
    ・言語学習には繰り返し学習が有効
    ・最後は必ず褒めて終わらす
    ・課題を設定・記録。短期間の繰り返しが重要
    ・問題行動の適切な対処法を導き出すためにABAで活用されるのがABC分析。ある行動を前の状況→行動→結果に分け、その行動がどういった状況で起きたかまで遡る。お菓子をねだって泣き喚く→親は屈さない→我慢できたことを褒める。Aを変える場合なら、事前通告もアリ(ちゃんと「わかった?」と確認)
    ・褒め言葉を台無しにする言葉かけに注意
    ・指差し声かけ「あっ!」「あー!」から。宝探し遊びもよし
    ・指示の出し方。できるだけ肯定的な言葉がけに、「歩こうね」「コップしっかり持ってね」「片付け終わったらテレビ見ようね」
    ・子供に届きやすい指示の出し方。そばに行って話しかける。注目させるには目を合わせて話す。「さっきなんて言ったかな?」
    ・イントラバーバル(会話を続ける力)親「赤信号は?」→子「止まれ」、親「靴を」→子「揃える」
    ・子供への指示は具体的に。ひとつずつ順番に。事前にイントラバーバルするのもよし
    ・子供が何かこぼしたら「あっ」と指差し注目→「こぼれちゃったね。どうしたらいい?」→「台拭きでふくんだよね」「どうしてこぼれたのかな」
    ・かんしゃくおこしたら、抱き寄せて数字をカウント
    ・子供が注意を引くために問題行動する場合、あえてスルーして、良い行動はほめる。ゲームに負けてかんしゃく起こしたときは「悔しかったね」と声かけ
    ・マンド(要求言語)トレーニング。子供に「ちょうだい」を言わせる。
    ・①子供の言葉や動作をまねる、②動作や気持ちを「子供の言葉」で代弁(リズムをとったりする)、③親の気持ちや行動を実況中継(単語を一語ずつ区切る)、④子供の言葉に新たな情報を付加。子供の言い間違えは頭から否定せず、笑顔でさりげなく言い直し、その後プロンプトで言わせてみる。
    ・「つぶやきプロンプト」。親が先に子供の言うべき言葉やヒントをつぶやき、それに続けて子供も自身の言葉を引き出す。親「洗面所で手を洗おうね」→「どこで手を洗うんだっけ?」と聞き、子「洗面所」を引き出す。ある程度言えてきたら、プロンプトをとって2つ目から質問
    ・子供の反応が悪い時は「マイク作戦」
    ・散歩中に子供が抱っこしてほしそうなら、「抱っこ」と言わせたり、カウント10を活用
    ・料理は絶好の子供の成長機会
    ・食事の前、子供に配膳を手伝わせたりする。
    ・食事中は、「ちょうだい」を引き出したり、「〜ほしい?」「うん」(ジェスチャー付)とプロンプトする。
    ・好きな食べ物をわざと遠ざけたり(笑顔)して、「これは?〜」と名前トレーニング
    ・マンドやものの名前を教えるトレーニングは子供がある程度食欲が満たされたときにやる。
    ・子供がいじめを受けていたら、「パパが守るから大丈夫!つらかったね、よく話してくれたね。ありがとう」と安心させる言葉がけ。いじめっ子に「次やったらお母さんに言うからね」と警告、「いじめられた子はどんな気持ちだったと思う?」と問いかけるのも有効。親との信頼の基に、子供に嫌なことはいやと意思表示させることも大事

  • 良書!行き詰まった時に何度でも読み直したい。
    発達障害を持つ子だけではなく、すべての子の子育てに役立つと思う。内容がスーッと入ってきた。
    イラストもとても分かりやすい。

  • これは万人にも共通する言葉かけの本だと思う。
    自分自身にもこの本のように向き合っていけたら、すごいんじゃないかと感じます。

  • 応用行動分析に基づいた声掛けの具体的方法が示されている。
    イラストも多く、とてもわかりやすい。
    発達障害の有無にかかわらず、子供と接するときに非常に役立つので、応用行動分析?と尻込みせず、子育て奮闘中の保護者はもちろん、教育関連に携わる人も是非手にとってみてほしい。
    読んでみて損はない。

  • 子どもへの言葉かけが具体的に書いてあり、参考になりそう。何回も読み返したいと思います。

  • 応用行動分析が分かりやすく説明されていて、ご家庭ですぐできそうです。

  • 応用行動分析での指導について、4コマ漫画はとても分かりやすかった。褒め方、遊びの効果など、ポイントになる部分を理解することができた。実践するのは、難しいが、頑張ろうと思った。

  • 教育関係のお仕事をされている方にもオススメ!子どもをどう支援するか、スモールステップとはどういうことか、どんな言葉かけをしていけばいいか、が具体的な事例を元に書かれています。お子さんの発達に悩む方だけでなく、全ての教育場面で必要な言葉かけがよくわかります。

