李歐 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 3511
レビュー : 540
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630115

作品紹介・あらすじ

惚れたって言えよ-。美貌の殺し屋は言った。その名は李欧。平凡なアルバイト学生だった吉田一彰は、その日、運命に出会った。ともに二十二歳。しかし、二人が見た大陸の夢は遠く厳しく、十五年の月日が二つの魂をひきさいた。『わが手に拳銃を』を下敷にしてあらたに書き下ろす美しく壮大な青春の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 銃に魅せられ、裏の世界に足を踏み入れていく一彰と、彼の前に突然現れ、心を奪っていった美しき殺し屋・李歐。
    暗い世界の渦にのまれながらも、十五年にわたり繋がり続ける、二人の男の物語。


    友情でもあり愛でもあり、二人の名のない関係性がとても強く魅力的。なんともいえない切なさが、見事に描きだされています。

  • うーん、一人の人間に魅せられて、人生をここまで貫くというのはなんとも小説的で、だからこそ面白いなぁと思った。

    そんなに李歐は魅力的なのか、と思ったけれど、よくよく読んだらものすんごく魅力的だった。

    とにかく頭がよくて格好いい、しかもそんな相手が自分と同じ魂を持っていて、約束を違えず、国境も時間も超えて自分を想っていてくれるとしたら。
    性別はもはや関係ない。

    しかし髙村薫はどうしてそんなにいろんな知識を持っているんだと常に驚嘆してしまう。
    興味の対象の広さと、それを掘り下げる知識の深さはマリワナ海溝並だ。

  • 李謳というキャラクターに引き込まれて魅了されて、読了後に思わず「うわー!」と声を上げてしまったくらい。
    そのくらい、眩しい。
    読み始めは文章の硬さと緻密すぎる描写に何となく苦手意識があったんですが、最後には気にならなかったです。
    李謳が素敵過ぎて\(^o^)/

  • なんというか平凡な主人公にずば抜けて魅力的な相棒?がいる感じ。それぞれに違う社会生活を営んでいるのにその世界は時折交差する。不思議な感覚で読み進むのが楽しかった。
    エキセントリックかつ、地味~な生活臭さと常に相反するものなのに魂が寄り添っている。
    二人のキャラクターがそれぞれに素敵。
    退屈しない一冊。たまに妙にドキドキさせられて『まったくもお』とひとりごとが出てしまう本だった。

  • 『わが手に拳銃』を下敷きにした、李歐と一彰の魂の物語、というものなんだろうなあ。わが手〜の方が刺々しいというか、なにかを削ったあとのやすりがけする前のざらざらとした感じで、こっちはやすりがけをしたあとのまろやかな感じを受けた。李歐と一彰の関係性にもう少し踏み込んだのがこっちなんだろうなあ。
    わが手〜でもそうなんだけど、李歐はやっぱりすごいな。これでもかというぐらい魅惑的に書かれているのもたぶん影響されているんだろうけど、一彰が李歐に対して激しい思いを抱く姿は脳内にありありと浮かんだ。李歐の持つ、どこまでも続く地平線の向こうみたいな底知れぬ壮大さに震えた。
    例の五千本の桜だけど、想像したら想像したでこんなことをしてしまう李歐ってほんとに…となった。さらりと挟まれる言葉に、くらくらきた。
    そして「父親が2人」は思わず笑ってしまったよね。

    (522P)

  • 『わが手に拳銃を』を大幅改稿改題した文庫版です。
    李歐も一彰も『わが手~』とは全然ちがいます。でもこちらの李歐も、「年月なんか数えるな。この李歐が時計だ。あんたの心臓に入っている」とか、やっぱり名台詞満載。お互いの心臓に接吻しあうなんて、なんだか艶っぽい…。
    あと原口組長の存在感がかなり濃くなってた!惚れてしまいそう。
    個人的には李歐と一彰が『わが手~』よりも美形&クールになっちゃったのがちょっぴり残念。でも、どちらも面白いです。こっちは艶っぽくて美しい。

