天上の虹(4) (講談社漫画文庫)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (434ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062606851

作品紹介・あらすじ

里中満智子のライフワーク「持統天皇物語」舞台は古代大和。人々は真の国づくりに情熱を燃やし続ける。そして、その激動の歴史をあざやかに生きぬいた気高く美しい女性がいた!

感想・レビュー・書評

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  • 万葉集の世界は、恋に正直でおおらかな時代を感じさせるが、どっこい政治の世界は今と変わらずドーロドロ。

  • 十市、武市、讚良・・つらい。

  • 鸕野讃良皇女は大海人が天皇になったので、皇后となる。

  • 讚良27歳から34歳。大海人が天皇に、讚良は皇后に。強力な天皇制を確立すべく夫婦で手を携えるも…(元)妃同士のそねみ妬みや上下関係、繊細な少年同士の人間関係は一筋縄ではいかず、どのようなできごとも草壁皇子第一の讚良の謀であるかのような噂がながれるまでになり、そして十市皇女の悲劇へ。

    第18章 天武天皇
    第19章 飛鳥浄御原宮
    第20章 十市皇女
    第21章 わかれ道
    第22章 少年たち
    第23章 山吹の女
    第24章 星祭り

    読めば読むほどに「ねこねこ日本史」の持統天皇の巻のまとめかたが的を射ていると感服してしまう(まあ、こうした作品の解釈を参考にしてああなったという順序かもしれないけど…)。

  • 日本古代を舞台にした男と女の物語。主人公は大海人皇子の正妃・讃良皇女(後の持統天皇)だが、その他にも大勢の登場人物がいて、様々な人間関係を築く。第4巻では壬申の乱を終えた大海人皇子が天武天皇として即位し、権力基盤を固める過程で、天皇の女性関係や優柔不断な息子・草壁皇子の教育に悩む讃良皇女を描く。そしてクライマックスは、高市皇子と十市皇女の悲恋。本当にそんな気持ちを抱いていたかは分からないが、人の心は昔も今も変わらないのではないかとも思わせる。

  • 中大兄皇子亡き後、有力な後継者である彼の長男、大友が自殺。
    大海人が新しい天皇となり天下を治める事となる。
    それにより、大友と結婚していた十市と彼女を想い続ける高市は晴れて結ばれると思いきや・・・彼らの立場がそれを許してくれない。

    大海人が飛鳥に戻り、新しい宮殿を建築する中、皇后となった讃良は夫の妻たちに嫉妬するよりも皇后として接し、その子供たちすべての母になろうと決心する。
    それなのに、讃良は自分の子、草壁を跡継ぎにするために画策しているという噂が立ち、その噂に傷つく讃良は体調を崩してしまう。

    讃良は思う。
    自分の夫である大海人は天性の人徳があるからこんな噂は立たないだろう。
    という事は自分はそれがない?
    自分が人に与える印象がそういう噂を立たせるのではないか?
    そう。
    権力者で冷たい自分の父親、中大兄皇子のように・・・。

    夫を政治的手腕で支えるという、他の妻たちには出来ない事をし、皇后という位で保たれるプライド。
    でも夫に愛されてないという思いは彼女の心を頑なにさせ、冷たいイメージを周囲に与えるようになったのだと思う。
    普通の女性ならそんな孤独感や惨めさにとっくに押しつぶされていたかもしれない。
    でも彼女は持ち前の強い性格で何とか自分を支えてきた。
    だけど、その強さも打ち砕かれ、弱気になった事で倒れてしまった。

    讃良の亡き姉の娘、大伯は綺麗なものを見て欲しいと思った時、心の中で母親に聞くと言う。
    すると、
    「大伯-。それはあなたの人生にとってほんとうに必要なものなの?
    人間にとってほんとうに必要なものはたった一つだけよ
    欲しいものをつぎからつぎへと手に入れることに慣れてしまうと・・・
    いつか自分のほんとうに欲しいものを見失ってしまうわ」
    という母親の声が聞こえるのだと言う。

    そんな人ですら生きていた頃は嫉妬に苦しんでそんな自分に自己嫌悪を抱いていた。
    姉に「愛されたがりやさん」と呼ばれ、「もっと、もっと」と望む讃良にとって、たった一つだけのものである「愛」が得られないというのはどれだけ心にポッカリと穴をあけていただろう。
    愛の代替を他に求めて一瞬は満足しても空しくなるだけ・・・。

    この文庫版のあとがきに、読者から「悪女の讃良をこんな立派な女に書いて許せない」といった手紙がしょっちゅう届いていたとありました。
    でもこのマンガを読んで、作者は歴史を詳しく勉強されているし、その中で自分なりの解釈で作品を作り上げるというのはあって当然だろうと思いました。
    教科書の内容もちょこちょこ改訂されるように、結局細かい部分の事実は想像に頼る部分も必要なのだろうと思います。

  • 待てないのも若さなのかな…
    十市皇女、しあわせになってほしかった。

    十市は、あのとき何がなんでも
    一世一代の嘘をつくべきだったとわたしは思う。

    嘘からマコトを生んだ額田のように。
    嘘からマコトに気づいた額田のように。
    それは大友だけでなく、きっと十市も救うことになったのに。

  • 2010.05.04

  • 壬申の乱が決着した後、一番つらかったのは額田の娘の十市でしょうね。十市皇女と高市皇子の悲恋が描かれます。一方、天武天皇の皇后として政府の実力者となっていく讃良(さらら)。妻としては嫉妬に苦しみ、大事な一人息子のひ弱さに気を揉みますが…

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著者プロフィール

マンガ家。第1回東アジアMANGAサミット事務局長。1948年大阪府生まれ。16歳のとき「ピアの肖像」で第1回講談社新人漫画賞受賞をし、プロのマンガ家生活に入る。その後数々のヒット作を生み出し現在に至る。主な作品に「アリエスの乙女たち」「あすなろ坂」「鶴亀ワルツ」他多数。「あした輝く」「姫が行く!」で1974年講談社出版文化賞受賞。「狩人の星座」で1982年講談社漫画賞を受賞。マンガジャパン事務局長。(社)日本漫画家協会常務理事。大阪芸術大学芸術学部文芸科教授。文化庁文化審議会著作権分科会委員などを歴任。

「2005年 『アジアMANGAサミット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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