ふたりのイーダ―子どもの文学傑作選

著者 :
制作 : 司 修 
  • 講談社
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本棚登録 : 109
レビュー : 26
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062611558

感想・レビュー・書評

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  • この版でたしかに子供の時読んだんだけど、情けないことにやはりぼーっと読んでいたらしく、細部は初読みと同じ。これはちょっとしたミステリー文学だし、何と言っても趣旨は明確。児童文学ながら、大人が読んでも十分引き込まれ、エピローグがすばらしい。著者のご逝去をきっかけに再読した。また未読の作品も読みたい。優れた児童文学はぜったいに必要。楽しいものだけでなく戦争や災害を語り継いでいくこともぜったい必要。

  • 何十年ぶりに読んだ。
    子どもの頃は椅子が動いて喋るのとイーダのイメージが怖かった。
    ストーリーそのものより印象に残っている。
    久々に読んでみて驚くのは松谷みよ子の巧さ。
    長崎源之助や早乙女勝元もたくさんの戦争もの児童文学を残している。
    そのこと自体は素晴らしいが、ストーリー自体はそう面白くないというのが正直なところ。
    戦争を全く知らない子どもたちに読ませるには、物語としての力が必要だが、これにはそれがある。
    子どもを探してさまよう椅子、冥界とつながっているのではないかと思わせる童女、少年の冒険、そして最後の結末の鮮やかさ。
    松谷みよ子は好きな作家ではないが、このころの作品には言い知れぬパワーがあって、好き嫌い関係なく惹きこまれてしまう。
    絵が暗いので敬遠する子が多いけど、これはこの絵だから生きる物語。
    ぜひ小学生のうちに読んでほしい。

  • 子どもの頃(低学年)から、何度、読み返したか、わからない。おそらく、最初に「ヒロシマ」のことを考えるようになったのは、この物語がきっかけだったのではないだろうか。
    この物語はファンタジーでもあるが、ちょっとぞっとするホラーでもあり、松谷みよ子にしては珍しく(?)、謎解き仕立てになっている。
    ある暑い夏休み、直樹が一人で動く不思議な椅子に導かれて、古い洋館に辿り着く。いったい椅子は誰を捜しているのか、どうして洋館は無人になったのか、住民(おじいさんとイーダ)はどうなったのか。2605年という未来の日付は何を意味しているのか。
    仲良くなったお姉さん・りつ子とともに、その思いもかけない謎を解いていく。
    何度、読み返しても、最後の謎解きの手紙を読みながら、どうにもやりきれず、泣きたくなる。
    イーダは洋館に戻れるだろうか。しあわせな日々はよみがえるだろうか。
    「イナイ、イナイ、ドコニモ、イナイ……」
    イーダを探し続ける椅子のつぶやきが、切ない。
    これは、椅子のつぶやきでもあるし、同じように子どもや家族を亡くした人たちの心の声でもあるのだろう。

    ちなみに、物語の中の年が1970年代頃だろうから、今から、もう50年以上前になる。そのため、子どもが読んで、スムーズに物語の時代に入り込みにくくなってしまっているのが残念。
    大人になった直樹が、子どものころを思い返す設定にしないと、今の子どもには、ピンとこないのではないだろうか。

    この後、「直樹とゆう子の物語」というシリーズになる、その第1作となっているが、当初は単独の独立した物語だった。

  • 小学校1年生の頃、映画を観た。それからトラウマになり、表紙を見るのも怖かった。あれから40年余の中で読んだことあったはずなのに、初めて読んだような気もする。心が震えて言葉にならない声が出た。

  • 図書館で借りた本。
    夏休みのある日、4年生の直樹はもうずぐ3歳の妹ゆう子と一緒に、おじいちゃんの家に預けられることになった。
    たまたま迷い込んだ藪の中で、小さないすが「イナイ、イナイ」と行って歩きまわっているのに遭遇する。
    いすについて行くと、廃屋に行きあたった。この家に昔住んでいたのは、誰なのか。いすは誰を探しているのか。8月6日のままの日めくりカレンダーは、あの出来事へと導いていく。

  • 図書館にて。
    むかーし、小学生の頃に、たまたまテレビでやっていたこの物語の映画を見たことがある。
    古びた椅子がギーコギーコと歩くシーン、孤独なつぶやきとイーダと遊ぶ楽しそうな様子(椅子なのに楽しそうに見えた。名演技だったと思う)、本当のことを知ってばらばらになるすごく怖いシーン・・・。
    何もかもが自分の中にうもれていた映像の記憶と文章が重なって、くらくらするようだった。
    昨日までの幸せな生活を一瞬で破壊する戦争の怖さ。
    この椅子がいうようにほんの昨日の出来事で、また明日起こるかもしれないのだ。
    ラストのりつ子からの手紙で、イーダがまたあの洋館で椅子と幸せそうに過ごしている風景が目に浮かんで、涙が止まらなかった。
    多くは望んでいない、昨日と同じ今日がまた過ごせますようにと願わずにはいられない。

  • 子供の頃に読みました。いすがつぶやきながら歩くシーンが印象的で、大人になってもこの本を手に取ると、そこだけが思い出されました。何故後半部分が記憶から抜けてしまっていたのか、大人になって読んでみて驚いてます。

  • 脳内に情景が描かれる本は良い本だ。

  • 小学生のときに読んだ本。
    戦争についての記憶をもつ椅子のおなはし。

    イーダの甘い空気と夏のけだるい雰囲気がだいすきでした。

    もういちど、読みたい本。

  • 小学校の時、文部省の推薦図書として読んだ一冊だったと記憶しています。表紙のイラストが印象的で、少し恐ろしくもあり、手にすることが怖かった(これは、同じ時期に読んだ『死の国からのバトン』(おなじく松谷みよ子)も同じ)。感想文だけでなく、感想画も描いたはずですが、今ではそれがどこにあるのか思い出せません(そういう意味で、今の時代はいいですね。デジタルに保存ができますから・・・)。

    原爆のことを扱った作品とあり、とても深く染み入るものがあります。現代の日本では原発事故のことを巡って、放射能の危険性などさまざまな情報がいきかっていますが、私はそれらの数値や影響の度合いなどといったことはもちろん大切だけれど、生命体は記憶を運ぶ存在である、という、そのことの重みを忘れないことこそが大切なことなのではないかと、別の次元のことかもしれませんが、そのことばかりを考えており、この本を読んでその想いを益々強くしました。 (2011.5.24)

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松谷みよ子の作品

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