  • ♪恋しちゃったんだ 多分 気付いてないでしょ

    って感じでした

  • なんて重厚な。なんて淫靡な。
    そして、なんて純真な話なのだろう。

    過去の作品『わが手に拳銃を』をもとに、書き下ろされた本作。
    それだけで、作者の登場人物に対する並々ならぬ追求心がうかがえる。
    話の構成はかなり完成度が高くて、当然ながら行き当たりばったり感はゼロ。無駄なエピソードがひとつもない。

    と、そんなもっともらしいことはさておき、、、何に魅了されたかって、それはタイトルでもある李歐その人。

    なんというか、とても妖艶なのである。
    そして、これでもかというほどの生きぬくための執念。
    その執念の塊が、何の望みもなく、死んだように生きてきた一彰と出会い、二人は惹かれあう。一筋縄ではいかない世界情勢に巻き込まれながら、絶壁と向かい合いながらも、李歐の存在によって、一彰は胸の奥の希望を強めていく。


    タグで”ハードボイルド”と在るのを見て、そうか、こういう小説がハードボイルドなのか、と思ったが、でも、それに留まらない精神の高揚をつれてくる、魅惑的な物語である。
    (後半はとくに、胸がキュゥゥンと絞りあげられる!)

    ああ、もう一度読みたい。

  • 李歐格好良いよ、李歐。
    ドラマ版はひこそがやったんだっけ。
    誰か豪華キャストで映画作ってくれないかなー。

    下町の工場、朝鮮系や中国系のおにーさん方、裏社会的きな臭さ、大陸の香り・・・そんな雰囲気がとても好き。
    大切な人の子供にプレゼントを贈ることについての漠然とした憧れは、ここに端を発するのかもしれない。
    そうそう、大学入ってからまさかあんなに繰り返し「在哪遥遠的地方~」と歌う羽目になるとは思いもよりませんでした。

  • 或る時は殺し屋、或る時は債権取引のトレーダー、或る時は密林のゲリラ…華麗に装いを変え、あたかも「舞う」ように世界を生きる『李歐』と、本文で「冷えた毒蛇」と称されるように、輪郭に冷徹さを纏いつつもその身の内側に、何かしらの熱を持つ『一彰』が大陸を夢見て長い長い旅をする――
    拳銃の硝煙の臭いと、ひとを惑わせるという桜と、ひとの死と、広々とした大陸。流暢な舞いと詩。それらが物語中に散りばめられている。
    その中でも特にうつくしく表現された、桜や舞いや歌声は、血の臭いに満ちた闇の中にあるからこそ、その美しさが一層際立つ。

    ひとにひとの魂に"惚れる"のに時間はかからない
    磁力のように引き合うふたりから目が離せなかった。


    正直に申しますと、序盤からかなりの間、どうにも読みのペースが進まず、これを読みきるという気持ちは徐々に小さくなっていった。しかし半分を過ぎた頃から、物語の歩むペースはテンポを上げていく。
    来るべき終わりへと、二転、三転を繰り返し、時代が変わり、ひとが変わり…それでも変わらないものがあった。物語中の変わらないものたるや、ひとを惹きつけて止まないものである…(少なくとも私においては)

    桜。大陸。一彰の夢。クライマックスのシーン。物語の締めくくりの部分はこちらがその風景を夢見ているのではないかというくらい、鮮やかだった。

    願わくば、大陸の覇者とその家族が、桜舞う彼の地で安らかな夢を見んことを

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プロフィール

高村 薫(たかむら かおる)
1953年大阪市東住吉区生まれ、現在大阪府吹田市在住。国際基督教大学教養学部人文学科(フランス文学専攻)卒業。外資系商社の勤務を経て、作家活動に入る。
1990年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞、1993年『マークスの山』で直木三十五賞、1998年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞、2016年刊行の『土の記』では大佛次郎賞、野間文芸賞、毎日芸術賞をそれぞれ受賞し、新たな代表作となった。
『レディ・ジョーカー』を境として、重厚な社会派ミステリーから純文学に転向。織田作之助賞選考委員を務める。

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