ワイルド・スワン (講談社ワールドブックス 10)

著者 : ユン・チアン

• 講談社 (1995年12月1日発売)

感想・レビュー・書評

[yuichiさんの感想 · 2010年4月1日]

古い伝統を持つ社会では、人の目はたえず人を向くようになる。物に向かない。自然に向かない。すべては、他「人」の評価のみ。そこに文化大革命の遠因がないか。ある意味で、人間ほどアテにならないものはない。だからこそ中国人は信義を重んじようとする。しかし、そこには人間しか存在せず、すべての人の目は、ただ人だけに向く。人を信じることは美しい。しかし人の正気を保つのは、物に直面する勇気である。かつての日本の狂気は、アメリカの「物量」に醒まされた。

[京都市図書館の洋書さんの感想 · 2008年7月16日]

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【京都市の蔵書図書館】下京

著者プロフィール

1952年、中華人民共和国四川省生まれ。文化大革命が吹き荒れた1960年代、14歳で紅衛兵を経験後、農村に下放されて農民として働く。以後は「はだしの医者」、鋳造工、電気工を経て四川大学英文科の学生となり、苦学ののちに講師となる。1978年にイギリスへ留学、ヨーク大学から奨学金を経て勉強を続け、1982年に言語学の博士号を取得。一族の人生を克明に描くことで激動期の中国を活写した『ワイルド・スワン』『真説　毛沢東』（ともに講談社）など、彼女の著書は世界40ヵ国に翻訳され、累計1500万部の大ベストセラーになっている。なお、上記の2作はいずれも中国国内では出版が禁止されている。

「2018年 『西太后秘録　下　近代中国の創始者』 で使われていた紹介文から引用しています。」