李歐 (講談社文庫)

著者 : 高村薫
  • 講談社 (1999年2月8日発売)
3.85
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  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062630115

李歐 (講談社文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりのザ・エンターテイメント小説にすっかりハマりました。
    高村薫さんの作品は『リヴィエラを撃て』以来。10年前くらいに読んだのか。覚えてないくらいだけど、面白かったのは覚えていて、だけど最初の取っつきにくさが邪魔をして選ばずにいました。ネットで『李歐』の評判を見て買っておいたのを、風邪で寝ているのがもったいなくて朦朧としながら読んでいた。

    主人公は吉田一彰という母親が中国マフィアと駆け落ちしてしまったという大学生。その生い立ちのため、すべてにおいて冷めています。ところが、アルバイト先のクラブで李歐という美貌の殺し屋と出会い、生に執着し始めるという。陳腐な言葉でいうと、互いの孤独を嗅ぎ取った出会いというのでしょうか。友情とも愛情とも意識させない絶妙な描写で、ぐんぐん読ませてしまいます。
    そこに、中国マフィアの陰謀や日本のマル暴さんの企み、最後にはアメリカ世界経済が絡み、そりゃあもう残酷かつハラハラの世界。
    冷徹で華麗な李歐はもちろんかっこいいのですが、一彰が幸せになってほしくて、幼いときにかわいがってくれたおじさんの鉄工場を継いで立て直してくれるところや所帯を持つところは、李歐と結ばれない哀しさを感じつつも嬉しかった。ラストの桜のシーンは圧巻で、ロマンに溢れています。
    ちょくちょくレビューで書かれていますが、一彰と李歐の関係が『BANANA FISH』のアッシュと英二の関係みたいなので、『BANANA FISH』も読み直したくなりました。(どちらも映画化しないでほしいような、してほしいような作品ですね。)
    あと、李歐が舞踏するシーンは『さらば我が愛、覇王別姫』のイメージもあるかな。李歐は背の高い綾野剛のイメージです。一彰はとりあえず松ケンで。

    『我が手に拳銃を』という作品を改訂したそうで、拳銃の描写がめちゃくちゃ克明です。申し訳ないが苦手分野のため、そのへんはまったく想像せずに読み飛ばしてしまいました。
    いずれ『我が手に〜』も読もうと思いましたが、いつになるやら。。

  • たぶんクライム・ノベルなんだろうなぁ~と思っていました。
    馳星周の作品みたいな。そしたらそしたら、さすが高村氏。
    それだけじゃぁ~終わらせないんですね~。読み応えバッチリ!
    主人公の青年は一見平凡な設定にはしてありますが、読み進めていくと結局は幼い頃から裏社会に接しています。そして出会うべきして出会う一人の美少年。
    むむむ、こりゃ~やおいモノか??とも思いましたが・・・またまたそこは高村作品。
    スケールの違いにこれまたびっくりするはずです。
    公安が絡んだり、スパイややくざが絡んだり、国際的陰謀にまで繰り広がれる面白さです。
    そしてラストには私はなんだかとっても感動しちゃいました。
    最近、あまり新作にお目にかかれない高村作品ですが、こんなすごいのを描くなら、時間が掛かるだろうなぁ~とも思います。
    う~む、早く新作を読みたいですよん。

  • 文庫版しか存在しない、高村さんにしては珍しい小説(『我が手に拳銃を』を別作品とすればですが)。

    真っ暗な主人公の世界の中に一筋の光、その先に李欧が。
    本当に魅力的な作品ですが、残念なことが1つ。
    作者が「関西淡路大地震以降、考えや書くものが変わった」としていること。地震以前に執筆された『李欧』が否定されているようで。

  • ハードでロマンティック

  • 人の一生がこんなにも面白いと感じたのはいつぶりか。

  • 惚れたって言えよ。読み返すたびにラスト間近で涙があふれる。

  • 文学系腐女子ファンタジー感がヒシヒシくるけど、内容は結構面白かった。主人公の奥さんが亡くなるくだりが、読んだ時には泣けたけど、主人公と李謳をくっつける伏線でしかないと思うとやるせない。

  • 平凡な暮らしを送っている自分には到底計り知れない一彰と李歐の生き様でした。李歐が大陸に渡ってから再会までの15年の一彰の人生は、表面では一彰の物であって奥底では利歐と共にある二重底のような物に感じられました。大学生までの一彰の時間は止っていて、李歐と出合った事で時間が動き出したという事でしょうか。この二人の繋がりはちょっと簡単には言葉に出来ない。見たことの無いものを見せられて呆然として、読後ふわふわ漂ってる気分です。

  • 壮大な恋の物語。
    これ、ラブストーリーですよね??
    殺し屋に一目惚れした主人公が万難を排して恋を成就する話し。
    晴子の後に読んだので、ピカレスクな内容にも関わらず、表紙の桜色のように「キラキラ」かつ「フワフワ」した印象を受けた。

    広大な大陸の情景と、大阪の繁華街&裏通りの饐えた臭いがリアルに思い出される、著者の描写は秀逸だと思います。
    拳銃の構造に魅かれる主人公の心理も、ものすごく理解できたり。殺傷する道具としてではなく、拳銃の造形と構造に魅かれる。

    原口組長がお気に入りかな。

  • 暗くて重い話だ。 
    読むのにかなりの集中力を要します。

    この人の本は何冊か読んだけれど、人の薄暗い情念や、鬱屈とした感情を描かせたらピカイチだと思います。

    抽象的な話になりますが、薄暗い部屋の様な小説です。

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