  • 勧められて読みました。発達障害のある子どもはおろか育児の経験すらありません。発達障害に関しての知識は、ないに等しいです。
    結論から言いますと、読むように頼まれた本だったので最後まで読みましたが、子どもとの接し方において新しい発見みたいなものは特になかったです。

    子どもとの向き合い方の内容はほとんど普通、というか当たり前の内容でした。声を掛けても全く反応が無い、また、まだ言葉が話せない子どものお世話をした事はありませんが、私自身小学校4年生くらいまでは、年長者が他にいないこともあり近所の子供たちの面倒を私一人で見ることも多く、その際は本書に書かれている内容で応対していました。弟妹を連れて来る子もいたので3歳くらいの子も何人かいましたが、定型発達の子どもならこの本に書かれてある内容でまず問題なく交流出来ると思います。

    18〜19ページに書かれているプロンプトやコンプライアンス、スモールステップなど、ABAを利用した働きかけにおいては、真新しいどころか、そもそも子どもとの向き合い方はこれ以外想像できませんが……。子どもというのは放っておいても勝手に育つ、と聞いたことはありますが、まさか本当に自主性に任せる訳でもないでしょうし、気になりました。


    新しい発見こそなかったものの、本書を読んで強く感じたのは、いかにワンオペ育児が辛く厳しいだろうかということです。
    強固なオウム返しについての内容を読んだ際に思い出したのですが、子守りしていた近所の子どもたちの中に、この例のように強固なオウム返しをする子がいました。私自身『まだ上手く話せないんだなぁ、でもそのうち話せるようになるのだろう』と思い、深く考えずオウム返しと向き合っていました。おかしなやりとりをしていると興味を持ったほかの子たちも声を掛けに来ました。声を掛けに来る子はサポートしたいと思う時だけこちらへ駆け寄り、解決すると自分の遊びに戻っていました。うまく会話出来ないことに対応出来ずに困ってしまう子や、その子と関わり合いたくない子は離れて遊んでいてちょっかいをかけることはありませんでした。サポートしようと思う者だけが周りから「この時は『〇〇』だよ」「〇〇って言うんだよ?『〇〇』」「〇〇」とみんなで明るく声を掛け続けていると、いつの間にかオウム返し自体なくなっていました。

    たまたまそのように感じただけかもしれませんが、本書の内容を鑑みると、負担の少ない状態での余裕のある応対が功を奏したのかも知れないなと思いました。そもそも、周囲の環境によっては、いじめや意地悪の対象にされてしまいやすい特徴のある子どもこそ、衆人環視の下で負担を減らしながら見守りサポートすることが必要なはずだと思うのですが、家族という窮屈な枠組みのみで賄わなければならない現代の日本の育児環境の劣悪さを改めて思い知りました。家族は休む間も無いのだろうと思うと、居た堪れません。実際の育児は想像以上に過酷で、18〜19ページの応対方法が頭でわかっていてもこんな風に応対出来ない、というのが実情でしょうか。





    以下、本書を読んで気になった点です。

    まず、ファーストフードで実際にオーダーさせてみるという項目のところに、(書かれておらずとも当然の事なんですが)「空いている時間帯を選んで」だとか「実践する際にスムーズに行えるよう練習は充分すぎるくらい行ってからにしましょう」くらい書いておいて欲しかったです。あと、大切な経験を積ませてもらうのですから、店員ではなく店員さんなどの表現の方が好ましいのではないかと。

    あと、言葉かけのチャンスがたくさんあるという表現が「転がっている」になっていたり、さまざまな種類の質問を織り交ぜることで語彙力や会話の能力を高めるようにとの表現が「角度のちがった問いを次々と投げかけることで」とあって『次々に質問をしてしまうとパニックになってしまうのでは』と気になってしまいました。

    特にモヤモヤしたのは、91ページの問題行動について書かれている項目で紹介されていた自閉症の当事者Aさんについてです。Aさんは普段から著者と交流のある方なのか、ただブログを見て知っただけなのか気になりました。突然名前を出す必要がわかりませんでした。

    22ページの平均台での花子ちゃんの親御さんや、141ページの「オレはオレ流でいく」のエピソードも、わざわざ書かなくていいのになと思います。

    そして友達に耳元で「『死ね』とささやかれ続けた」や、「うんちを少し洩らしていた」などの内容を、著者のお子さんたちは本に載せてもよかったのかな、と心配です。いじめに関しては、数週間も耳元で囁き続ける行為は陰湿かつ悪質で、友達ではないと思うのですが。

  • イラストが多く分かりやすい。4コマ漫画をざっと見るだけでも要点が掴めるのでお勧め。応用行動分析を使った子育ては発達障害児に限らず有効だと思うので、自分の心を広く冷静に保つためにもいい本だと思う。

全39件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

編集協力 Shizu 
ASD発達支援アドバイザー。主著に『発達障害の子どもを伸ばす魔法の言葉かけ』(講談社)、『発達障害の子と親の心が軽くなる ちゃんと伝わる言葉かけ』(KADOKAWA)。

「2022年 『靴下は今夜も宙を舞う』 で使われていた紹介文から引用しています。」

shizuの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×