世界怪奇実話 (文庫コレクション大衆文学館 ま 2-1)

著者 : 牧逸馬

• 講談社 (1997年8月1日発売)

作品紹介・あらすじ

結婚するや否や花嫁を連続殺害する"浴槽の花嫁"のような猟奇殺人。パリ社交界に二十年にわたり女王として君臨した驚倒的大詐欺師。世紀の大遭難タイタニック号を描く海難事故もの。軍事スパイものに進化論裁判ものと、世界怪奇実話全三十三話から精選した十編を収録。一人三役の奇才が外遊して犯罪怪奇事件を渉猟し、綿密に描写し、読者の心胆を寒からしめる実録小説集。

感想・レビュー・書評

[sarurinko42さんの感想 · 2012年7月1日]

ノンフィクションてめっちゃおもしろいんだ。といっても大戦後のヨーロッパとかが舞台だから物語めいた雰囲気もあるんだけど。事件当時の、恐怖に包まれた町の様子とか、事件をネタに井戸端会議する人々の様子とか、警察のモチベーションとか、いろんな角度から事件を俯瞰して見られるのが楽しい。誇張表現で読者を怖がらせると言うよりは淡々と事実を、ときには悲惨な事件にもジョークを交えるような落ち着き、それでいて現場に著者自身が居合わせたかのような臨場感。時系列も、事件が起きた時点から始まり、過去に遡り、再び事件、そして結末というように工夫されていたり、どんどん引き込まれる。そして、文字で読む=想像力を働かせるゆえにじわじわくる恐怖、これは映像では味わえない、と実感。おもしろいので第二巻も迷わず購入です。

著者プロフィール

１９００－１９３５。作家。『新青年』などで活躍。谷譲次、林不忘と三つの筆名で、実話物、ミステリ、時代小説などで活躍した。

「2018年 『世界怪奇残酷実話 浴槽の花嫁』 で使われていた紹介文から引用しています。」