芭蕉魔星陣 (講談社文庫 い 31-10)

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  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630030

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  • H284月4日読了

  • 天和2年、朝鮮通信使として日本やってきた隆光則とその部下の玄武・白虎・青龍・朱雀の5人は、関ヶ原近くの隠し陵を訪れ、恨みを呑んで死んでいった怨魔皇帝をこの世界によみがえらせます。怨魔皇帝は、役小角、安倍清明、空海の三霊人を封じ、将軍綱吉に憑依して、この国の民を塗炭の苦しみに陥れることになります。

    一方、大学生の御子柴明(みこしば・あきら)は、関ヶ原近くの黒血村に生まれた英ミユキ(はなぶさ・みゆき)と交際していました。ところが彼女は、先祖代々殺人を犯してきた呪われた血を受け継いでおり、このまま生きていてはいけないと明に告げ、彼もミユキに引きずられるように睡眠薬を呑んで心中を図ります。

    しかし2人は死にきれず、生と死のはざまにある時泡という世界にたどり着き、怨魔皇帝に封じられている役小角と出会うことになります。役小角は、徳川光圀に仕えて全国を回っている忍者・松尾芭蕉のもとに明とミユキを送り込み、3人で協力して三霊人を怨魔皇帝の呪縛から解き放ち、皇帝の野望を打ち砕くよう指示します。

    タイム・スリップによって現代の大学生が江戸時代にやってきて悪霊と戦うという伝奇小説です。芭蕉が忍者だったという説を題材にしながら、お七による放火事件、大老堀田正俊が殿中で刺殺された事件、水戸光圀の『大日本史』編纂などの史実がストーリーの中でたがいにリンクしていくのがおもしろくよめましたが、突拍子のない設定にちょっと突いていくことができなかったのも事実です。もっとも、単純に楽しんで読めばよいのではないか、という気もします。

  • RPGゲームみたいな内容に、最初はあまり好みじゃないな……と思いながら読み始めたのだが。
    舞台となった江戸時代、将軍綱吉の御代で実際に起こった史実を、作者なりに解釈した場面が散りばめられており、興味深く読んだ。
    そこに、肉体を捨て時間を超越する存在となったという設定で、ずっと昔に活躍した安倍晴明、空海、役行者が出てくる……というのは少し詰め込みすぎで、敵との戦いが少々あっけなさ過ぎる感はあるけど。
    まあ、陰陽師が出てくるのならそこだけでも大好物。
    楽しかった。


  • 設定がおもしろすぎた。

    綱吉とか黄門様とか八百屋のお七とか。
    有名人が惜しみなく出てくる。

    もともと芭蕉忍者説ってあるんだけど、
    それをうまく利用したといえばまぁ。

    主人公2人のキャラクターがあまりパッとしなかったかな。

    せっかく芭蕉を使用するなら、もっと俳句を活用してほしかったなぁ。

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著者プロフィール

1954年、名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業後、TBSに入社。報道局在職中の80年に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念。独自の歴史観からテーマに斬り込む作品で多くのファンをつかむ。著書は『逆説の日本史』シリーズ(小学館)、『英傑の日本史』『動乱の日本史』シリーズ、『天皇の日本史』、『お金の日本史 和同開珎から渋沢栄一まで』『お金の日本史 近現代編』(いずれもKADOKAWA)など多数。

「2023年 『絶対に民主化しない中国の歴史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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